第二次森保ジャパンの新たなスタートとなった「キリンチャレンジカップ2023」のウルグアイ戦。カタールワールドカップから様変わりした最終ラインを牽引したのは、DF陣の中で最年長となった板倉滉だった。
2018年から始まった森保一監督の第一次政権では、主将を務めた吉田麻也を筆頭に酒井宏樹や長友佑都といったベテラン勢がチームの守備を支えていた。特に彼らは守備時における安定したプレーだけでなく、ピッチ外でも存在感を発揮。吉田や酒井は精神的支柱となり、長友はムードメーカーとして好影響をチームにもたらしていた。
そんな彼らが今回はメンバーに招集されず。最終ラインは大幅に若返りが図られた。また、中心人物の一人と目されていた冨安健洋が怪我のため招集を回避。新たなディフェンスラインを誰が引っ張っていくのかは、見どころの一つだった。
その中で、ディフェンスリーダーとして存在感を放ったのが板倉だ。
もともと板倉は、東京五輪やカタールW杯の大会直前は吉田と冨安の後塵を拝し、常にCBの3番手に位置する存在だった。しかし、冨安の負傷などもあり本大会では主力として抜擢されると、そこで安定感のあるプレーを見せることで自身の力を証明。実際にカタールW杯では大会を通してチームトップクラスのパフォーマンスを披露し、海外からの評価も高かった。
そんな板倉が今回は最終ラインでチーム最年長。今後、吉田らがチームに戻ってくる可能性もあるが、これだけ若手が増えた中で自分自身が引っ張っていかないといけないと思うのは当然のことだ。
「僕としてはW杯を経験して、そういったメンバーが中心となってやっていかないといけないという気持ちを強く持っていますし、(吉田が)年齢が上だから選ばれなかったのではなく、どんどん若い選手が出ていかないといけないと思っています。そういった意味では、今回はしっかりリーダーシップを持ってやっていかないといけないと思います。それとW杯を振り返っても、上の選手たちがいたことによって、チームのまとまりやメンタル的な安定がもたらされていたと思います。そこは引き継いでという言い方はおかしいですけど、そういう役割をしていかないといけないかなと感じています」
ウルグアイ戦は日本代表デビューとなった菅原由勢と瀬古歩夢、W杯でともに出場した伊藤洋輝と最終ラインを組んだ。結果的に先制点は許したものの、板倉を中心に最後まで体を張って最小失点に抑えたことはプラスで、急増に近い組み合わせでのスタートとしてはポジティブな内容と捉えていいだろう。
ただ、もちろん課題はある。チームとして新たに取り組んでいるビルドアップで、最終ラインが違いを作り出せなかったことは次への修正点となる。
「特に前半はなかなか縦パスが入らず、GKを使いながら(出せる場所を)探るシーンが多かったですけど、どこかで縦パスを入れる勇気は必要だと思う。そこは見逃したくないなと。ただ、本当にみんなが新しいことにトライしていましたし、今回は初めてのところもあってなかなか簡単にはいかなかった。課題も残る試合でしたけど、それは当然なことなので、これから修正していきながらやっていければと思います」(板倉)
長年チームを支えていた吉田に代わり、新たなディフェンスリーダーとして期待のかかる板倉。チームの不動の存在となっていくために、試合を積み重ねながらピッチ上で確かな力を示していきたい。
文・ 林遼平
埼玉県出身の1987年生まれ。東日本大震災を機に「あとで後悔するならやりたいことはやっておこう」と憧れだったロンドンへ語学留学。2012年のロンドン五輪を現地で観戦したことで、よりスポーツの奥深さにハマることになった。帰国後、フリーランスに転身。サッカー専門新聞「エルゴラッソ」の番記者を経て、現在は様々な媒体で現場の今を伝えている。
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