約1カ月にわたる成績不振から脱出し、公式戦4連勝を飾ったミラン。だが日本時間5日に行われたセリエA第25節では、敵地でフィオレンティーナに苦戦して1-2と敗れ、再び5位へと順位を下げた。
そんなステファノ・ピオリのチームについて、『ダゾーン・イタリア』の番組「Sunday Night Square」に出演した元イタリア代表DFのアンドレア・バルザーリ氏が見解を示した。4日後には、UEFAチャンピオンズリーグ(UCL)ラウンド16のトッテナム戦が控えていることもあり、番組では注意散漫だった可能性が指摘された。
「そうなると難しい。ロンドンのことを考えながら、ピッチに入ることはできない。来シーズンのUCL出場権を獲得する上で重要なポイントを獲得しなければならないのであり、UCLの直前の試合であってもピッチで良いパフォーマンスを見せる必要がある」
「フィオレンティーナは、特にホームにおいてあらゆるチームを苦境に陥れることができるため、極めて難しい対戦相手ではあった。ただ、フィオレンティーナがミランに対してかけたプレッシャーこそ、ピオリのチームには足りなかったと言える」
「ミランはフィオレンティーナに対抗するための何かを示すことができなかった。後半は少し良くなったとはいえ、フィオレンティーナの勝利はふさわしいものだった」
今年1月、7戦未勝利と急激に失速したミラン。バルザーリ氏は、フィレンツェでの敗戦をきっかけに、再び成績不振へ逆戻りする可能性を危惧している。
「ミランは、あの地獄の1カ月から復調したように見えていた。ただ、いきなり最高の試合を見せて危機から脱出するということはなく、少しずつ苦しみながら勝利を重ねて抜け出していくものだ。だがその後、今日のようなパフォーマンスを見せてしまったら、特に重要な一戦が控えているだけに、何らかの疑念が生まれる可能性はある」
レオンがミランの光を灯す
するとステファノ・ボルギ記者は、こうした状況において、ラファエウ・レオンがミランのカギとなることを指摘した。
「その点、心理的な面で答えとなり得るのがレオンだと考える。昨夜のミランは、相手の脅威となることにかなり苦労していた。レオンがいなければ、ミランに光を灯すことはできない。ミランは4連勝して着実に調子を上げていた」
「前節のアタランタ戦では、素晴らしい勝利を収めていたね。だがミランは、今シーズン前半戦や昨シーズンのミランではない。レオンはそんなミランに光を灯すために重要な存在だと考える」
また、元インテル指揮官のアンドレア・ストラマッチョーニ氏は、直近の公式戦5試合で初めての黒星という点や、累積により出場停止となったレオンの不在の影響が大きかった点に注目し、今後を楽観視した。
「ミランについてポジティブな要素も2点、指摘しておきたい。1つ目は直近の試合で初めての敗戦だということ。2つ目は、ステファノも話したように、レオンの存在が重要であるということ。特に現在のシステムにおいては、彼の重要性がより際立つ。現在のミランは、組織力が以前よりも劣り、まさに彼の攻撃力、前線の個の力が必要となるためだ」
(C)Getty images
インテルの真のリーダー、ラウタロ
インテル退団を希望するミラン・シュクリニアルに代わって、ピッチで主将を務めるラウタロ・マルティネス。ミラノで5シーズン目を送るアルゼンチン代表FWは、リーダーシップにおいて大きな成長を見せている。
日本時間6日に行われたインテル対レッチェ(インテルが2-0で勝利)においても、自身にアシストを供給したデンゼル・ドゥンフリースを称えるなど、リーダーとしての存在感が感じられた。ボルギ氏が自身の見解を示した。
「おそらくキャプテンマークを巻いたことによる影響だろう。ラウタロ・マルティネスは、ピッチにおいて主将の座を獲得したと言える。近年も着実に成長を遂げ、カードの多さやパフォーマンスの波などの弱点を克服していった」
「現在の彼は、イタリアのカルチョにおける最強FWの1人であるだけでなく、インテルの真のリーダーと言っても良いだろう。それにラウタロはまだ若く、今年26歳を迎える。それなのに、すでに成熟した選手であり、リーダーであり、エースストライカーだ」
バルザーリ氏が続ける。アルゼンチン代表FWにインテルのキャプテンマークを与えたことは、クラブの英断だったと強調している。
「ラウタロに腕章を託すというクラブの決断は重要だった。おそらく彼のメンタリティも判断してのことだったのだろう。クオリティだけでなく、よく走り、奮闘し、チームに貢献する選手だ」
「クラブにとって簡単な決断だったとは思わないが、主将になってからの彼は、インタビューにおいても、何を言うべきなのかを心得ているように見える。ロッカールームにおいてもチームメートから認められ、重要な存在となる」
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ミランはデ・ケーテラーレにこだわるべきか?
