15日に行われたFIFAワールドカップ(W杯)カタール2022の準決勝・フランス代表vsモロッコ代表戦で、モロッコ代表がフランス代表に0-2で敗れた。
試合は、前半立ち上がりの5分にスコアが動く。フランス代表FWキリアン・エムバペのシュートがブロックされると、詰めていたDFテオ・エルナンデスがバウンドボールに上手く合わせてゴールネットを揺らした。出鼻をくじかれたモロッコ代表だったが、その後システムを4-3-3に変更してからはボールがスムーズにまわるようになった。だが、押し込む時間帯になかなかゴールを奪えずにいると、後半も終盤に差し掛かった79分にはFWランダル・コロ・ムアニの追加点でフランス代表がリードを広げる。そのまま試合は0-2で終了。アフリカ勢初の準決勝進出を果たして旋風を巻き起こしたモロッコ代表の夢は潰えた。
試合後、モロッコ代表のワリド・レグラギ監督はフランス代表との激戦を振り返った。同指揮官のコメントを、フランスメディア『RMCスポーツ』が15日付けで伝えている。
「“DD”(フランス代表を率いるディディエ・デシャン監督の愛称)にブラボーと言いたい。ポゼッションについていろいろと語らせてくれた世界の報道陣もブラボーだ」
ボールポゼッション率の低さを度々指摘されてきた点についてユーモアを交えつつコメントしたレグラギ監督は、疲労困憊のなかで4年前の世界王者を相手に奮闘した選手たちを称えた。
「最後の30メートルで少し精度を欠いてしまったね。ボックス内で致命的なダメージを与えるためには、少し疲れすぎていたのかもしれない。だが、いずれにしても後悔はしていない。我々はフランスからボールを受け取り、保持を受け入れた。十分に楽しんだよ」
モロッコの宗主国だったことから、フランスには現在もモロッコ系移民が多く暮らしている。こうした歴史的背景を踏まえ、フランス代表vsモロッコ代表戦が始まる前には、パリ中心部で警備体制が強化。フランス代表とモロッコ代表が準決勝進出を決めた後の10日には、シャンゼリゼ通りで一部サポーターと警察が衝突していたこともあり、厳戒体制が敷かれていた。しかし、当の選手やチーム関係者の間には清々しいスポーツマンシップが存在しており、“禍根”などは感じられない。
「決勝に進出したのはフランスで、彼らは正当な勝者。決勝では、ぜひフランスに勝ってほしい」
レグラギ監督は、史上3カ国目の大会連覇へ向けて邁進するフランス代表にエールを送った。世界の頂点が決まるアルゼンチン代表vsフランス代表戦は19日の0:00にキックオフを迎え、モロッコ代表がクロアチア代表と激突する3位決定戦は18日の0:00にキックオフとなる。