町田ゼルビア 対 東京ヴェルディ の見どころ
国立競技場での首位決戦だ。首位・町田ゼルビアと2位・東京ヴェルディの勝点差は『10』。町田がここで勝ち独走態勢をさらに加速させるのか、東京Vが意地を見せ、待ったをかけるのか。天王山で迎える東京クラシックは熱い90分になること間違いなしである。
ホームの町田は、ミッドウィークに行われた3位・大分トリニータ戦を3-0で勝利。前半のうちに先制すると、後半にエースストライカーのエリキが追加点を挙げ、終盤にもダメ押し点を奪う完璧な展開で上位対決を制した。クラブ史上初のJ1昇格に向けて、また1つライバルを蹴落とした。
そこから中3日で迎える首位攻防戦を前にして、町田は電撃移籍を実現させた。今節の対戦相手となる東京Vからバスケス・バイロンを獲得。ライバルクラブから主力を引き抜き、世間に衝撃を与えた。移籍ウインドの影響でこの試合には出場できないが、両チームにとって今回の移籍劇が与える影響は計り知れない。闘志を燃やして臨んで来るだろう相手を返り討ちにして、ポイント差を広げたい。
シーズン25試合目にして黒田ゼルビアが迎える最大のビッグゲーム。国立競技場でのホームゲーム開催という点だけでも注目度が高い中で、新たな因縁が加わった。悲願のJ1に向けて可能なかぎり手段は尽くす。勝つことで周囲を黙らせ、首位を突っ走る。
アウェイの東京Vからすれば、この一戦に挑むモチベーションをあらためて言葉にする必要はない。J1昇格に向けて絶対に負けられない天王山というシチュエーションに加え、主力を引き抜かれた衝撃と動揺は隠すに隠し切れないだろう。ただ、そのモヤモヤを晴らす方法はたった一つ。勝つしかない。首位から勝点3を奪い取る。
昇格レースの行方に目を移しても2位以下は混戦模様で6位とはわずか3ポイント差。この後半戦は1試合ごとの結果が順位に直結するしびれる状況になっている。前節はホームでV・ファーレン長崎との直接対決を落としているだけに連敗は絶対に許されない。
その一戦に向けて大きな注目と期待を集めるのが染野唯月。昨季もシーズン途中に加入しストライカーのポジションで定位置を獲得しながら、今季のスタートは鹿島アントラーズに戻っていた点取り屋が、このタイミングで帰って来た。今節での再デビューが濃厚。あいさつ代わりのゴールで因縁の一戦の勝者に導きたい。
他会場のカード
7月9日(日)
18:00 ブラウブリッツ秋田 vs ロアッソ熊本(J2)
秋田は先発8人を入れ替えた前節、クラブ最多に並ぶ5失点で大敗。チームの生命線となる粘り強さ、強度を取り戻せるかが鍵を握る。追いついて勝点1を獲得した熊本は連敗を2でストップ。U17日本代表から戻ったFW道脇豊もゴールに迫り、今後への期待を抱かせた。14位の秋田、12位の熊本ともに勝点は「31」で、6位に9ポイント差、降格圏には7ポイント差。浮沈をかけた大事な一戦となる。
18:00 いわきFC vs 水戸ホーリーホック(J2)
21位・いわきと、3ポイント差で先行する16位・水戸の“常磐線ダービー”だ。いわきはMF岩渕弘人の3試合連続ゴールで栃木SCを撃破。「魂の息吹くフットボール」を90分間体現したことも心強く、再びの下位対決となる今節は降格圏脱出を狙う。対する水戸もDF松田佳大の2得点などで鮮やかな逆転勝利。前回対戦では得点直後に二度追いつかれて引き分けたが、2連勝で勝点を30に乗せられるか。
18:00 栃木SC vs ベガルタ仙台(J2)
19位・栃木の前節はFW宮崎鴻の負傷交代が響いた形となり、4試合ぶりの黒星。ホームに戻る仙台戦では、惜しいシュートが続いているFW小堀空の初得点に期待がかかる。対する13位・仙台は2試合連続で3点差の敗戦を喫し、プレーオフ圏内との差は9ポイントに拡大。今節はMF鎌田大夢、FWホ・ヨンジュンを出場停止で欠くが、過去6戦全勝と相性の良いカードで流れを変えたいところだ。