一方、『ダゾーン・イタリア』の「Tutti Bravi dal Divano」解説陣のヴァロン・ベーラミ氏とアレッサンドロ・マトリ氏らが、昨夏のミランの補強の目玉であるシャルレ・デ・ケーテラーレを巡って激論。ピオリは今後も、3500万ユーロ(約50億円)の眠れる21歳の至宝の起用にこだわり続けるべきか、意見を交わした。ミランOBのマトリ氏は、デ・ケーテラーレの継続起用に賛成する。
「クラブがそれなりの投資をしたわけで、この若者を信じるのをやめて構想外にするのはばかげている。それにフィオレンティーナ戦は、ピオリも話していた通り、彼がクオリティを示すために適切な条件ではなかった。確かに良いパフォーマンスを見せておらず、消極的に見えるシーンもあったが、彼のことをあきらめるのはまだ早すぎる」
続いてベーラミ氏は、そんなマトリ氏の考えに反対する姿勢を見せている。
「ミランは継続性を示さなければならない時なんだ。テストをしている場合じゃないのに、毎試合がテストになってしまう。デ・ケーテラーレ、デ・ケーテラーレと言うが、まったく彼の姿が見えない。フィオレンティーナ戦に限らず、すでに多くのチャンスを与えられたはずだ」
「ピオリは彼を擁護していたが、毎回にように言い訳が飛び出す。移籍金3500万ユーロは、イタリアにおいてはかなりの投資だが、そろそろ(ヤシーヌ)アドリら他の選手にもチャンスを与えるべきだ」
するとマトリ氏は反論を見せる。スクデットを獲得した昨シーズンと比較し、選手が優れたパフォーマンスを示すのに適した背景ではないことを強調した。
「ミランの歴史を振り返ると、選手に時間を与えることが必要であることが分かる。(サンドロ)トナーリやレオンも最初のシーズンはうまく行かなかった。現在のチームの状況では、選手を活かすことができない。チームの調子が良ければ、選手たちもパフォーマンスを上げることができる。今シーズンは他の選手たちも調子を落としている」
「それに(ポジション争いのライバル)ブライム・ディアスだって、過去2シーズンにわたって継続的に結果を出してきたわけではない。好不調の波があっても、チームのパフォーマンスに助けられていた部分もあるはずだ」
続いてミランOBのリッカルド・モントリーヴォ氏が疑問を提起。「トップ下が彼の本来のポジションなのだろうか。私は疑問を感じている」と明かした。
「彼のフィジカルの特徴を見ると、トップ下で違いを作り出せる選手なのか、確信が持てない。どちらかというと、中盤で舵取りをするべき選手なのではないだろうか。他の選手をうまく使える能力があるのでは?」
チェゼーナ時代の長友佑都の元同僚、マルコ・パローロ氏も、元ミランMFの意見に同調しつつ、21歳の若き逸材の成長を待つべきとの見解を示した。
「そうだね。突破能力もいくらかは持っているようだが、プレーする際、ブライム・ディアスのような闘志を持っていないような印象を受けた。ブライムは自身のフィジカルを使って奮闘し、対決に挑むが、デ・ケーテラーレは、対決を回避したり、ブレーキをかけたりしているようにも見える。ただ、時間は与えても良いだろう」
(C)Getty images
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