FIFAワールドカップ ジャッジリプレイで取り上げたのは、日本vsコスタリカの70分のシーンだ。
守田英正の縦パスを浅野拓磨がワンタッチで繋いで伊東純也へ。切り返してドリブルで運ぶとしたところで、カルボに倒されてファウルとなった。主審は日本にフリーキックを与えた上で、カルボにはイエローカードを提示した。
しかしリプレイで確認すると、カルボのプレーは決定的な得点機の阻止「DOGSO」でレッドカードが提示されてもおかしくないように思われた。しかしVARの介入はなく、イエローカードのままとなったが、この判定は妥当だったのか?
日本中が「レッドカードだ」と叫んだであろうシーンについて、平畠啓史はDOGSOの4つの要件に触れてこのように見解を述べた。
「距離は、シュートを打てる距離。方向もゴールに向かってます。あのファウルがなければボールのコントロールもできたでしょう。ただ、相手守備者の数や位置によってどうか。僕が見る限り、うつしているカメラの角度によってはドリブルでいけたと思うし、いけなかったとも思う。なのでどちらとも言えるとも思います」
一方で原博実氏は「レッドカード」との見解を示した。
「確かに色々な見方によって両サイドは絞ってきていた。だけど(両サイドの相手選手が)来たとしても、(伊東が先にボールに)触れている。さらに、これだけの決定機で引っ張っている。その行為自体が赤だと思う」
レフェリングのプロたちによる見解はどうだろう?深野悦子氏は「全く同じで私も80(%でレッドカード)です」という。リアルタイムで見た状況では「SPA(相手の大きなチャンスとなる攻撃を阻止すること)」だと思ったようだが、リプレイで検証してみると「レッドに近いプレー。ホールディングであることを考えるとそう(レッドカード)だなと」と、退場処分でもおかしくないプレーだと判断したようだ。
それでは家本政明氏の見解はどうなのか。「サポーター・家本は300%赤。そりゃそうでしょう。思わず言っちゃいましたよ、本田圭佑みたいに。『赤やろー!』って」と笑いを誘う。
しかし実際にレフェリー視点だと若干違うようだ。ポイントに挙げたのはカバーに入った両サイドの選手の位置だ。
「伊東選手へのファウルがなかった時に対応できるのか。大外の選手は間に合うかもしれないが、その可能性は薄い。そうなると内側の選手。彼が伊東選手に対応できるかをどうみるかで赤なのかそうでないのかが決まる。競技規則的な解釈をすると(内側の選手が)対応できるかなと。なので真っ赤ではないと思う。レッドの可能性は60〜70%で、イエローとした主審の判定も尊重できる。VARも介入しなかったのはそういう判断だろうというのが仮説です」
そのほかグループルーグの中から3つのシーンを選出。カタールvsエクアドルをもとに半自動オフサイドテクノロジーを解説、イングランドvsイラン、ポルトガルvsガーナで話題となった判定を深掘り解説した。