よく知る相手だからこそ、「付け入るスキはある」とこの男は見据えている。
鎌田は、2017年にサガン鳥栖からフランクフルトに移籍。ベルギーのシント・トロイデンへの期限付き移籍していた1年間(2018-19シーズン)を除く5シーズンをドイツで過ごしてきたが、今季は本職の攻撃的なMFの位置からボランチにコンバートされながらブンデスリーガで7得点を記録。ドイツ国内でも大きなインパクトを残してきている。
ただ本人は現状を冷静にこう分析している。
「今年はボランチをする機会が多く、ボランチというのはボールももちろん多く触れるし、得点アシスト以外でも認められるところがたくさんある。プレーに安定性が増すというのが当たり前。もちろん良いシーズンを送れているとは思いますが、自分は常にできると言い続けてきたし、サプライズではない」。
よく知るW杯で4度の優勝経験のある「強豪国」に対し、恐れを抱いていない。W杯の初戦でぶつかるドイツは、同国リーグで圧倒的な強さを残るバイエルン・ミュンヘンからGKマヌエル・ノイヤーやMFヨシュア・キミッヒなど最多7名を選出されているが、「バイエルンと違ってドイツ代表はバイエルンほどクオリティはないし、間違いなくいまのドイツ代表ならバイエルンのほうが強い」と強調した。
その上でこうドイツ代表を分析している。
「実際試合を見ていても相手が強豪国とだけではなくて、僕たちみたいにコンパクトに守ってやってきているチームには苦戦している印象があるし、今の現代サッカーはボール保持率はあまり関係ない。彼らは後ろにすごく速い選手がいるわけではないですし、もちろん自分たちにもチャンスが有る」。
特に「彼らはゲーゲンプレスという言葉があるように、ボールを奪われてから速いプレッシャーをかけてくるチーム」と表現するドイツに対し、その局面をいかに剥がし、攻撃へスムーズに繋げていけるかが攻撃におけるポイントと見据えている。
「僕たちにできることは、ボールを奪ったあとに常にどこが空いているのかというのをチーム内で共有していて、極端に言えばボールを奪ったあとに見ないで蹴ってもそこに味方がいないといけないぐらいの感覚でやっている。あとはそのパスがしっかり前に入れば、いいカウンターができるだろうし、そこでミスが続けば常に相手の時間帯になる。そこを共有しながらやっている」。
ドイツで飛躍を遂げてきた背番号15がよく知る相手にどんなパフォーマンスを見せてくれるか期待したい。