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ディバラら偉大な王者たちの個の力vsサッリ率いるラツィオの組織力、EURO制覇の元伊代表アナリストがローマダービーを戦術分析…伝統の一戦を打開する2チームの武器は? | セリエA

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ディバラら偉大な王者たちの個の力vsサッリ率いるラツィオの組織力、EURO制覇の元伊代表アナリストがローマダービーを戦術分析…伝統の一戦を打開する2チームの武器は? | セリエAGetty Images
【欧州・海外サッカーニュース】元アタランタFWのシモーネ・ティリボッキ氏および元イタリア代表チーフ・アナリストのアントニオ・ガリャルディーニ氏が『DAZN(ダゾーン)イタリア』の番組内に出演し、ローマダービーで対峙するラツィオとローマの戦術のカギを読み解いた。

今シーズンのUEFAチャンピオンズリーグ(UCL)出場権争いを占う3位ラツィオと5位ローマによる大一番、ローマダービーがやってくる。

インテルおよびミラン、さらにアタランタと熾烈な争いを繰り広げるローマの2チームについて、現役時代はアタランタなどで活躍したローマ出身のシモーネ・ティリボッキ氏と、イタリア代表のチーフ・アナリストとしてEURO2020制覇を支えたアントニオ・ガリャルディーニ氏が『ダゾーン・イタリア』の特番「Like Tattico」で分析を行った。

Abraham della Roma in azione nel derby contro la LazioGetty

ローマの個の力とラツィオの組織力の勝負に

マウリツィオ・サッリが作り上げた組織力で攻撃を組み立てるラツィオと、“ホヤ(宝石)”ことパウロ・ディバラらの個の力を武器に試合をこじ開けるジョゼ・モウリーニョ率いるローマによる一戦。『ダゾーン・イタリア』の解説陣はまず、ラツィオの特徴と言える組織的なパス回しについて解説した。

サッリのチームはボールポゼッションの際、1分間に幾度となくパスを回し、1タッチもしくは2タッチでボールを動かし続ける。セリエAで最も素早いパス回しをするチームの1つと言える。またこの際、選手それぞれがチームメートとの距離を保ちつつ、連動した動きを見せる。

こうして中盤で相手の出方を待ちながら、無理な攻撃を仕掛けることはしない。そして相手がプレスのタイミングに失敗したのを見計らって、攻撃のスイッチを入れる。さらに前線においても、チーム全体で連動して動くことで、相手のマークを外し、フリーとなる選手を作り出してシュートへと持ち込む。

20230116-SerieA-Roma-Paulo-Dybala(C)Getty Images

モウリーニョ率いるローマは、守備においてコンパクトで組織的なプレーを見せる一方、攻撃においては、個人プレーを頼りとしている。特にディバラや主将のロレンツォ・ペッレグリーニら「偉大なカンピオーネ(王者)たち」の個の力やひらめき、クオリティが重要となる。

結束した全員参加の守備でボールを奪うと、カウンターからディバラやレオナルド・スピナッツォーラらのドリブルで攻撃の糸口をつかむ。ほぼ1タッチでパス回しをするラツィオに対し、「ローマは、個の力による偉大なクオリティでゴールチャンスを作り出す」とガリャルディーニ氏が強調する。

ティリボッキ氏も「ボールを受けたディバラは、ラツィオの選手たちのように周囲を確認することは一切せずにドリブルを仕掛ける」と指摘。こうして王者の才能を活かしたドリブル突破から得点に結びつけている。

例えばクレモネーゼ戦のように、引いて守る相手に対して苦戦した際も、王者たちのひらめきが効果を発揮する。前線のスペースを見つけられない場合、ディバラやペッレグリーニらがボールを受けに戻り、ビルドアップにおいて相手のプレスをかわすためのプラスアルファのプレーをもたらす。ガリャルディーニ氏は「ディバラでなかったとしても、常に個の力だ」とローマの攻撃の特徴を指摘している。

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両チームが狙う裏への攻撃

ローマのもう1つの攻撃の特色と言えば、裏を取る動きだ。ただ、それは「必要に求められてのことも多い」と元イタリア代表アナリストは主張。「ビルドアップに苦戦した際、こうした守備ラインからのロングボールに逃げることがある」との見解を示した。

元アタランタFWも「ローマには、うまく裏のスペースを狙うことができるFWがいる」と指摘。「ディバラやペッレグリーニらの個の力を頼りにできない時は、(ジャンルカ)マンチーニや(ブライアン)クリスタンテから前線へボールが送り込まれることが多い」と解説した。

こうしたアンドレア・ベロッティやタミー・エイブラハムを狙ったロングボールは、「守備ブロックとして動くラツィオの攻略法になり得る」とガリャルディーニ氏も結論づけた。

対するラツィオも、エースのチーロ・インモービレが裏のスペースを狙った攻撃を仕掛ける。低い位置で堅守を見せるローマを相手に広大なスペースは期待できないが、ティリボッキ氏は「ゴールから20~30メートルの位置でこうした攻撃の可能性はある」と指摘。「ラツィオは常にボール回しをしながら、動き出すインモービレに合わせてセンターバックが縦へのボールを送り込む」ことになる。

続けて『ダゾーン・イタリア』の戦術担当者も「インモービレはボールが入るのを見越すと、すぐにスペースを狙いに出て、自身の特徴であるプレーを見せるだろう」と述べた。

Esultanza Ciro Immobile 2022/23 DAZN Lazio

こう着したダービーをこじ開ける武器は?

伝統のダービーは、両チームが共に譲らず、こう着した状態になる傾向にある。こうした中、それぞれが自分たちの武器で試合の突破口を見つけることになるが、ローマに関してはセットプレーという強みもある。

今シーズンはすでにセットプレーから12ゴールを挙げているローマは、ディバラやペッレグリーニらキッカーに恵まれているうえ、マラシュ・クンブラやクリス・スモーリング、マンチーニ、ロジェール・イバニェスらフィジカルが強く、空中戦を得意とする選手も多い。

一方、ラツィオは、両サイドにおける1対1の勝負が武器となる。マッティア・ザッカーニやフェリペ・アンデルソンらはドリブルを得意としており、こうした選手たちに素早くボールを送り込むことで、1対1で有利な状況に持ち込むことができる。また、サッリ指揮下の攻撃における予測不能な要素となり得るだろう。

最後に『ダゾーン・イタリア』の解説陣は、ローマダービーの行方を予測。拮抗したダービーにおいては、個の力が試合をこじ開ける要素となるだけに、ガリャルディーニ氏は、選手個人の打開力を重視するモウリーニョのビジョンが有利となる可能性を指摘した。一方、ティリボッキ氏は、今シーズンのビッグマッチにおいて、個の力を上回る組織力で存在感を示してきたラツィオの優勢を予想している。

放送・配信予定

  • ラツィオ vs ローマ
  • 配信:DAZN
  • キックオフ:2023年3月20日(月)日本時間2:00
  • 解説:川勝良一 実況:河村太朗
  • 会場:スタディオ・オリンピコ

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