カタールW杯3日目に優勝候補のアルゼンチンに土をつけてサプライズを巻き起こしたサウジアラビアに続き、森保一監督率いる日本代表もヨーロッパの強豪国ドイツを相手に、前半の劣勢をシステム変更や絶妙な采配で覆し、2-1で逆転勝利を収める快挙を成し遂げた。
今大会で2例目となる大番狂わせを起こした日本代表には、イタリアメディアも驚きを隠せない。『Sky Sport』は、「先発5人がブンデスリーガでプレーする“ドイツ風”の日本がドイツに勝利を収めた」の見出しで報道。「日本の勝利の背景には興味深い背景がある。矛盾しているように見えるが、ドイツは“ドイツの選手たち”に倒された。これがドーハで起きたことだ」と綴った。
また『Sport Mediaset』も「ドーハで再び信じられない結果に」、「アジア勢は前半に圧倒されたにもかかわらず、後半にスコアを覆すことに成功した」と伝えた。
イタリア紙『Repubblica』はブンデスリーガでプレーする堂安律や浅野拓磨に注目しつつ、日本の人気アニメと比較。「キャプテン翼超えだ…日本が“ドイツの学校”で育った宝石たちとともに飛躍した」と指摘し、「ドイツはフライブルクやボーフムでプレーするドウアンとアサノのゴールによりセンセーショナルな敗戦を喫した」と伝えた。
さらにイタリア人指揮官ロベルト・デ・ゼルビの下でプレーするブライトンの三笘薫にもスポットライトを当て、「かなり早くにガソリンを切らしたドイツの選手たち」を翻弄させ、「ドイツの豪華客船を沈める急襲者」となったことを振り返った。
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歴史を刻んだ日本の勝因
『Corriere della Sera』は「東洋の風がW杯をかく乱した」と日本のジャイキリを報道。サムライブルーの逆転劇は「試合をひっくり返す采配で決定づいた」と指摘した。また「日本は高いクオリティとスピードを持つベンチメンバーを抱えるチームだ。モリヤス監督は前半の選択を見直し、後半に3バックへシステムを変更すると、大勝利が到来した」と綴った。
一方、『Gazzetta dello Sport』は「ドイツのハラキリ」、「アルゼンチンに勝ったサウジアラビアと同じように、日本がふさわしい勝利を収めた」と指摘。続けて「ドイツは前半を支配したがPKによりわずか1点にとどまった。センターフォワードの問題は深刻と言える」と分析した。
一方、後半から投入されて結果を出した日本代表の堂安と浅野については「冷酷で捕捉不能だった」とし、「アサノ、ミナミノ、そしてドウアンが素晴らしい逆転劇の主役になった」と賛辞を贈った。また森保監督の「采配が試合を決め」、「夢のような後半を演じ、ドイツを粉砕した」と振り返った。
イタリア誌『Guerin Sportivo』は、「歴史を刻んだ日本」の勝因として、GK権田修一による好セーブと監督の采配を挙げている。対するドイツの敗因には負傷したティモ・ヴェルナーの不在により、「良いセンターフォワードがいなかった」点を挙げた。さらに決勝点を挙げた浅野の突破を許したニコ・シュロッターベックに至っては「彼がイタリア人選手であったら、すでに糾弾されているだろう」との見解を示した。
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