I...NTER(インテル)
インテルは今シーズン、セリエAにおいて過去にも稀な12敗にも上る敗北を喫しながらも3位でフィニッシュした。“カップ戦の王”ことシモーネ・インザーギは、ロメル・ルカクのようなベンチメンバーを含め、セリエA最強の戦力とされるトップチームを賢くマネージメントし、スーペルコッパ・イタリアーナとコッパ・イタリアのタイトルを持ち帰ることに成功した。
インテルはまた、UEFAチャンピオンズリーグ(UCL)制覇の夢まで、あと一歩に迫った。アーリング・ハーランドを擁するジョゼップ・グアルディオラ率いるマンチェスター・シティと互角な戦いを見せ、フェデリコ・ディマルコやルカクらのプレーにより、最後まで試合を振り出しに戻そうと希望を失わなかった。
「苦く、耐え忍ぶのがつらい敗戦だが、さらに大きな偉業へ挑戦するための刺激になった」とのニコロ・バレッラの言葉通り、このインテルは次なる挑戦へ準備ができている。
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J...UVENTUS(ユヴェントス)
夏の補強を終え、期待は大きく膨らんだが、数多くの負傷者も抱え、スタートダッシュは輝かしいものとはならなかった。昨年10月のトリノダービーでの勝利から、FIFAワールドカップ(W杯)による中断期間を挟み、今年1月のナポリでの1-5の敗戦前まで、美しくはないが結果主義のプレーで8戦無失点を記録するなどシーズン最高の時期を過ごした。
マッシミリアーノ・アッレグリは、一見、チームを束ね直すことに成功したかにみえるが、あらゆる面において数多くの疑問も残る。また今シーズンは、ピッチ外の問題もチームを揺さぶり続けることになった。不振に終わったドゥシャン・ヴラホヴィッチ? どこか別の場所でやり直すべき選手と言えるだろう。
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K...VARATSKHELIA(クヴァラツヘリア)
セリエA開幕時に、ジョージア代表FWフヴィチャ・クヴァラツヘリアのことを知っている者は、ほぼ皆無だった。だが、早くも昨秋には、セリエAを席巻する新星としてその名をとどろかせることになった。セリエA挑戦1年目にして、ナポリで12ゴール10アシストをマーク。過去に類を見ないほどの大躍進で、セリエAの最優秀選手に選出された。
バンディエラだったロレンツォ・インシーニェの後釜として、ルチアーノ・スパレッティのチームに加わったクヴァラ。だが加入後、数週間後で、レジェンドのディエゴ・マラドーナ氏にちなみ、ナポリ市民から“クヴァラドーナ”と呼ばれるようになった。リーグ戦では、ミランのラファエウ・レオン(79回)に次ぐ76回のドリブルを成功させ、左サイドから数多くの決定機を作り出し、爆発力を見せた。
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L...AZIO(ラツィオ)
マウリツィオ・サッリ率いるラツィオは、セリエA第3節のビッグマッチでインテルを倒し、クレモネーゼやスペツィア、フィオレンティーナとの対戦では、クリーンシートで大量4得点を奪って勝利を収めた。ローマとの2度のダービーにおいても、いずれも1点差で接戦を制した。
エースのチーロ・インモービレが度重なるフィジカルトラブルにより、12ゴールにとどまった今シーズン、サッリ指揮下の2年目におけるラツィオの真の強さは、守備にあったと言えるだろう。守護神のイヴァン・プロヴェデルは、クリーンシートを21回記録した。
当初、指揮官サッリとの衝突が報じられたルイス・アルベルトも、のちに「自分のプレースタイルを変えた」と述べたとおり、転換点を迎えた。こうしてラツィオはリーグ戦を2位で終え、来シーズンのUCLへの復帰を決めた。だがおそらく、主力のセルゲイ・ミリンコヴィッチ・サヴィッチは、今夏にラツィオを去ることになるだろう。
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M...IHAJLOVIC(ミハイロヴィッチ)
W杯決勝でリオネル・メッシを擁するアルゼンチンがPK戦の末にキリアン・エムバペらのフランスを下した3日前の2022年12月16日、元ボローニャ指揮官のシニシャ・ミハイロヴィッチ氏が、この世を去った。その翌月には、ジャンルカ・ヴィアッリ氏も、その後を追うことになる。カリスマ性や才能、献身性、気概を持ち、カルチョを支えてきた2人は、最後の瞬間まで戦士だった。
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N...EXT GEN(ネクスト・ジェネレーション)
モンツァのラッファエーレ・パッラディーノやエンポリのパオロ・ザネッティ、ボローニャのチアゴ・モッタが新世代の指揮官として注目を集めた。中でもモッタは、他の指揮官よりも1ステップ上と言ってもよいだろう。流動性のあるカルチョに加えて、マネージメント力も見せて結果を出し、彼のチームは、常に若手が主役となっていた。
セリエAでは、新世代の若手選手たちも活躍し始めた。2003年生まれの若者を先発起用することも恐れる必要はない。エンポリでは、トンマーゾ・バルダンツィやニコロ・カンビアーギが躍動。ユヴェントスでは、ニコロ・ファジョーリやファビオ・ミレッティが抜てきされ、ローマでは、エドアルド・ボーヴェが台頭した。
サンプドリアの悪夢のシーズンにおいて、アレッサンドロ・ザノーリの活躍が唯一の好材料だったと言える。ロレンツォ・コロンボは、W杯による中断期間前にブレイク。レッチェをセリエA残留へ導くPKを沈めてシーズンを終えた。
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O...SIMHEN(オシムヘン)
セリエAでは、過去15年間にわたって、優勝チームから得点王が生まれていなかった。だが、今シーズンのヴィクター・オシムヘンは、あらゆる記録を打ち破る活躍を見せ、彼のフェイスガードは、ナポリの新時代の象徴となった。
ほお骨の下に18本のボルトが入った状態で、26ゴールをマークし、通算50得点を記録したオシムヘン。かつてサミュエル・エトー氏が残したセリエAの1シーズンにおけるアフリカ人選手最多得点記録や、ジョージ・ウェア氏のセリエA通算最多得点記録(46得点)を塗り替えた。
ナイジェリア代表FWは、フィジカルのパワーと才能に恵まれ、絶えず成長を続けている。彼の才能が開花したのは、ルチアーノ・スパレッティの献身的な努力の結果でもあるだろう。
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文・マリア・ピア・ベルトラン/ダゾーン・イタリア記者&フィールドプロデューサー
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