今週末のセリエA第37節でユヴェントス対ミランのビッグマッチが控える中、両クラブのOBである元フランス代表FWダヴィド・トレゼゲ氏と元イタリア代表DFアレッサンドロ・ネスタ氏が『ダゾーン・イタリア』の特番「Caro Rivale」に出演。両チームについて議論を交わした。
現役時代、トレゼゲ氏とネスタ氏が同じチームでプレーしたことはない。だがミランOBが「対戦した時はリスペクトしていた」と明かすと、ユーヴェOBも「最初に対戦したのは、彼がラツィオにいた時で、その後はミランにいた彼と対戦したが、最終的にチームの象徴になっていたね」と語り、当時を振り返った。
ミランの中心となるべき選手は?
ミランで2度のUEFAチャンピオンズリーグ(UCL)制覇やスクデット獲得などに貢献し、黄金期を支えたOBのネスタ氏は、ステファノ・ピオリのチームについて言及。FWラファエウ・レオンの重要性を指摘しつつ、長期を見据えたチーム作りにおいては、幼少の頃からのミラニスタであるサンドロ・トナーリを基盤とするべきであると主張した。
「今シーズンのミランにおいて最も重要な選手は、レオンと言えるだろう。彼は現在のミランの顔でもある。『レオンがいるかいないかでミランは変わる』とも言われているね。それからサンドロ・トナーリは、重要なチームを作り上げるうえでの中心とすべき選手だ。彼はクラブへの帰属意識を持っているからね」
「強い外国人選手は、その彼の周りに置けば良い。我々がそうであったように、ビッグクラブにはその象徴になるような選手が数人必要だ。毎年、3~4人のメンバーが入れ替わるかもしれないが、チーム内にそうした選手のグループがあれば、10年間にわたって偉大な勝利を収め続けることができる。トナーリは、そうした役割を務めるのにふさわしい若者と言えるだろう」
(C)Getty Images
ボヌッチ引退後のユーヴェは?
2000年から10年間にわたってユーヴェでプレーしたトレゼゲ氏も、ミランOBの意見に賛同すると、マッシミリアーノ・アッレグリ率いる古巣について自身の見解を示した。
「確かにトナーリのメンタリティはその役割に適している。彼はミランを愛し、選手としても成長を見せた。ユーヴェに関して言えば、今シーズンは(アドリアン)ラビオが献身的なプレーで、興味深いパフォーマンスを見せてくれた。それからダニーロは、現在のユーヴェにおける模範、象徴のような選手となったと言えるだろう」
「あとは(ドゥシャン)ヴラホヴィッチが、穏やかにプレーし、チームへ貢献できるよう願っているよ。面白い選手だが、苦しんでいる姿が見受けられる。ここから殻を破り、もっとチームに協力的な姿勢を見せ、そして何よりもゴールを決めて欲しい」
ユヴェントスでは、クラブの黄金期を支えた最後のセナトーレ(ベテラン)であるDFレオナルド・ボヌッチが来シーズン限りで現役を引退することを発表した。アンドレア・バルザーリ氏やジャンルイジ・ブッフォン、ジョルジョ・キエッリーニに続いて、ボヌッチもチームを去ることで、ユーヴェの基盤となっていたセナトーレ全員がいなくなることになる。
ネスタ氏は、バンディエラが不在となった後のチームの行く末を懸念している。
「過去には、デル・ピエロやパヴェル(ネドヴェド)、チーロ・フェラーラらが所属し、常にユーヴェの土台となる選手がいた。だが、ボヌッチがいなくなることで、その土台がなくなってしまうような気がする。チームの偉大な魂が感じられなくなってしまうのではないだろうか」
そんなネスタ氏の問いに対し、トレゼゲ氏は今シーズンに頭角を現し始めた下部組織出身のニコロ・ファジョーリやファビオ・ミレッティらのバンディエラとしての成長に期待を寄せる。
「私だけが言っていることではないが、ユーヴェはその後継となる選手を見つけなければならない。現在、ファジョーリやミレッティら若手選手たちが台頭してきた。面白い選手だと思うし、彼らを基礎としてチームを作り上げていくべきだ。現在のユーヴェは、こうした面から取り組むべきだと考える」
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横浜でもゴールを決めたネスタ氏のFW願望
現役時代、DFではあったが、クラブでの公式戦通算13ゴールをマークしたネスタ氏。2007年に日産スタジアムで行われたクラブワールドカップ決勝のボカ・ジュニアーズ戦でも得点を挙げ、ミランのタイトル獲得に貢献した。
「ゴールを決めた時は興奮したものだ。だが得点を挙げることに慣れていないものだから、耳鳴りがしていた。中でも重要だった得点は、UCL決勝のPK。それから、私は横浜でもゴールを決めている。シュートを打ったら、ボールはゴール隅へ飛んで行って、倒れて気を失うかと思ったよ。ゴールを挙げた時の気分は最高だ。私は人生において間違いを犯したと思う。DFをさせられてしまったからね」
そんなネスタ氏はトレゼゲ氏に対し、「DFについてどう思っていたんだ? 『かわいそうに』とか思っていたのか?」と質問を投げかけた。
元フランス代表FWは、「私の父は、南米の2部リーグでプレーするDFだった。だが、ラジオから聞こえてくるゴールの歓声に魅了され、DFになりたいとは思わなかった」と告白。するとネスタ氏は「DFは、自分でなることを選択するわけではなく、周囲からさせられるものなんだ。誰だってFWをやりたいものなんだよ」と結論付けた。
放送・配信予定
- ユヴェントス vs ミラン
- 配信:DAZN
- キックオフ:2023年5月29日(月)日本時間3:45
- 解説:細江克弥 実況:北川義隆
- 会場:アリアンツスタジアム
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