FIFA ワールドカップ カタール 2022も準決勝、3位決定戦、決勝の4試合を残すところとなった。栄光を掴むチャンスが与えられたのはアルゼンチン、クロアチア、モロッコ、フランスの4チームだ。
一方で敗退を喫し悲しみに暮れる選手たちも多い。ウルグアイ代表FWルイス・スアレス、ブラジル代表FWネイマール、ポルトガル代表FWクリスティアーノ・ロナウドなど、数々の名選手が涙を流すシーンは印象的だった。
今回の『FIFAワールドカップタイム』は、「大会を去った男たち」にフォーカスし、選手たちの戦いを振り返っている。
グループステージでまさかの大苦戦となったウルグアイ。逆転突破に向けて、最終節のガーナ戦では2-0で試合終盤を迎えていた。ところが、2位通過を争う韓国が、ポルトガルに勝利。そのためウルグアイは得失点差の関係であと1点が必要になった。
アディショナルタイムは8分──。すでにベンチに下がっていたスアレスはピッチで戦う仲間たちを心配そうに見つめる。しかし無情にも終了のホイッスルが吹かれると、ユニフォームで顔を覆い涙した。自身にとっては最後のW杯。残酷な結末に、そのまま立ち上がることができなくなった。
1点の重みを痛感したのはウルグアイだけではない。
グループステージ最終節でクロアチアと対戦したベルギーは、この試合に勝利しなければノックアウトステージ進出の望みが絶たれる危機的な状況だった。
復帰したロメル・ルカクが、再三にわたってクロアチアゴールを脅かすも決めきれない。すると試合はゴールレスのまま終了。決定機を決めれきれなかったルカクは、コーチを務めるアンリ氏の胸の中で号泣。試合後もベンチに座り込んで悲しみに暮れた。黄金世代と言われたベルギーにとっては、予想もしなかった幕切れとなった。
優勝候補の1つに挙げられていたブラジルだったが、準々決勝で涙を流した。
ゴールレスで迎えた105分にネイマールの得点で先制。そのままブラジルが逃げ切るかと思われたが117分に同点ゴールを許して勝敗はPK戦に委ねられた。すると4-2で迎えた4人目のキッカー、マルキーニョスがポストに当ててしまい、この瞬間、ブラジルの敗退が決まった。
PKを外したマルキーニョスはもちろん、多くの選手たちがその場で頭を抱えて倒れ込む。ネイマールも、ダニエウ・アウベスに抱き抱えながら人目を憚らず涙した。
そして最も印象的だったのは、ポルトガルのクリスティアーノ・ロナウドだろう。
準々決勝のモロッコ戦では1点ビハインドの中、途中出場を果たした。エースとしてゴールが求められたが、結果は0-1の敗戦。終了のホイッスルとともに、涙を堪えゆっくりとドレッシングルームへと歩み出すロナウド。しかしスタジアム内に入った瞬間から、堪えきれず涙を流した。
勝利の歓喜と敗北の涙は常に表裏一体。残り4試合、そこにはどんなドラマが待っているのだろうか。