今夏、2016年にプロキャリアをスタートさせたクラブでもあるサンフレッチェ広島に別れを告げ、中学時代に下部組織に在籍した経歴のある名古屋グランパスへの移籍を決断したMF森島司。広島で10番をつける中心選手がシーズン途中での移籍ということもあり、今夏の中でも大きな話題を集めたニュースとなった。
そんな森島に、両クラブのOBでもある佐藤寿人氏がインタビューで直撃し、移籍の真相に迫った。
佐藤氏から移籍の決め手を問われた森島は、こう素直な思いを語った。
「まずは広島が素晴らしいチームで、一生プレーしたいという気持ちもあった。ただ名古屋さんからオファーを頂いた時に初めて移籍というのを考えた。その時に（自分自身の）成長スピードが遅くなっているのかなというのは感じていたし、今季もめっちゃ良いプレーができていたわけではなく、一つでも二つでも武器を増やして成長したいという思いがあった」。
移籍の決め手になったのは、より高みを目指したいという”成長への欲”。特に最近は、個人で打開する力に物足りなさを感じていたと言う。
「広島で出始めた頃は、ドリブルで剥がすことができていたが、最近はそういったプレーが自分の中ではあまり出せていないというのを感じていた。そこは自分として大事にしているところ。そのためにも環境を変えてみたいというのが決め手になった」。
名古屋は今夏、背番号10を背負い、圧倒的な個人技で攻撃のところで違いをもたらしていたFWマテウス・カストロがサウジアラビアのアル・タアーウンFCへ完全移籍。同じポジションを主戦場とし、穴埋め候補として期待される森島にとって、比較されることが避けられない立場でもある。その上で自身とのプレースタイルの差についても言及し、新天地でも”自分らしさ”を追求していく構えだ。
「今はマテウス選手が抜けたところに入っているので、客観的に見たら（マテウス選手のような）爆発的なところを出して欲しいと思うかもしれないですが、自分とはタイプが全く違って、ボールを大事にするところもそうだし、ラストパスやクロスが自分の武器なので、そういうのをプラスで出していきたい。あとは去年から広島でも求められてきたボックス内でゴールに絡むところは意識しているので、そういった攻撃の部分をより発揮していきたい」。
その中で自身の特長をチームの特長に噛み合わせていくイメージもすでに描けているようだ。長谷川健太監督から求められているのは、「名古屋はボランチやウイングバックがクロスに入ってこられるところが名古屋の強みなので、右サイドを突破するところとボールを奪った後にキャスパー（・ユンカー）の裏はチームとしてもすごく意識しているし、そこだけで得点を取れる感じもあるので、そこは常に狙っていきたい」と自身の役割を語っている。
そんな中で今週末は、金J開催で4位につける浦和レッズとの上位対決に臨む。浦和は、首位のヴィッセル神戸と並んでリーグ最少の「19」失点と堅守を武器としている。そういった特長を持つチームとの対戦を前に森島は、「今シーズンの浦和は2CBが硬いイメージがあるので、CBを動かすことが大事になる」と堅守攻略のポイントを明かし、「センターバックを自分が引き出して、クロスを上げられれば、中央は薄くなる」とゴールへのイメージを膨らませている。
勝ち点「47」で並んでいる首位・神戸、2位の横浜F・マリノスを勝ち点「2」差で追走する名古屋としても13シーズンぶりのリーグ制覇が狙える好位置をつけている。昨シーズンは、広島でJリーグYBCルヴァンカップを制覇し、自身のキャリアで初めてタイトルも獲得した。そんな中で抱くリーグ制覇への思いをこう口にした。
「去年はカップ戦で優勝させてもらったが、リーグ戦での優勝はまだ味わえていない。カップ戦とはまた違った喜びがあると思うので、それを味わってみたいし、今そういうヒリヒリした戦いができていることは光栄なこと」。
自身初のリーグ制覇に胸を高鳴らせる新戦力が、名古屋にリーグ制覇をもたらす活躍をここから見せることができるか。今後の活躍にも注目したい。
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