収穫だらけの欧州遠征──。今回の9月シリーズを表現するなら、そんな言葉が当てはまる。
今遠征が始まる前からドイツ代表やトルコ代表といった欧州の強敵を相手に、どんな試合ができるかは多くのサッカーファンの関心事だった。ただ、この強化試合を2連勝、それも4得点ずつを奪って勝利するなど、誰が予想できただろうか。それだけにインパクトのある遠征となったことは間違いない。
特にドイツ代表戦の勝利は、日本サッカー界を大いに盛り上げる結果となった。
昨年のFIFAワールドカップ(W杯)カタール2022・グループステージで勝利していたとはいえ、敵地で“本気となったドイツ”との対戦。絶対に負けられない状況で挑んでくる相手に対し、苦しい試合になることは明らかだった。
しかし、蓋を開けてみると、カタールW杯の課題を踏まえて日本代表は前線からのプレスと奪ってからの素早い攻撃を展開。自陣からもしっかりとボールを繋ぐことでポゼッション率を上げることに成功した。それでいて相手の隙を徹底的に突き、サイドチェンジを起点に右サイドからの仕掛けでゴールを奪取。再現性のある攻撃を構築できたことは大きなプラスとなった。
もちろん、失点シーンを含めて課題はあったが、逆に言えば100点の試合なんてものはなかなか存在しない。自分たちのできることを試し、それによって生まれた収穫、課題を次に繋げるという点では、終盤の5バックも含めて最初から最後までチャレンジを貫き通しながら4-1で快勝できたことは、申し分のない結果と言えるだろう。
また、そのドイツ代表戦の勝利があったからこそ、続くトルコ代表戦ではさらなるトライをすることができた。ドイツ撃破によって多くの選手のモチベーションが高まったなか、中2日の状況もあり大幅にメンバーを変更。選手層の底上げを見据えて試合に臨んだ。
この試合は課題が明確に見える試合ではあったが、DF毎熊晟矢を始めとした新戦力が躍動。ポジション争いの活性化につながるゲームをした上で、MF遠藤航やDF冨安健洋が途中出場で高いレベルを見せることで多くの選手に刺激を与える試合となった。そういった点を踏まえても、結果もさることながら、チームにとって大きな成果が見られる遠征となった。
「より多くの選手たちとチームの戦術的なコンセプトを共有することができたのは非常に大きかったと思います。ドイツと戦ったなかで、我々はピッチ内でやるべき攻守の切り替えの部分であったり、攻撃の優先順位、守備の優先順位ということを確認した上で勝利ができ、自信を深めることができた。トルコ戦ではさらに多くの選手がドイツ戦を踏まえてコンセプトの練習をし、またそれを試合の中で確認をできたということは非常に大きかったと思っています。勝って自分たちがやるべきことにさらに自信を持ち、納得して、レベルアップしていくことが大切だと思います」(森保一監督)
第2次森保ジャパンになってから“勝ちながら課題を修正していく”という素晴らしいサイクルに入っている日本代表。10月シリーズを超えるとアジアでの戦いが待っているが、そこに向けてさらにチームを強化していきたいところだ。
文・林遼平
埼玉県出身の1987年生まれ。東日本大震災を機に「あとで後悔するならやりたいことはやっておこう」と憧れだったロンドンへ語学留学。2012年のロンドン五輪を現地で観戦したことで、よりスポーツの奥深さにハマることになった。帰国後、フリーランスに転身。サッカー専門新聞「エルゴラッソ」の番記者を経て、現在は様々な媒体で現場の今を伝えている。
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