先週末の日本時間20日にセリエAの新シーズンが開幕した。連覇を目指す王者ナポリや、チームの大改革を行ったミランやインテル、マッシミリアーノ・アッレグリの元で再出発を目指すユヴェントス、さらに日本代表MF鎌田大地が加わったラツィオなどに関心が集まる中、チーロ・フェラーラ氏ら解説陣が『ダゾーン・イタリア』の「Supertele」に出演。上位争いの行方を予測した。
まず、フェラーラ氏は自身の古巣であるナポリとユヴェントスをそれぞれ1位と2位に据えた。続いて3位以下はインテル、ミラン、ローマ、アタランタと続き、鎌田の所属するラツィオは7位と予想。ただ、「今シーズンのリーグ戦は非常に拮抗したものになるだろう」と補足した。
フィオレンティーナやユヴェントス、ローマなどでプレー経験のあるルカ・トーニ氏も、ナポリの優勝を予想。2位以下にはインテル、ユヴェントス、ミランと御三家を並べ、その次にラツィオ、ローマ、アタランタと予測した。「これからビッグディールを行うチームが出てくる可能性があるが、現時点では、まだナポリが他のチームをリードしているように思う」と述べた。
すると『Gazzetta dello Sport』のアンドレア・ディ・カーロ副編集長は、2人の予想を受けて「(ルチアーノ)スパレッティから(リュディ)ガルシアに指揮官が交代しても、あまり変わらないのだろうか」とコメント。「トップチームもキム(ミンジェ)が退団しただけで、ほぼ同じままで重要なチームだが、スパレッティがいなくなり、どれほど獲得ポイントが減るだろうか」と疑問を掲げた。
OBのフェラーラ氏がイタリア紙の記者の質問に答えた。
「ナポリが昨シーズンと異なる状況に置かれた時、どうなるかに注目するべきだ。昨シーズンは大幅なリードを保っていたが、僅差になった時のポイントの獲得が非常に重要になる。どんなプレッシャーがかかり、どのように選手たちが反応するかが見ものだ」
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フェラーラ氏は、UEFAチャンピオンズリーグ(UCL)の出場権を獲得する4チームを「ミラン、ナポリ、インテル、ユヴェントス」とし、「より信頼度の高いチームだ」と主張する。だがディ・カーロ記者は、UCL出場権争いへ鎌田が所属するラツィオも絡んでくるとの見解を示した。
「テーブル上の計算ではその通りだ。しかしラツィオも考慮に入れるべきだろう。昨シーズンを2位で終え、(セルゲイ)ミリンコヴィッチ(サヴィッチ)を失ったが、選手層は厚くなった。私はラツィオに興味津々だ」
「開幕戦はサッリの1年目や昨シーズンも時折見られたように、継続性を示せず、試合中に自らを見失ってしまい、攻撃的な姿勢を示せなくなるという小さな欠点が露呈し、ネガティブなものになってしまったがね」
順位 | フェラーラ予想 | トーニ予想 |
---|---|---|
1 | ナポリ |
ナポリ |
2 | ユヴェントス | インテル |
3 | インテル | ユヴェントス |
4 | ミラン | ミラン |
5 | ローマ | ラツィオ |
6 | アタランタ | ローマ |
7 | ラツィオ | アタランタ |
8 | フィオレンティーナ | フィオレンティーナ |
過小評価された最高の指揮官マッツォーネ
続いて話題は、19日に86歳でこの世を去った名監督のカルロ・マッツォーネ氏に。下位クラブで指揮を執り、セリエA残留請負人として活躍したほか、フランチェスコ・トッティ氏やアンドレア・ピルロ氏、ロベルト・バッジョ氏ら名選手への指導経験もある。ペルージャでは元日本代表の中田英寿氏を指導したことでも知られる。そんなマッツォーネ氏について、ディ・カーロ記者が熱弁した。
「マッツォーネは一時期、変革者とも言われていた。(アンドレア)ピルロの時よりもさらに遡って、彼がキャリアを始めたばかりの頃に率いたアスコリはトータルフットボールの始まりと言われたこともあった。マッツォーネは常に、残留争いをするチームの指揮をし、最高峰レベルとは言えない選手たちの指導も喜んで行っていた」
「つまり冷蔵庫にある材料を使って料理し、常にクラブの目標である残留を勝ち取った。だが、彼に定着したイメージはなかなか良くならず、ビッグクラブにふさわしい指揮官とみられることは一度もなかった」
「しかし、彼の指揮下でカンピオーネ(王者)たちがプレーするようになると、偉大なカルチョも見せた。トッティらを抜てきしたり、ピルロのようにポジションをコンバートさせたりしたこともあった。彼のブレシアには、トーニやバッジョ、(ジョゼップ)グアルディオラ、(ルイジ)ディ・ビアージョらレベルの高い選手が数多くいた」
「トップ下の選手だったピルロには、レジスタの役割を与え、バッジョとの共存の道も見出した。マッツォーネは過小評価されていた最高の指揮官だった。しかも700試合以上をこなす長いキャリアにおいて、スキャンダルや奇妙な試合に巻き込まれることもなかった」
「常にセリエAで胸を張り、自身の愛するローマを率いて偉大なカンピオーネたちを指導する喜びと誇りをかみしめることができた。それに加えてうそ偽りのない親しみやすい率直なキャラクターで、2006年に第一線から退いた後も、現在に至るまで人気者だった。偉大な人物を失った」
2001年から2003年までブレシアで指導を受けた元イタリア代表FWのトーニ氏は、犬を巡るマッツォーネ氏との思い出を回想した。動物嫌いだったマッツォーネ氏だが、バッジョ氏の犬には逆らえなかったようだ。
「監督は動物が苦手だった。ある日、練習場に選手が連れてきた犬が2匹いた。すると監督は『ダメだ! なんだこの犬は。どこかへ連れていけ! 見たくない!』と反応したんだ。その2日後、今度は別の犬が練習場にいた。監督は『また犬か! 誰の犬だ!』と言った。すると今回はロビー(バッジョ氏の愛称)が『僕のです』と答えると、監督は『犬にボールを与えて遊ばせておけ』って言ったんだ(笑)」
(C)Getty images
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