ジュビロ磐田 対 清水エスパルス の見どころ
J2での戦いと言えど、ダービーはダービーだ。そこにカテゴリーも順位も過去も関係ない。勝ったほうが、“静岡の勝者”であり、敗れたほうが“静岡の敗者”である。昨季はそろってJ2降格の憂き目にあったジュビロ磐田と清水エスパルスが、今季最初の静岡ダービーに挑む。
お互いに昇格候補に挙げられておりながらも、スタートダッシュには完全に失敗してしまった。現在、磐田が1勝1分2敗で15位タイに対し、清水は開幕から4試合連続引き分けで14位に位置。両チームともに勝点4で並んでいる。今季初勝利をつかんではいるが負け越している磐田と、負けてはいないが勝ててもいない清水。それぞれの収穫と課題を抱えながらのシーズンの幕開けとなっている。
このダービーをホーム側で迎える磐田は、開幕戦でファジアーノ岡山に競り負けると、第2節はレノファ山口と引き分け。第3節のモンテディオ山形戦で今季初勝利を飾った。その勢いのまま戦った前節・大宮アルディージャ戦は一方的に押し込む時間を作り、決定機の数では大幅に上回っていたが、肝心なフィニッシュ精度を欠き無得点。さらに終了間際に退場者を出すと、後半アディショナルタイムに決勝点を許してしまう、ダメージの残る敗戦を喫した。
ただ、ポジティブに捉えれば、攻撃の形は徐々に作れており、あとは決めるだけという状況に持ち込めていることも事実。積み上げてきたモノが間違ってはいないのだから、無得点の杉本健勇をはじめ、攻撃陣の奮起に期待した。先手を奪うことでゲームを優位に進められれば、今季2勝目は見えてくる。
アウェイ側となる清水は、ここまで4試合のうち3試合がスコアレスドロー。GK権田修一のファインセーブに助けられている場面も少なくないが、守備の安定感は光っている。その権田やCBの鈴木義宜を中心とした最終ラインの奮闘ぶりが目を引く。
そうなれば、勝つために必要なのは得点。昨季J1得点王のチアゴ・サンタナやカルリーニョス・ジュニオ、乾貴士といった違いを生み出せる選手はいるだけに、何か1つ打開策を見つけたい。チームのファーストゴールを決めているディサロ・燦シルヴァーノも得点センスは抜群。きっかけさえつかめば爆発力は備えているだけに、否が応でもテンションが高まるダービーをその契機としたいところだ。
シーズンが開幕してまだ序盤。それでも、この試合をモノにすれば一気に上が見えてくる一方、落としたチームはさらに沈んでしまう可能性はある。両チームにとって大きな意味をもつ一戦であることは間違いない。ライバルを叩き、浮上するのはサックスブルーとオレンジのどちらだろうか。
他会場のカード
3月19日（日）
14:00 ブラウブリッツ秋田 vs 水戸ホーリーホック（J2）
3連勝で勝点10とした秋田は、リーグで唯一の無失点を継続。今季初めてセットプレーから得点したこともポジティブな材料で、DF髙田椋汰のロングスローも鍵となるだろう。開幕から3試合引き分けが続いていた水戸は、前節攻撃のリズムを作れずに0-3で敗戦。前田椋介、安永玲央のダブルボランチを中心に立て直し、堅守の相手から初勝利をつかめるか。
14:00 モンテディオ山形 vs FC町田ゼルビア（J2）
クリーンシートで3連勝を飾った町田は、得失点差で首位に浮上。前半の先制点で試合を有利に進め、終盤に追加点を挙げるパターンが定着してきた。2連勝の後2連敗を喫した山形は、待望のホーム開幕戦。前節は開始5分の失点で相手のペースに持ち込まれたが、町田に同じ展開は避けたいところ。両翼のストロングを生かし、先にスコアを動かせるか。
14:00 いわきFC vs 徳島ヴォルティス（J2）
