昨夏、ラツィオにフリーで加入すると、マウリツィオ・サッリ前監督の下で出場機会の確保に苦しんだ鎌田大地。だが3月に指揮官に就任したイゴル・トゥドルから度重なる賛辞を受け、新生ラツィオの中心選手へと変貌を遂げた。
そんな中、『ダゾーン・イタリア』の番組「Tutti Bravi Dal Divano」では、ラツィオOBのマルコ・パローロ氏やヴァロン・ベラーミ氏らがラツィオや鎌田について分析を行っている。鎌田は、日本時間28日のセリエA第34節ラツィオ対ヴェローナ戦において4試合連続フル出場。1-0の決勝点に絡むなど好守にわたる活躍を見せ、トゥドルから「ダイチが10人欲しい」と絶賛を受けた。
OBのマトリ氏が指摘するように「奇妙なことに、カマダらはサッリのための補強だった。サッリの戦術でプレーするための特徴を持った選手であったはず」だが、前任者の元ではベンチを温め、新指揮官の元でようやく活躍の場が与えられている。これについてパローロ氏は「世界的に見て、現在、サッリの特徴に合った選手は少ないように思う」と説明した。
さらにイタリアの解説陣は、トゥドルがヴェローナ戦後に語った「ダイチが10人欲しい」との発言に注目。その意味を読み解いた。ベラーミ氏は「戦術頭脳や特に規律という意味での解釈だと思う」と主張。司会役を務めたマルコ・ルッソ記者は「ダイチの頭脳を10人分ということだね」と補足した。
するとパローロ氏は、なぜラツィオ新指揮官が鎌田の頭脳を10人分欲しがるのか、背景を分析。トゥドルが重宝する理由を指摘した。
「より体系化されたサッリの戦術においてこそ、賢い選手が求められていたはずであり、少し矛盾するかもしれない。だがトゥドルの戦術では、さまざまな状況が絶えず作り出される中で、スペースの読みが求められるんだ」
「ルイス・アルベルトが下がってくれば、自身が上がるなど、予期しない動きをしなければならない。トゥドルの戦術で求められる頭脳とは、このプレースタイルや流動性に対応することであり、選手は全員、複数のポジションをこなせなくてはならない」
「トゥドルの下では、選手個人が毎回、状況を読み解く必要が生じる。監督の要求は、絶えず縦を狙うことであったり、幅のある攻撃であったり、誰かがボールを奪いに行って好守を切り替えることであったりするが、体系化することはなかなか難しいものだ」
「例えばカマダはゴールを背にしてボールを受けると、後ろにはたくのではなく、縦のスペースを読んで攻撃を仕掛ける動きをしていた。単純に見えるかもしれないが、ジェノア戦ではこうした攻撃からルイス・アルベルトのゴールが生まれている。こうした選手による“自由なプレー”を見ると、トゥドルはサッリよりも現代的な指揮官なのだろう」
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トゥドルは白か黒しかない
かつてウディネーゼでトゥドルの指導を受けた経験を持つベラーミ氏は、クロアチア人指揮官の特徴を説明している。
「私は数か月間、トゥドルの指導を受けたが、彼はピッチ外のことに興味がない。ピッチ内のことだけに注意を向けている。うまく行っていないことがあれば、すぐに選手と向き合って話し合う。選手はその点、気負わずに済むのかもしれない」
「トゥドルは、選手が良いプレーを見せていれば、その調子を維持するよう伝えるし、ダメならダメと言ってプレーさせない。これがカルチョの本質だ。よく走り、良いパフォーマンスやパーソナリティを見せれば、彼のために戦える。さもなければ、構想外だ。トゥドルは、グレーがなく、白か黒しかない監督だ。選手はこれを理解するだけであり、言い訳は通用しないんだ」
放送・配信予定
- モンツァ vs ラツィオ
- 配信:DAZN
- キックオフ:2024年5月5日(日)日本時間1:00
- 実況:八塚浩
- 会場:U-パワー・スタジアム
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