明治安田生命J3リーグKONAMI 月間MVP。6月度の受賞者は、4試合に出場して4得点を決めた富山の佐々木。なかなかチャンスを得ることができていなかった佐々木がどのようにして多くの得点を奪うように至ったのか。地元のクラブでJ2昇格を狙う男の熱い思いを聞いた。(取材日:7月11日)
「得点よりも上手くいかなかったときの姿勢を一番見てほしい」
(C)J.LEAGUE
ーー6月度のKONAMI月間MVPの受賞、おめでとうございます。
Jリーガーになって個人賞は初めてですし、素晴らしい選手が多い中、受賞できたことは素直にうれしいですね。
ーー6月は4試合で4ゴールの結果を残されました。この数字をどのように捉えていますか?
今季はボランチでスタートしたんですけど、この4試合は1列前のトップ下でプレーする機会が多く、フィニッシュに関わる意味ではゴールに加えてアシストも記録できました。そこは意識していた部分であるので、これを継続していかないといけないですね。
ーー4得点を振り返ると、いろいろな形でのゴールですが、意識していたことやゴールを取れた意味はどのように考えていますか?
4ゴールともに自分の中ではイメージしていたとおりの形でした。アシストしてくれた選手のキャラクターだったり、自分がどこに行ったら一番パワーを使えるかだったりを逆算したりして、その駆け引きの中でゴールを取れたと思っています。
ーーどのゴールも勝利に直結したゴールでした。
ゴールを取ることがチームの勝利に一番つながると思っていたので、本当にそこは意識していました。継続することを意識してこれからもやっていきたいと思います。
ーー今季全体で見ると、5月までは先発の機会がなく、6月から先発のチャンスが巡ってきたと思います。きっかけやターニングポイントはありましたか?
試合に出られていないときこそ、どう立ち振る舞うかは本当に意識していて、そういうときだからこそ前向きに練習に取り組み、出たときに何ができるか、そのための準備をしておく。そこは本当に人一倍意識していることではあります。だからこそ、“4試合で4ゴール以上のモノをもっともっと出していきたい”という強い思いはあります。
ーー今回の活躍はそういう積み重ねがあったからこそなんですね。
僕を見てくれていた人、特に子どもたちには、得点よりも上手くいかなかったときの姿勢を一番見てほしいと思っています。そういうときにどれだけ自分にベクトルを向け、自分にどれだけ厳しくできるか。そういう積み重ねが最後はつながってくると僕は信じています。
ーーでは、6月4日の第12節・カマタマーレ讃岐戦で初先発のチャンスをもらったときはどんな思いでピッチに立ちましたか?
その前までは、チームとしてちょっと足踏み状態が続いていて、内容的にもなかなか上手くいっていませんでした。だから、自分が入ったときにはリズムを作る自信はありましたし、チャンスは多く作れると思っていたので、あとはそこで結果を残せるかどうかだけにフォーカスして入りました。
ーー本職のボランチではなくトップ下で起用されても迷いはなかったですか?
今までもボランチだけでなく、トップ下やサイドハーフなどいろいろなポジションでプレーしてきて、それぞれのポジションでやるべきことは整理できていたので、クリアにプレーできたと思います。
ーーゴールを決めたときにあれだけ喜んでいた理由が分かりました。
どうしても自分の状況を変えたかったとすごく思っていた中、結果で自分の立場を変えられたのですごくうれしかったですね。
昇格に向けて地域のサッカー熱を高めたい
(C)J.LEAGUE
ーー富山でのプレーも7シーズン目を迎えましたが、地元のクラブでプレーする意義をどう感じていますか?
地元でプレーできる選手は本当に限られた存在だと思いますし、同じチームにこれだけ長く在籍できる選手はさらに限られると思うので、本当に喜ばしいことです。ただ、同時にこれだけJ3にいる時間が長くなってしまった責任感はもちろんあります。この賞をきっかけに、もっと富山県の子どもたちに『こんな選手いるんだ』と知ってもらい、もっともっと盛り上がってくれたらうれしいと思っています。
ーー今後、カターレ富山をどのように広げていきたいですか?
高校、大学と東京に出て、外から見ていた富山といまの富山では、まるで富山県自体が変わっていると思います。本当に活性化して、街全体の利便性がよくなり、富山県として活気づいてきています。でも、サッカー熱があまり高くなっていないのも事実なんです。富山のスポーツで言うと、サッカーだけでなくバスケットボール、野球、ハンドボール、バレーボールといろいろとあって、バラけてしまっているのがいまの状態です。これをもっと『富山と言えばカターレ富山だよね』と言ってもらえるような街づくりにしていくには、こういう賞やJ2復帰という大きなニュースをもたらしていかないとなかなか広がっていかないとは感じています。
ーー前半戦ももう少しで終わり、後半戦に入れば昇格争いが本格化してくると思います。その争いを勝ち抜くために大事になると考えていることはありますか?
やっぱりサッカー熱を高めることですよね。いま、ホームスタジアムに足を運んでくださる平均観客数が3000人ちょっとなんですよね。ここから先、昇格に向けて大事な試合が続いていくと考えると、やっぱり平均5000人はいきたい思いはあります。『佐々木陽次がJ3月間MVP賞を獲ったんだ』というのも1つのきっかけにもっと多くの人にスタジアムに足を運んでもらいたいです。
ーーここ数年は終盤までJ2昇格争いに関わる戦いをできているだけに、なおさらその思いは強いですよね。
そうですね。多分、富山の人たちも見慣れているじゃないですけど、『カターレは惜しいところまで行くけど、また今年もJ2に上がれなかったね』で終わっちゃっていると思うので、『今季はひと味違うぞ』と思わせるためにも、もっと盛り上げていきたいです。
ーー自身としてもキャリアハイのゴール数まであと2ゴールですね。
毎年のようにキャリアハイを越せる可能性がある訳ではないので、そこは意識しながら狙いにいきたいと思っています。トップ下のポジションで出続けるなら1つのゴールが勝敗につながってくると思うので、ゴール数は増やしていきたいですね。
ーー個人的な目標はありますか?
残りのシーズンを考えても、個人の目標とチームの目標はイコールです。J2に復帰するために何をしないといけないか考えながら、僕の目標でありチームの目標であるJ2復帰を目指していきたいです。
文・インタビュー 須賀大輔
1991年生まれ、埼玉県出身。学生時代にサッカー専門新聞『ELGOLAZO』でアルバイトとして経験を積み、2016年からフリーライターとして活動。ELGOLAZOでは柏レイソルと横浜FCの担当記者を経て、現在はFC東京と大宮アルディージャの担当記者を務めている。
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