FIFAワールドカップ(W杯)カタール2022のE組は、第2戦を終えてスペインが4ポイントで首位、日本とコスタリカが3ポイントで並ぶ一方、ここまで未勝利のドイツも1ポイントを獲得。全チームが決勝トーナメント進出の可能性を残しており、混戦を極める。
そんな中、イタリア紙『Repubblica』は最終節で日本に負けてもベスト16進出の可能性を残す、ルイス・エンリケ監督率いるスペインの動向を注視。1日、「スペインにビスコット(対戦する両チームが双方に有利となる結果を目指すこと)の誘惑…危うくなるドイツ、期待膨らむ日本」の見出しで特集を組んだ。
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コスタリカとの初戦で7-0と大勝を収めたスペイン。日本に負けてドイツと4ポイントで並んだとしても、ハンス=ディーター・フリックのチームがコスタリカから大量得点を奪わない限り、得失点差で2位通過が見込める。そうした背景の中、「ビスコットはロハ(スペイン代表の愛称)のDNAにはないものだが、E組はルイス・エンリケにとって決して悪くはない選択肢を提供するかもしれない」とイタリア紙は分析する。
それは「ドイツを敗退に追い込むと同時に、(2位通過することで)より簡単なトーナメントの山に入る」という一石二鳥の秘策であり、イタリア紙は「そのためにスペインは最終戦で日本に勝たせなければならない」と主張した。
「スペインと日本は、感情面において低調な試合となることに満足するかもしれない」と指摘しつつ、「日本が1ゴールを挙げさえすれば、アジアのチームに首位の座を譲り、衝撃的な“死の組”突破をプレゼントすることになる」と述べた。
ビスコットによる2つの恩恵
イタリア紙は、スペインがビスコットにより受ける恩恵について、さらに詳しく紹介している。「スペインはわずか一撃で少なくとも2つの収穫を得ることができる」と指摘。「タイトル獲得への道のりにおいて、より不都合なヨーロッパの1チームであるドイツを敗退に追い込み、ロハは2位通過してF組のクロアチア、モロッコまたはベルギーと次戦で対戦するだけでなく、ヨーロッパ勢の多い山側に入ることができる」と述べた。
一方、「理論上、首位通過すれば、すでにベスト8でブラジルと対戦し、準決勝でアルゼンチンと対戦することになる」と主張。「ベスト8でポルトガル、準決勝でフランスとの対戦が予想される道のりより、はるかに複雑だ」との見解を示した。
ただ、イタリア紙は「スペインには計算する習慣がない」ことにも言及。10年前のEURO2012のグループステージ最終節において、クロアチアに勝利を譲らずに勝ち切り、その結果、同グループを2位通過したイタリアと決勝で再戦した末に、ヨーロッパタイトルを獲得した過去を振り返った。
だがイタリア紙は、1998年フランスW杯に遡れば、スペインがパラグアイとナイジェリアによるビスコットでグループステージ敗退を経験したことも紹介している。果たしてルイス・エンリケ率いるスペインは、日本との対決において、どんな戦いぶりを見せるのだろうか。
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