かつてアタランタやサンプドリアなどでディレクターを務め、2010年から8年間在籍したユヴェントスではクラブの黄金期を築き上げたジュゼッペ・マロッタ氏。2018年にインテルへ移籍してCEOに就任すると、2021年に11年ぶりとなるスクデット獲得に貢献し、現在、“セリエA最強”と謳われるシモーネ・インザーギのチームを作り上げた。
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そんなインテルCEOが『ダゾーン・イタリア』の番組「Supertele」に出演し、クラブの強さの秘訣を明かした。
「年長であることもあり、(インテルの)組織のピラミッドの頂点にいる私が功績を認められているが、インテルの幸運の1つは、ピッチ外のチームにある。(スポーツディレクターのピエロ)アウジリオや(副SDのダリオ)バッチン、(副会長のハビエル)サネッティらが、チームのリーダーであるインザーギを背後からバックアップする態勢ができている。こうした勝者のチームを作り上げることに成功できたことが幸運であり、重要だった」
今冬の移籍市場では、シーズン途中の緊急補強ではなく、来シーズンを見据えてイラン代表FWメフディ・タレミやナポリのMFピオトル・ジエリンスキらのフリーでの獲得へ向けて動き出した。インテルCEOは、昨シーズンのUEFAチャンピオンズリーグ(UCL)準優勝などを通じてクラブの評価が高まったことで、より容易にフリーの選手の獲得が可能になったと考えている。
「ジエリンスキに関しては、規定に従って(ナポリのアウレリオ)デ・ラウレンティス会長に連絡を取り、獲得へ調査を行っていることを通知した。もし交渉が成立すれば、発表し、選手を登録することになるだろう」
「インテルは、トリプレーテ(国内リーグ戦&カップ戦、UCLの3冠)を達成した2010年の頃のような重要なクラブに戻った。我々が選手を求める一方で、多くの選手からも求められるクラブになった」
「フリーの選手の獲得成功は、SDやスカウトらによるテクニカルエリアにおける仕事のおかげだ。モニタリングを通じてリストアップした選手たちに接触するという形を取ってきたが、こうした交渉は、“インテル”の一員であることで、よりやりやすくなる」
「インテルのようなビッグクラブは、選手たちにとっても魅力的だからね。近年、6つのタイトルを獲得し、UCLやヨーロッパリーグの決勝の舞台を経験できたことで、獲得交渉は非常にやりやすくなった。インテルはインテルだ。その上、ミラノの街は、選手の伴侶にとっても魅力的に映るだろう」
昨夏、ロメル・ルカクの後釜として加入したマルクス・テュラムもフリー補強の成果だ。今シーズンは、セリエA第23節終了時点でリーグ戦22試合に出場し、8ゴール10アシストを記録する活躍を見せている。
「彼は自身の才能を常に示してきた選手だが、過去に大きなケガもあった。しかしアウジリオSDはあきらめなかった。フリーで獲得し、非常に重要な補強になった。マルクスは偉大な才能を持つ選手だ。今後、カンピオーネ(王者)であることも示していけるだろう」
「また、素晴らしい青年であるだけでなく、サッカー選手として2代目で、偉大な父(リリアン・テュラム氏)がいることも非常に重要だ。彼の父親が助言者であり、エキスパートであることは本当に素晴らしい」
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ユーヴェとの別れの真相
続いてマロッタ氏は、2010年5月から2018年10月までを過ごした古巣ユヴェントスでの経験を振り返った。トリノでは、世界最高峰の名プレーヤーと出会い、“勝利の文化”を学んだことを明かした。
「これまでの全ての経験が私にとって重要だったが、ユーヴェでは“勝利の文化”を身に着けることができた。“勝利の文化”とは、あらゆる細部を不可欠なものとして突き詰めることだ。つまりどんな小さな問題であっても、勝ち残るために不可欠なものとしてとらえ、すぐさま向き合い、解決しなければならない。それは大切なことだ」
「ユーヴェでは、世界中からやって来た素晴らしいプロフェッショナルたちと共に、成功の年月を過ごした。すべての選手から何らかのヒントを得て、私自身の成長につなげてきた」
インテルCEOを巡っては、2018年夏のクリスティアーノ・ロナウドの獲得がきっかけでユヴェントスを離れたとのうわさ話も囁かれた。マロッタ氏は当時を振り返り、真相を語った。
「もう何年も前のことだから、懐かしい気持ちになるよ。ユーヴェでは、最高に素晴らしい年月を過ごした。だが経営陣が異なる方針を決めた時は、マネージャーが1歩後ろに下がらなければならない。私自身も笑顔で身を引いたよ」
「あの時までに、自分がクラブに与えたのと同じくらい多くを、クラブから与えてもらっていたからね。したがって、幹部の若返りを計画していたクラブや経営陣の意向をリスペクトするべきだと感じたんだ」
「正直、C・ロナウドの獲得には、一部賛同できない部分もあった。彼がカンピオーネであることに議論の余地はない。しかし財政面、経済面で考えると、あの取引はかなり重みのあるものだった。私は、そのように評価したが、だからと言って、(C・ロナウドの獲得が)私がクラブを離れるきっかけになったわけではない」
「単純にクラブの計画の変更によるもの、つまり1つのサイクルが終わりを迎えたということだ。カルチョに限らず、どのような業界においても、変更を求められる時期はやって来るものだからね」
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