カタールW杯開幕から3日目、優勝候補の一角である36戦無敗中のFIFAランキング3位アルゼンチンが登場。C組開幕節で同51位サウジアラビアと対戦した。アルゼンチンは試合開始直後、キャリアで最後の大会に意気込むリオネル・メッシがW杯通算7点目となるPKを沈めて先制に成功し、順調な滑り出しに見えた。
だが、オフサイドトラップを仕掛けられ、3ゴールを取り消されるなど、フランス人指揮官エルヴェ・ルナールの巧みな戦術に翻弄された南米王者。すると後半開始直後に立て続けに2得点を奪われ、1-2でまさかの逆転負けを喫した。Getty
そんなアルゼンチンの敗北について、イタリアメディア『Rai』は「あらゆる予想に反し、アルゼンチンがサウジアラビアに1-2で敗れた。南米勢にとって忘れるべき初戦に」と驚きをもって報じている。「多くのアルゼンチン人サポーターがスタジアムを埋め尽くしていたが、こんなことが起こり得るとは想像していなかったはずだ」と続けた。
だからサッカーを愛してしまう
またイタリア紙『Gazzetta dello Sport』も、1986年にメキシコW杯を制したアルゼンチンの英雄ディエゴ・マラドーナ氏と比較しつつ、「マラドーナどころか悪夢のメッシ」との見出しで報道。「レオは自身のキャリアの唯一の欠点から逃れられない可能性がある」と述べ、悲願のW杯優勝が遠のいたことを指摘した。
一方でサウジアラビアの大金星には「おそらく、だからこそ我々はサッカーを愛してしまうのだろう」とコメント。「バロンドールを7回受賞し、山ほどのトロフィーを獲得した1人を含むカンピオーネ(王者)だらけのチームが、まさに誰も信用していなかったチームにW杯で敗れるようなことが起こり得るからだ」と述べた。「考えるだけでも常軌を逸しているが、それが起きたのだ」と続けた。
『Sky Sport』も「ルナールのチームは、W杯で最初のビッグサプライズだ」と強調。『Corriere dello Sport』は「メッシのアルゼンチンにとって、とんでもない敗北に。サウジアラビアは素晴らしい結束力と闘争心、驚くべき戦術面の注意力を見せ、勝利にふさわしかった」と伝えた。
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報いを得たサウジアラビアのクレイジーな戦術
さらに『DAZN(ダゾーン)イタリア』に寄稿するルカ・フェオレ記者も「大きな反響を呼ぶ失敗」としてアルゼンチンの敗戦を分析。「ポーランドやメキシコとの2試合が控える(リオネル)スカローニのチームのプランをかなり複雑にすることになる」と指摘した。
またサウジアラビアの勝利をもたらした「過度なほどのオフサイド戦術」についても解説。「極めて高いディフェンスラインで常にアルゼンチンの攻撃陣にオフサイドトラップを仕掛けており、サウジアラビアの戦術はかなり明確だった。危険でクレイジーだが、その報いを得たと言える」と見解を示した。
後半、わずか5分ほどでアルゼンチンから2得点を奪い、試合をひっくり返したサウジアラビア。フェオレ記者は10番サーレム・アルドサリの2点目について「W杯で最も美しいゴールの称号を競うことになる」と述べたほか、「ルナールのチームは、冷静であると同時に強い気持ちで非常に上手くプレーし、あらゆるボールをめがけて奮闘した。こうして苦しみながらも壁をそびえ立たせることに成功した」と試合を振り返った。
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