セリエA第11節を終えて29ポイントの無敗のナポリが首位を走るセリエA。昨シーズンの覇者ミランは3ポイント差で追走し、その背後にラツィオおよびアタランタが首位から5ポイント差で追いかける。さらにジョゼ・モウリーニョのローマは22ポイントで5位、インテルはウディネーゼと並ぶ21ポイントで7位、ユヴェントスは19ポイントで8位となっている。
そんな中、現役時代にインテルやボローニャ、サンプドリアなどで活躍した元イタリア代GKのジャンルカ・パリュウカ氏が『ダゾーン・イタリア』の「Kick off」にゲスト出演。ダリオ・マルコリン氏らおなじみの解説陣とともに古巣のインテルやGKについて語ってくれた。
現役最強GKは?
番組内ではまず、現役最強GKについて議論。パリュウカ氏は、レアル・マドリードのGKティボー・クルトワやバルセロナのGKマルク・アンドレ・テア・シュテーゲン、パリ・サンジェルマン(PSG)のGKジャンルイジ・ドンナルンマ、さらにミランのGKマイク・メニャンの中から最強選手を問われると、4人を順位付けした。
「今年の最強GKはクルトワだ。現時点でフィジカル、パワー、パーソナリティなどすべてを兼ね備えた最強GKだ。チームメートに安心感を与えることもできる。続いてドンナルンマもまだ、ヨーロッパ最強GKの1人であると考える」
「彼のクオリティはフィジカルと足元の爆発力と言える。その次は新星メニャンだろう。彼はセリエA最強で並外れている。完成されたGKで非常に強力だ。テア・シュテーゲン? 彼のスタイルは好みではない。ただ、セービングが上手いことは事実だ」
Getty
続いて“プロッシモ・ジージョ(次のドンナルンマ)”と題し、今後の活躍が期待できるセリエAの逸材GKを挙げた。
「現時点で最も私が驚いたのは、(エンポリのグリエルモ)ヴィカーリオだ。非常に良いパフォーマンスを見せている。それから(アレックス)メレト。昨シーズンは継続性に欠け、疑問を抱いたが、今年は最高のシーズンを過ごしているように見える。またラツィオの(イヴァン)プロヴェデルも非常に良いセービングを見せている」
(C)Getty images
さらに元イタリア代表GKは、史上最強GKとして現在パルマ(セリエB)でプレーするGKジャンルイジ・ブッフォンを挙げたほか、自身の現役時代の特徴についても振り返った。
「ブッフォンは史上最強のGKだった。彼の偉大なクオリティは、信じられないほどのポジショニングのセンスだったと言える。すでに18、19歳の時、ゴール前でどのように動くべきかを心得ていた。私のクオリティ? 高身長のわりに優れたアジリティを持っていた点だろう」
セリエA最強の守備を誇るラツィオ
セリエA11試合を終えて7勝3分1敗の好成績で3位と躍進するマウリツィオ・サッリ率いるラツィオ。その快進撃の秘訣は、11試合でわずか5失点のセリエA最強の守備と言える。
ここまでリーグ戦全試合に出場するGKイヴァン・プロヴェデルは、第5節のナポリ戦でFWフヴィチャ・クヴァラツヘリアに許したゴールを最後に、569分間にわたって無失点を記録。1998年に745分間の無失点記録を残したGKルカ・マルケジャーニに次ぐ、ラツィオ歴代2位にランクインする偉業を達成した。
パリュウカ氏は、開幕戦の出場わずか6分間で退場処分を受けたGKルイス・マキシミアーノからレギュラーの座を奪った28歳GKに見解を示した。
「プロヴェデルは運に恵まれた。だがボローニャとの開幕戦前から、サッリがどちらを起用するか悩んでいたのを覚えている。最終的にマキシミアーノを選んだはずだったが、これがカルチョの面白いところだ。訪れたチャンスを活かすのか、活かさないのか。残念ながらマキシミアーノは退場処分を受けてしまい、代わって入ったプロヴェデルが良いパフォーマンスを見せてチャンスを活かした」
ハンダノヴィッチvsオナナ論争
今シーズンのインテルで激論が交わされてきた38歳のGKサミル・ハンダノヴィッチと26歳のGKアンドレ・オナナによるポジション争い。当初、指揮官のシモーネ・インザーギは、長らくインテルの正GKを務めてきたハンダノヴィッチにセリエAを託し、UEFAチャンピオンズリーグ(UCL)ではオナナに出場機会を与える方針を示していたが、第9節のサッスオーロ戦以降、セリエAでもカメルーン代表GKが先発出場している。
1994-95シーズンから5年間にわたってインテルで活躍したパリュウカ氏も、インザーギの選択に納得している。
「オナナという選択には賛成できる。だがもしハンダノヴィッチが開幕から好パフォーマンスをしていたら、今シーズンは彼がレギュラーだったはずだ。だがいくつかミスを犯したことで、インザーギはオナナを正GKに昇格させることに確信を持ったのだろう」
(C)Getty images
インテルのスクデット奪還の可能性は?
