セリエA第12節では、無敗の首位ナポリがサッスオーロを下してリーグ戦8連勝を飾ったほか、出遅れているインテルやユヴェントスも揃って白星をつかんだ。一方、2位のミランがトリノに敗れて3位へ後退。代わってアタランタが2位に浮上している。
王者ミランのつまずき
そんな中、ミランOBのマッシモ・アンブロジーニ氏ら『ダゾーン・イタリア』の解説陣が「Sunday Night Square」に出演。まずはステファノ・ボルギ記者が、トリノに1-2と敗れ、昨年11月以来11カ月ぶりの敵地での敗北を喫したミランに見解を示した。
「ミランは失点のシーンもそうだが、神経質になっている様子がうかがえた。今夜はフィジカルおよびメンタル両面で少し疲労が感じられ、技術的クオリティを欠いて落ち着かなかった。それがおそらく今シーズン最悪と言えるパフォーマンスにつながってしまったのだろう」
インテルOBのボルハ・バレロ氏は、2度の決定機を逃したFWラファエウ・レオンに言及。前半限りで途中交代させたステファノ・ピオリの采配に首をかしげた。
「反撃しなければならない時に、レオンを交代させたのには驚いた。彼は、他の選手たちにはできないプレーを見せることができる選手だ。おそらく交代の背景にあるのは、2回目のミスの後、うつむいて歩き、プレーに戻るのに時間がかかったシーン。その時から監督がレオンに声を掛けていたが、きっと彼の振る舞いが気に入らなかったのだろう」
また中盤では、MFサンドロ・トナーリとMFトンマーゾ・ポベガがWボランチで先発起用されたが、MFイスマエル・ベナセルの不在が感じられる一戦となった。バレロ氏が分析する。
「おそらく監督は、パワーのあるトリノのトップ下の2人を考慮してフィジカルに強いトナーリとポベガを起用したのだろう。一方、ベナセルはボールを保持してのプレーに優れており、クオリティの高いパスを持っている。今日のミランはパスミスが散見されており、彼がいれば違ったかもしれない」
インザーギ指揮下のバレッラの進化
シモーネ・インザーギ率いるインテルは、指揮官のラツィオ時代の元同僚であり、インテルOBのデヤン・スタンコヴィッチが指揮を執るサンプドリアと対戦。3-0と完勝してリーグ戦4連勝を飾ると、暫定5位へと浮上した。シーズン序盤は成績不振に悩まされたインテル。だがUEFAチャンピオンズリーグ(UCL)のバルセロナとの2連戦を転機とし、10月は“再生の1カ月”を繰り広げた。インテルOBのバレロ氏がインザーギのチームを分析した。
「あの2試合がきっかけとなり、選手たちは自信を取り戻し、昨シーズンに見せていたような重要なプレーも再び見せられるようになったのだろう。ウォーミングアップの際の選手たちの雰囲気も以前とは異なっている。またミスを犯すたびに批判にさらされていた(GKサミル)ハンダノヴィッチは、レギュラーの座を失っても、チームメートとともに歓喜するなどチームの支えになっている。良い兆しと言えるだろう」
サンプドリア戦でインテルの2点目をマークし、勝利を決定付けたMFニコロ・バレッラ。試合中はFWラウタロ・マルティネスとコミュニケーションを取るなどして、たびたびゴール前への飛び出しを狙っており、高いゴール意識が見られた。インテルOBが、リーグ戦で5ゴール4アシストと躍動するバレッラのパフォーマンスに見解を示した。
「ゴールへの意識は、インザーギの下で高まったのだろう。インサイドハーフの2人は攻撃の際にかなり高い位置を取らなければならないからね。(前任のアントニオ)コンテ指揮下では、もう少し低い位置でプレーし、ビルドアップに関わっていたが、インザーギ指揮下ではより高い位置でプレーするのでより攻撃参加がやりやすくなる」
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ナポリのエース、オシムヘンの意地
今シーズン、12戦無敗で32ポイントを獲得し、単独首位を走るナポリ。今年こそ、ディエゴ・マラドーナ氏を擁した189-90シーズンを最後に遠ざかる悲願のスクデットの年となるかもしれない。アンブロジーニ氏は、ナポリの快走を「まるで止まることのない電車のようだ」と表現した一方、ボルギ記者は、昨シーズンに同じように若手が躍動し、スクデットを制した王者ミランと比較しつつ、自身の見解を示した。
「環境も異なれば、チームの意識も異なる。2チームは本質的に異なるチームだ。それにナポリは、昨シーズンのミランが達成できなかったUCLベスト16進出を決めている。ミランは昨年、グループステージ最下位に終わり、ヨーロッパレベルに進化するためには、長い道のりを歩まなければならないことを悟ったが、ナポリは第5節まで全勝して圧倒的な力を示している」
すると今度はミランOBが、FWジャコモ・ラスパドーリやFWジョヴァンニ・シメオネらライバルが台頭する中、サッスオーロでハットトリックを達成し、レギュラーとしての存在感を示したFWヴィクター・オシムヘンに言及した。
「マリオ・ルイのようにチーム内のポジション争いで成長した選手がいるが、オシムヘンも同様で、チームメートから正しい刺激を受けている。ラスパドーリがゴールを挙げ、シメオネも決める。FWというものは、たとえレギュラーであっても、その背後に迫る2人の存在を感じると、プラスアルファの実力を示すことができるのかもしれない」
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ボールを走らせるユーヴェの21歳
一時はアンドレア・アニェッリ会長が「恥」と苦言を呈すほどの成績不振に悩まされたユヴェントス。マッシミリアーノ・アッレグリのチームは緊急合宿を経て白星を重ね、3連勝を飾ったが、バレロ氏がユヴェントスの現状を分析した。
「アッレグリは常に『美しいプレーなんてどうでもよい』と話してきたが、再び勝利という結果が出始めた。簡単に勝てているわけではないが、チームはまずまずのところまで来ている。インテルとの次戦イタリアダービーは、今シーズンのモチベーションを得る上でも、プラスアルファの何かを与えてくれるかもしれない」
レッチェ戦では、下部組織出身の21歳MFニコロ・ファジョーリがアレッサンドロ・デル・ピエロ氏を彷彿とさせる美しいゴールでセリエA初得点を挙げ、チームを1-0の勝利へと導いた。アンブロジーニ氏は、ここまでリーグ戦の出場が83分間にとどまる若手に見解を示している。
「ファジョーリに関しては出場機会が少なすぎた。本当に少ない。いまから断言するのは早いかもしれないが、ユーヴェはファジョーリのような選手を必要としていたように感じる。(アドリアン)ラビオや(ウェストン)マッケニーはボールを持って走るが、この若者はパスを回し、ボールを走らせることができる。それが他の選手よりも上手い」
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