相手のロングボールをキャッチした瞬間、近くにいたDFが次の行動に移さずに立ち止まっているのを見て、ジェスチャー混じりに”ポジションを取り直せ”と吠える。ベルギー、シント=トロイデンの地に降り立って約5ヶ月、鈴木彩艶に欧州で活躍するGKとしての自覚が垣間見えた。
とはいえ、ここまでの状況になるまでには短くない試行錯誤の時間があった。言語や文化といった環境はこれまでとは大きく違う。さらに浦和レッズ時代とはまた異なったプレースタイルも求められることから、「こっちにきて最初の方は自分からアクションを起こせていなかった」と新チームへの適応に苦悩していたことを明かす。
「正直、受け身になりすぎていた自分がいたというか、もっと自分を出して良かったなというのは最近の試合を振り返ってもあります」
受け身になり過ぎていた、というのはどういうことなのか。
「遠慮というか、攻撃の部分で自分の強みを出すというよりかは監督が求めているサッカーをしようとし過ぎていたなと。いい意味で自分の強みも出しながら、監督の言っているしっかりパスでつなぐところを交えながらやるというところはできるようになってきています。そういったところではコーチングの部分で慣れてきたところがある。全然まだまだ喋れないですけど、サッカーする上では全く問題ないと思っています。自分の主張もしっかりできる。そういうところで成長できていると思います」
前述の場面ではかなり強い主張が見えた。海外で戦うためのメンタリティに加え、チームを自分から動かそうという気概が前面に表現されていたのは、今後のリーグ戦や代表活動に間違いなくつながっていくことだろう。
「そういった部分では、声だけでなくジェスチャー混じりで自分からアクションしようというのはここ最近意識していたこと。あの場面は結果的に前にいくプレーはできなかったですけど、相手が前から来て、スペースが空いたら後ろから押し出していきたいと思っていたので、そういった部分でもジェスチャー混じりのコーチングは今後も続けていきたいと思います」
今年一年、鈴木の環境は大きく変わった。海外挑戦に加えて、A代表にも選出され、ピッチに立つ時間も増えた。昨季まではなかなか出番がないことを心配されていたが、そういったものを払拭して確かな存在感を放つ鈴木の姿がある。
「海外挑戦というところでは、正直、もっと結果が欲しい部分ではあります。その中でも代表に選出されて、代表でも試合に出場することができた。正直、代表でのゲームはあまりボールが来るシーンがないですけど、そういった部分でもいい経験ができています。あとは自チーム内の結果がもっと必要かなと思うので、そういうところはもっとつなげていきたいと思いますけど、今年含めていい経験ができているなと思います」
そして、新たな成長を遂げた鈴木は、1月1日にタイ戦を行う日本代表に合流する。ここでの活躍はその先のアジアカップにつながっていくが、まずは目先の試合を見据えている。
「自分自身を表現すると言いますか、クラブでもそうですし、代表でもそうですけど、自分らしくプレーしたい。あとは結果が一番伴ってくれればと思うので、1月1日のゲームは自分らしくやりたいと思います」
欧州でGKとしての存在感を高めている男は、この先、日本代表の守護神の座を手にすることができるのか。研鑽を積みながら、その場所を目指して鈴木は邁進していく。
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