セリエA前半戦を終えて驚異の50ポイントを獲得し、悲願のスクデットへと突き進むナポリと、UEFAチャンピオンズリーグ(UCL)圏内への浮上を狙う5位ローマによる上位対決。ローマ出身で現役時代はアタランタなどで活躍したシモーネ・ティリボッキ氏が、イタリア代表の元チーフ・アナリストのアントニオ・ガリャルディーニ氏とともに、『ダゾーン・イタリア』の特番「Like Tattico」でセリエA第20節のビッグマッチを3つの視点から分析した。
ナポリの攻撃の糸口は?
まずは、ルチアーノ・スパレッティのチームのクオリティの高い素早い攻撃に注目。ティリボッキ氏はサンプドリア戦19分のヴィクター・オシムヘンのゴールを振り返りつつ、「ナポリはボールを奪取した時、どこを攻撃するべきか、すでに明確なアイディアを持っている。ボールを基点として、選手がそれぞれ相手の脅威となる動きを見せる」と解説した。
するとチェーザレ・プランデッリやアントニオ・コンテ、ロベルト・マンチーニ指揮下でイタリア代表の戦術分析を担当したガリャルディーニ氏は「ナポリの攻撃のカギとなる選手の1人は最終ラインの(ジョヴァンニ)ディ・ロレンツォだ」と指摘。「(スタニスラフ)ロボトカに対して素晴らしいダイアゴナルなパスを送り込んだが、このパスこそ重要だ。さらにそこへオシムヘンがサポートに寄って来る」と説明を続けた。
また元アタランタFWも「相手の弱点となっているサイドをダイアゴナルなパスで攻撃する勇気が必要だ」と述べ、相手を崩すカギとなる重要なパスであることを強調した。
ガリャルディーニ氏が続ける。「その後、センターバックがボールを保持してチーム全体をけん引する。そこから左サイドへボールを出し、(フヴィチャ)クヴァラツヘリアとマリオ・ルイのコンビが攻め込む」。サンプドリア戦では、「今シーズン、リーグ戦で6アシストを記録しているマリオ・ルイが相手守備陣の脅威となるクロスを入れ、素晴らしいゴールが生まれた」とティリボッキ氏が振り返った。
(C)Getty images
ナポリ対ローマでは、カウンター狙いのジョゼ・モウリーニョのチームがゴール前を固めることが予想される。元アタランタFWはその打開策として「ナポリは辛抱強くパス回しをし、ラインの間のスペースを模索するか、サイド攻撃を狙うことになる」と指摘した。元イタリア代表のアナリストも解説を続ける。
「セリエA最強のパス成功率を誇るロボトカがレジスタの役割を務めている。そのうえ、ナポリはポジションチェンジをしつつ、空いたスペースを読み解く素晴らしい能力も持つ。パス交換でエリア内へと侵入した後に出す、マイナスのパスもナポリの特徴だ」
優れた攻撃のクオリティを持つナポリだが、個人のミスからピンチを迎える可能性もある。ガリャルディーニ氏は「ナポリのプレースタイルでは、個人のミスは起こり得る。両サイドバックが高い位置をとっている際、(アンヘル)ディ・マリアのようなクオリティの高い選手にボールが渡れば、困難に陥ることになる」と警告した。
するとティリボッキ氏は「クオリティといえば、ローマのスペツィア戦の2点目を見るべきだ」と指摘。パウロ・ディバラとタミー・エイブラハムのクオリティにより生まれたゴールシーンのプレーは、まさにナポリのミスを突く武器となる可能性を示唆した。
ディバラ&エイブラハムがナポリの脅威に?
続いて『ダゾーン・イタリア』の解説陣は、ローマFWによる裏のスペースを狙う攻撃に注目した。ティリボッキ氏は、スペツィア戦のステファン・エルシャーラウィの得点シーンを振り返り、ディバラとエイブラハムのコンビを解説。「この2人のコンディションは、現在のローマにとって重要だ。2人とも調子がよく、裏のスペースを狙って素晴らしい連携を見せている」と指摘し、説明を加えた。
「ディバラが裏のスペースを狙って走りこむ一方、エイブラハムがボールをはじきながら前者をフリーにする。ボールを受けたディバラは試合の読みも素晴らしかった。シュートコースがないことからエルシャーラウィへアシストを送り、ゴールを演出した」
するとガリャルディーニ氏は、ナポリ戦において有効となるローマの攻撃の1パターンを予測した。
「ナポリがプレスを仕掛けた際、(ブライアン)クリスタンテがフリーになる。そこからエイブラハムがマリオ・ルイの裏のスペースを狙うはずだ。彼のスピードに加えて、ディバラのサポートもあれば、ナポリにとって大きな問題になるだろう」
Getty
セットプレーの攻防戦
最後に番組では、両チームが得意とするセットプレーをテーマに試合の分析を行った。ティリボッキ氏は、「ローマはフィジカルを活かしたプレーを見せる。それにディバラや(ロレンツォ)ペッレグリーニのような優れたキッカーもいる」と指摘。さらに「ローマはゴール前で(ネマニャ)マティッチのほか、クリスタンテがニアをうまく突いたり、(ロジェール)イバニェスがタイミングをずらして攻撃したりするなど、セットプレーにかなり力を入れている」との見解を示した。
一方、『ダゾーン』の戦術担当はスパレッティのチームについて「ナポリにも素晴らしいキッカーはいる。フィジカル面でローマに劣るが、フリーキックやコーナーキックの際の戦術を非常によく研究している」と分析した。また守備では「ゾーンディフェンスを採用し、ゴール前に城を作る。このためローマの選手にはしっかり気を配り、特にタイミングをずらした攻撃には十分注意するべきだろう」と述べた。
これに対して元アタランタFWは「ローマは守備陣のフィジカルを活かしたデュエルを求めている。したがって試合では、ナポリの選手にマンマークでつくはずだ」と指摘。ローマのセットプレー対策を予想した。
最後に『ダゾーン・イタリア』の解説陣は、今週末の一戦の分析を総括。ガリャルディーニ氏は「スパレッティとモウリーニョという2人の偉大な指揮官は、お互いのことをよく知るだけに、細部まで詰めた準備をするはずだ。おそらく戦術的な一戦になるだろうが、デュエルも多くみられるかもしれない」とビッグマッチの見通しを語った。
続いてティリボッキ氏は、オシムヘンのゴールでナポリに軍配の上がった昨年10月の対決と比較しつつ、「前回の対戦と同様にインテンシティの高い試合になるだろう。だが偉大なカンピオーネ(王者)たちが主役となり、試合を決めるのかもしれない」との見解を示した。
放送・配信予定
- ナポリ vs ローマ
- 配信:DAZN
- キックオフ:2023年1月30日(月)日本時間4:45
- 実況:加藤暁
- 会場:スタディオ・ディエゴ・アルマンド・マラドーナ
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