「本当の技術と心と体のタフさの両方が求められる」
17歳以下のアジア王者を決定するとともにFIFA U-17ワールドカップのアジア予選も兼ねるAFC U17アジアカップが、6月15日に開幕する。
東南アジアのタイで開催される同大会は、旧名をAFC U-16選手権と言い、2018年まで2年に1度のペースで開催されてきた。
その2018年大会では、DF半田陸(ガンバ大阪)や鈴木海音(ジュビロ磐田)、FW西川潤(サガン鳥栖)、荒木遼太郎(鹿島アントラーズ)らを擁した日本が見事に優勝。2020年大会がコロナ禍で中止になったため、5年ぶりの開催となる今大会はディフェンディングチャンピオンとして臨むこととなる。
だが、当時の指揮官であり、今大会もチームを率いる森山佳郎監督は「絶対に簡単な戦いにはならない」と気を引き締める。長くこの年代のチームを指導してきた指揮官は、「日本が強みとしている部分が必ずしも強みにならない」とアジアの戦いの難しさを指摘した。
「この時期のタイはちょうど雨季。練習から唐突な大雨が降ってきて、グラウンドはすぐにグチャグチャになる。自分たちのペースでサッカーができると思っていたら大間違い。ぬかるんだピッチでも通用する本当の技術と、心と体のタフさの両方が求められる」(森山監督)
チームにゆるんだ空気がないのは、こうしたアジアの厳しさを想定しているからだけではない。グループステージの初戦で当たるウズベキスタンとは昨年8月にアウェイでの親善大会で対戦済み。そこで0-3と「完敗している」(森山監督)難敵だ。
チームをコロナ禍が直撃し、指揮官も感染して離脱という特殊な状況での対戦だったとはいえ、選手たちの脳裏には手強いイメージが残っている。まずはこの初戦に全力を傾注するという思いは全員で共有できている。
目標はあくまでアジア王者
(C)川端暁彦
[(C)川端暁彦]
第2戦は同じ東南アジアの隣国ベトナム。近年急速に力を付けていて、地の利もある相手との試合もまた簡単なものにはならないだろう。インドとの第3戦を含めて様々な展開も考えられる中、7日から11日まで行われた国内の準備合宿では、さまざまな“アジアあるある”を想定したトレーニングも実施。相手が極端にドン引きしてくる、ロングボールを蹴り続けてくるといった日本国内の試合ではあまり体感する機会がないシチュエーションにも備えた。
また臨時参加した大黒将志ゲストコーチ、中村憲剛ロールモデルコーチがビルドアップからフィニッシュまでの新しいエッセンスを注入。急ごしらえながら攻撃面でのベースアップも図っている。
グループステージを抜けて迎える準々決勝は「勝てば世界大会出場権獲得」という大会のハイライトとなるステージで、毎回最大の激戦となる。オーストラリアやサウジアラビアといった強豪との対戦が予想されるだけに、経験豊富な指揮官は「グループステージで力尽きてしまわないようにコントロールしておくつもり」と単に勝つだけではないマネジメントに努める腹づもりだ。
その上で「目標はあくまでアジアチャンピオン。選手たちには一戦ずつ集中させて、その結果として最後に頂点に立っていたという形にできれば」と力を込める。
まずは17日、ウズベキスタンとの初戦から、若き日本代表の冒険が始まろうとしている。
文・インタビュー 川端暁彦
1979年8月7日生まれ。大分県中津市出身。フリーライターとして取材活動を始め、2004年10月に創刊したサッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』の創刊事業に参画。創刊後は同紙の記者、編集者として活動し、2010年からは3年にわたって編集長を務めた。2013年8月からフリーランスとしての活動を再開し、現在に至る。
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