いわきは「復興応援試合」と銘打たれた前節のベガルタ仙台戦に勝利し、J2初勝利。今節は仙台同様にJ1経験を持つ徳島を迎えるが、鋭い出足で局面の優位に立ちたい。対する徳島は今季初の無得点に終わり、4試合でいまだ勝利なし。昨季所属した松本山雅FCでいわき相手に2ゴールを挙げたMF外山凌が、初顔合わせとなる一戦でも鍵を握りそうだ。
14:00 栃木SC vs 大宮アルディージャ（J2）
3試合連続の無得点で引き分けた栃木は、依然として決定力が課題に。FW矢野貴章の復帰を追い風にして、相手陣内で押し込む回数を増やせるかが初勝利への鍵となる。対する大宮の前節は終了間際にFWアンジェロッティの決勝ゴールが飛び出し、劇的な形で勝点3を獲得。昨季から5連敗中と苦戦が続くアウェイゲームにもその勢いをつなげていきたい。
14:00 ザスパクサツ群馬 vs ベガルタ仙台（J2）
前節の群馬は先制点を危なげなく守りきって今季初白星。キープや抜け出しでチームを助けたFW長倉幹樹は仙台に初めて勝利した昨季のホームゲームで決勝点を決めており、今節も期待がかかる。一方、勝点5で並ぶ仙台の注目選手はMF郷家友太。強い気持ちを持って臨んだ東北ダービーでは好機を生かせなかったが、今度こそ加入後初得点を狙う。
14:00 ツエーゲン金沢 vs レノファ山口FC（J2）
開幕からの連敗が4に伸びた金沢のキーマンはDF庄司朋乃也。複数失点が続くなか、守備陣に自信を取り戻すリーダーシップを期待したい。アウェイの山口も前節3失点で初黒星を喫したが、FW河野孝汰が怪我からの復帰後初得点をマーク。攻撃的な姿勢を打ち出すチームにとって、J2最年少得点記録を持つ19歳の復活は何よりの上積みとなりそうだ。
14:00 藤枝MYFC vs 東京ヴェルディ（J2）
2連勝のち2連敗となった藤枝はMF横山暁之に注目。下部組織に在籍した古巣との対戦になるが、“超攻撃的エンターテインメントサッカー”の担い手として輝きを放ちたい。一方、後半の2得点で勝負を決めた東京Vは開幕節以来の勝利で勝点を7に。GKマテウスを中心に今季3度目の無失点を記録した守備陣が、この試合でも相手の前に立ちはだかる。
14:00 ファジアーノ岡山 vs ヴァンフォーレ甲府（J2）
岡山は前節3-0で快勝し、2勝2分けと序盤戦を上々の滑り出し。4得点のゴールラッシュを披露した昨季の開幕節に続き、ホームで甲府撃破を狙う。一方の甲府も待望の初白星を挙げて反撃開始。前節はGK河田晃兵の好守に助けられた形となったが、開幕から沈黙の続くFWピーター・ウタカにはそろそろお目覚めの一撃を期待したい。
14:00 ロアッソ熊本 vs V・ファーレン長崎（J2）
熊本は2試合連続の3得点で連勝。昨季と前線の顔ぶれが大きく替わったが、石川大地、松岡瑠夢、島村拓弥の3人がしっかりと結果を残している。一方の長崎は2試合連続のドローで、昨季から続く連続未勝利はクラブワーストに並ぶ11試合に。充実した戦力を生かしているとは言い難い内容が続くなか、指揮官は改善策を見つけられるか。
14:00 大分トリニータ vs ジェフユナイテッド千葉（J2）
開幕4連勝を狙った大分の前節は、清水エスパルスとドロー。ただ内容をみれば勝点1はポジティブな結果であり、3試合連続無失点の奮闘を今節にもつなげたいところだ。開幕節以来の勝利を狙う千葉は、古巣対戦のFW呉屋大翔に期待。在籍時に公式戦通算10得点をマークしたかつての本拠地・レゾナックドーム大分で恩返し弾となるか。
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