FWロメル・ルカクの負傷離脱中、FWラウタロ・マルティネスやMFハカン・チャルハノールがPKキッカーを務めてきたが、ベルギー代表FWは、セリエAにおいてPKを12回連続成功させ、圧倒的な決定力を示している。元インテルGKがルカクの強さの秘密を明かした。
「ルカクの蹴るPKは強力だが、毎回、決めているということは、GKの動きも最後の瞬間まで確認しているのだろう。GKがどの方向へ飛ぶかによって、自身の足首を曲げることができるようだが、このクオリティは、キッカーの誰もが持っているわけではない」
続いてパリュウカ氏は、7位と出遅れる古巣のスクデット獲得の可能性について言及。自身の見解を示している。
「インテルはまだ、リーグ優勝する可能性がある。過去にはユヴェントスが10、11ポイント差から逆転優勝したこともある。ならばインテルだってできないことはないだろう。インテルに優勝のチャンスはある。ただ、ナポリが優勝争いの本命だろう」
インテルのスクデットの可能性については、『ダゾーン・イタリア』解説陣のマルコリン氏も同調。「インテルは昨シーズンも一時期、首位のナポリと大きな差があった。したがってまだスクデット争いに復帰できる可能性はあるだろう。UCLのベスト16進出が勢いになるはずだ」との見解を示した。
さらにOBのルイジ・ディ・ビアージョ氏は、「今シーズンは特殊で、来年1月に再スタートを切ることになる。その初戦がインテル対ナポリだ。まだ残っている試合は多いが、上位につけるチームも多い。インテルに失敗は許されないが、存在感を示すチャンスはあるはずだ」と指摘した。
現役時代にアタランタなどでプレーしたシモーネ・ティリボッキ氏も「インテルがスクデット争いに加わるチャンスはある」と断言。「ラウタロは『ポイント差があり過ぎる』と話したが、周囲を鼓舞し、これ以上失敗しないようにする目的があったのだろう。インテルの攻撃陣は最も充実しており、昨シーズンのように連勝を重ねて首位へ浮上できる能力があるチームだ」との見通しを示した。
ミランの背番号10番にふさわしい選手は?
ミランは今夏、高額な移籍金を投じてトップ下を主戦場とする若き逸材FWシャルレ・デ・ケーテラーレを獲得。だがベルギー代表FWがミラノで精彩を欠く中、ミランで10番を背負うMFブライム・ディアスが4ゴールをマークするなど快進撃を見せる。
マルコリン氏はポジション争いを繰り広げる2人に言及。「現時点において、ミランの10番は間違いなくブライム・ディアスだろう。デ・ケーテラーレと比較すると、3年間の経験がある。ピオリの下で見せているパフォーマンスは、技術およびフィジカル面で最高だ」とスペイン人MFに賛辞を贈ると、ディ・ビアージョ氏も賛同。「現時点ではブライム・ディアスの方がプラスアルファの何かを持っている。どちらかを選択しなければならないのならブライムだ」と主張した。
一方、ティリボッキ氏は長期の視点で分析。「長い目で見れば、ミランの10番はデ・ケーテラーレだ。現在、ブライムは素晴らしいコンディションにあり、また(トンマーゾ)ポベガや(ヤシーヌ)アドリMFもいるが、長期を見据えてミランに貢献できるのはベルギー人FWだろう」との見解を示している。
(C)Getty images
関連記事
● 【コラム】ミランの宝、生まれ変わったトナーリ…“ピルロの後継者”から現代的MFへの成長 | セリエA
DAZNについて
DAZNなら好きなスポーツをいつでも、どこでもライブ中継&見逃し配信!今すぐ下の記事をチェックしよう。