日本代表MF鎌田大地が所属するラツィオは日本時間31日、セリエA第10節でフィオレンティーナと対戦。試合終了間際のPKにより、主将のチーロ・インモービレが決勝点を挙げて1-0と勝利した。
鎌田は、リーグ戦6試合連続でベンチスタートとなったが、67分にマティアス・ベシーノと共にピッチに登場。ルイス・アルベルトとマテオ・ゲンドゥージと入れ替わり、試合終了までプレーした。そんな日本代表MFについて、『ダゾーン・イタリア』の解説陣が見解を示した。
鎌田が10番の地盤で魅せたプレー
この試合の実況と解説を担当したステファノ・ボルギ記者はまず、ラツィオ指揮官の采配に言及すると「ラツィオは2枚替えだ。(マウリツィオ)サッリはベシーノとカマダを入れて中盤を修正した」とコメント。すでにニコロ・ロヴェッラをダニーロ・カタルディと交代させていたことから「サッリは中盤をすべて入れ替えたことになる」と続けた。
さらに鎌田が出場機会に恵まれていなかったことにも触れ、「直近では出場時間が多くなかったが、彼の本来のポジションである左インサイドハーフでチャンスが与えられた」と言及する一方、同ポジションは「このチームの背番号10番の地盤だ」と伝え、レギュラー奪取が難しいルイス・アルベルトの居城であることを示唆した。
同席したラツィオOBのダリオ・マルコリン氏は、この交代について「これまではテクニシャンと前線への飛び出しを特徴とする2人だったが、今度は2人とも飛び出しを特徴とする選手だ。つまり襲撃を仕掛けたい、もしくはフィオレンティーナ陣内により多くの選手を送り込みたいということだろう」と述べ、試合に勝ち切るための切り札であることを解説した。
続いて69分、鎌田がピッチ中央付近から右サイドのフェリピ・アンデルソンへスペースを狙ってパスを出したシーン。ボルギ記者は「カマダからフェリピ・アンデルソンへ素晴らしい斜めのパスだ」と賛辞を贈ると、その後、エリア内に侵入したブラジル人MFのシュートが2度にわたって失敗に終わるのを見届けたマルコリン氏は「おそらく躊躇しすぎた。もっと早くシュートを打つべきだった」と振り返った。
さらにラツィオOBが「フィオレンティーナは人数をかけて攻撃するので、ラツィオはまたしてもフィオレンティーナの選手の背後のスペースを活かした」と補足すると、ボルギ記者が再び「フェリピ・アンデルソンを釣り上げるカマダの斜めのパスは美しかった」と強調した。
71分、鎌田が味方のパスをカットしたフィオレンティーナの右サイドバックのファビアーノ・パリージからボールを奪い返すと、ボルギ記者は「日本人選手はアピールを目指していて、意欲とスピリットが感じられる」と好印象を明かした。
(C)Getty images
伊解説陣が絶賛のインモービレとの連携
そして90分、鎌田が左サイドでインモービレからボールを受け、相手陣内深くにリターンを返したシーンでは、ボールは惜しくもゴールラインを割ってしまったが、イタリアの解説陣は日本代表MFのプレーを絶賛した。
ラツィオOBは「長すぎたかもしれないが、カマダがインモービレに出したパスは賢いものだったよ。インモービレはこの後、ゴールへ向かっていくことができたはずだからね。ただ、ボールの回転速度が速すぎたのかもしれない」と解説した。
ボルギ記者も「カマダは動くことで、ボールを保持するインモービレの選択肢となっただけでなく、リターンまで供給した。ごくわずかな誤差でミスになってしまったが、ダイチ・カマダのリターンパスは、アイディアとしては最高に良かった」と賛辞を贈った。
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ラツィオの終了間際の決定力
『ダゾーン・イタリア』の番組「Supertele」では、元イタリア代表のチーロ・フェラーラが、試合終了間際に決着がついたラツィオの一戦を振り返った。サッリのチームは、グラスゴーで行われたUEFAチャンピオンズリーグのグループE第2節セルティック戦においても、後半アディショナルタイムのペドロの決勝弾で白星をもぎ取っている。
「確かに後半アディショナルタイムに決定力を示したことで、自信は増すだろう。少なくとも前半、ラツィオは枠内シュートをまったく打てなかった。後半に入って明らかに良くなり、いくつもチャンスが生まれた。フィオレンティーナのGKが非常に優秀だったと言える。試合終了間際に試合を決めるのがこのチームの特徴かもしれないが、おそらく監督にとっては、90分になる前に決着がついた方が安心だろう」
番組に出演したイタリア紙『Gazzetta dello Sport』のアンドレア・ディ・カーロ副編集長は、先発の座を新加入のタティ・カステジャーノスに譲ったものの、77分から途中出場して決勝点となるPKを沈めた33歳の主将インモービレに見解を示した。
「彼がすでにキャリアの最終コーナーを回ったところとは思わない。まだチームに貢献することはできると思うが、コンディションをより上手く管理していく必要があるかもしれない。常に献身的にプレーしてきた選手で消耗している」
「それから近年のラツィオにおいて、インモービレがどのような存在であったかを決して忘れてはならないと考える。サポーターもわかっているはずだ。最近は精彩を欠いたこともあったかもしれないが、1つのクラブにおいて、これほど重要であったことは決して忘れるべきではない。クラブの歴史に対するリスペクトが必要だ。インモービレはラツィオの歴史において、非常に重要な選手だ」
一方、フィオレンティーナOBのルカ・トーニ氏は、ヴィンチェンツォ・イタリアーノ率いる古巣のローマでのパフォーマンスを分析。チームの課題として決定力を挙げた。
「フィオレンティーナの素晴らしい点は、常に偉大なカルチョを披露しているところだ。しかし問題は、ペナルティエリア内に入るとゴールが決められないことだ。センターフォワードであっても、ウィンガーであっても、MFであっても、とにかくゴールを挙げられなければ問題だ。エリア内で違いを作り出し、ボールをゴールに押し込む個の力が必要だ」
ユヴェントスに必要なもの
続いて『ダゾーン・イタリア』の解説陣は、マッシミリアーノ・アッレグリ率いるユヴェントスに見解を示した。ユヴェントスは今シーズン、ポール・ポグバのドーピングやニコロ・ファジョーリの賭博問題に揺れる中、セリエA第10節でナポリと引き分けたミランを追い越し、2位へ浮上した。
首位インテルとは2ポイント差に迫るが、今後、シモーネ・インザーギのチームと差を埋め、スクデット争いを繰り広げるためには、何が必要だろうか。元イタリア代表MFのルイジ・ディ・ビアージョ氏は、冬の移籍市場での補強を主張。「ピッチ外の出来事を踏まえ、極めて高いレベルのMFが2人必要だ。現在プレーしているMFに休養を与える必要性もある」と述べた。
これに対し、ユーヴェOBのフェラーラ氏は、スター選手の獲得が困難であることを指摘。「しかしビッグネームの獲得はないはずだ。ビッグネームがユヴェントスでレギュラーになるために、シーズン途中で移籍するとは思わない。ユーヴェは当然、何らかの手を打つ必要があるが、ビッグネームは来ない」との結論を下した。
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