18:00 藤枝MYFC vs ヴァンフォーレ甲府(J2)
藤枝の前節は数的不利の中で奪い取った追加点がものを言い、3-2で勝利して8位に浮上。直近3試合は同じ先発メンバーで戦ってきたが、DF山原康太郎、MF水野泰輔が出場停止の今節はチームの底力が問われそうだ。対する6位・甲府も今季2度目の5得点で大勝を収め、2位との勝点差は「3」に。藤枝との前回対戦では今季初勝利を記録し、そこから4連勝を達成。今回も勢いをつける3ポイントを奪いにいく。
18:00 V・ファーレン長崎 vs レノファ山口FC(J2)
東京ヴェルディとの激戦を制した5位・長崎だが、エースのFWフアンマ・デルガドが累積警告で今節から2試合出場停止、さらにMFカイオ・セザールも前節の退場処分で不在と正念場。勝てば2位浮上の可能性もあるなか、最前線での起用が予想されるFW都倉賢に期待がかかる。対する17位・山口は1-0の勝利で4試合連続の無失点。堅守再建を下支えする、高い位置でのボール奪取に今節も注目だ。
19:00 モンテディオ山形 vs ジュビロ磐田(J2)
2連勝を狙った11位の山形だったが、前節の敗戦により6位との差は「8」に。磐田にアウェイで敗れた第3節から泥沼の8連敗が始まっただけに、雪辱を期して臨む一戦となる。4位の磐田はフィールドプレーヤー10人を入れ替えたツエーゲン金沢戦に勝利し、自動昇格圏への浮上が見えてきた。注目選手はGK三浦龍輝。ビッグセーブでチームを救った前節同様、自軍のゴールに鍵をかけられるか。
19:00 ザスパクサツ群馬 vs 大宮アルディージャ(J2)
引き分けが4試合続いている群馬は9戦ぶりの勝利を懸けてのホーム連戦。決勝ゴールを奪った前回対戦をはじめ、大宮相手に2021年から3年連続で得点しているFW平松宗の活躍に注目だ。一方の大宮は16試合ぶりに白星を挙げ、長いトンネルからついに脱出。試合翌日には、名古屋グランパスでも活躍したFWヤクブ・シュヴィルツォクの加入が発表された。最下位からの逆襲へ向けて連勝で勢いをつけたい。
19:00 ジェフユナイテッド千葉 vs ツエーゲン金沢(J2)
最下位の大宮アルディージャに敗れた15位・千葉は2節連続の下位直接対決。勝てば勝点差を「7」に広げることができるホームゲームは、前節J2通算200試合出場を達成したMF米倉恒貴の活躍が期待される。20位の金沢は3連敗を喫し、降格圏のいわきFCに勝点で並ばれた。時間が経つにつれて試合の主導権は奪い返しているだけに、悔やまれるのは序盤の失点。粘り強い守備で前回対戦同様の完封勝利となるか。
19:00 徳島ヴォルティスvs ファジアーノ岡山(J2)
5試合ぶりの黒星を喫した徳島は18位に後退。流れの良い時間帯に2点目を取れなかったことが響いたが、5月以降6試合負けのないホームゲームで再び良い流れをつかみにいく。対する9位の岡山は藤枝MYFCに2-3で敗戦。ただ、FW坂本一彩に開幕節以来のゴールが生まれたことは光明だろう。先月2-0で勝利した徳島戦で、Jリーグ初得点をマークしたMF田部井涼にも注目が集まる。
19:00 大分トリニータ vs 清水エスパルス(J2)
首位のFC町田ゼルビアに敗れた3位・大分は、町田との勝点差が「11」に拡大。引き続きホームで迎える清水戦では、FWサムエルの今季初得点が待望される。その大分との差を4ポイントに縮めたのが、5月以来の連勝を達成した7位・清水。仙台での前節は理想的な試合運びで3-0の快勝を収めた。大分に移動して迎える今節もアグレッシブな守備を敢行し、アタッカー陣に良い形でボールを届けたい。