今シーズンは、ミランやラツィオを撃破し、ユヴェントスやフィオレンティーナと引き分けるなど、強豪を相手にサプライズを巻き起こしてきた昇格組のパルマ。22日、クラウディオ・ラニエリの下で立て直しを図るローマとの対戦に挑んだが、敵地で0-5と大敗を喫した。
パルマのGK鈴木彩艶は、リーグ戦13試合連続で先発。8分には、セリエA移籍後初めてとなるPKに臨み、ローマのスター選手パウロ・ディバラと対峙したが、『ダゾーン・イタリア』の解説陣は、日本代表GKのパフォーマンスをどのように評価したのだろうか。
ザイオンのパルマ移籍後初PK
パルマは7分、自陣エリア内でボトンド・バログがディバラを倒してPKを献上。ザイオンは、キッカーのディバラの右方向へと飛んだが、逆サイドに決められて先制点を許した。イタリアの中継で実況を務めた人気司会者のピエルルイジ・パルド氏が「ディバラかスズキか…。ディバラはスズキの逆を突いた」と伝えると、ラツィオOBのダリオ・マルコリン氏が解説。「ディバラはゆっくりとした助走をしてGKの動きを待ってから、左足を開いて逆方向にシュートを打った。冷酷で狙いすましたPKだった」と説明した。
ザイオンはその後、11分にマヌ・コネのほぼ正面からのシュートを抑え、パルド氏から「スズキは注意深かった」と賛辞を受けたが、13分、右サイドからエリア内に侵入したアレクシス・サレマーカーズにボレーで2点目を奪われた。
マルコリン氏はこの場面に言及。「ローマは素早いビルドアップを目指すというアイディアが明確だ。パルマは傍観者になっていた。シュートの角度はなかったが、スズキがニアポストの付近をカバーしていなかった。彼はニアポストをカバーしなければならない」と苦言を呈した。
続けて「もしスズキが自身の右側へダイアゴナルに決められていたとしたら、彼の責任はなかったかもしれない。だがこの場面においては、彼がニアサイドをカバーしなければならなかった」と指摘した。パルド氏も「よくぞ、スズキのプレーが完璧ではなかったことを指摘してくれた」と賛同している。
パルマGKは17分、前線にいた身長175センチのアナス・ハジ・モハメドへロングパスを送ったが、最終的に、こぼれ球は相手GKの手に収まった。イタリアの人気解説者がこのシーンに注目した。「スズキはより小柄なハジを狙ったようだが、(189センチのアンジュ・ヨアン)ボニーが嘆いていたね。『僕ではなく、ハジかい』という風にね」と指摘した。
伊解説陣が賛辞を贈った1対1
27分、鈴木はゴール前に飛び出したステファン・エル・シャーラウィと1対1を迎えたが、パルマGKは、ゴールを背にしたローマFWのヘッドを軽々と抑えた。マルコリン氏は「あの場にいると、GKがどこにいるのか分からない。空中のボールを見ているので、GKを見失ってしまうんだ。この場合、チームメートからの指示が必要になる」とローマの視点で説明した。
44分、再びエル・シャーラウィが裏を取ってエリア内に侵入し、ゴールを狙ったが、鈴木が阻止した。すると実況のパルド氏は、鈴木のプレーを称賛。「スズキ! 彼は際立っていた。倒れずに残ってうまかったよ。エル・シャーラウィに対してスズキが反応してみせた」とイタリアの視聴者に伝えた。
パルマは3点を追う展開の72分、ペナルティエリア手前でローマにフリーキックを献上。キッカーを務めたディバラのシュートは中央寄りとなり、鈴木がパンチで弾いた。だがその1分後、今度は途中出場のヴァレンティン・ミハイラがサレマーカーズをエリア内で倒したため、パルマGKは2本目のPKに挑むこととなった。
ローマのキッカーは、レアンドロ・パレデスが務めたが、鈴木はまたしても逆を突かれ、パルマは4失点目を記録した。マルコリン氏が解説した。
「彼(パレデス)は、ディバラと同じようにPKを蹴った。GKが動くのを待ち、ポジションを確認してから逆サイドにボールを沈めた。ゴールポストの近くへ確実なインサイドキックで狙った。だから簡単にPKを決めたね」
交代枠未使用の今季最強のローマ
パルマは83分にも、ディバラのアシストからアルテム・ドフビクにも得点を許し、5点目を奪われたが、対するローマの指揮官クラウディオ・ラニエリは、チームのパフォーマンスに満足してか、交代枠を使用しなかった。パルド氏は「5人の交代枠がある現代サッカーにおいて異例だ」と指摘。するとマルコリン氏が続けた。
「チームのパフォーマンスにあまりにも満足していたと説明できるかもしれない。だから、おもちゃをいじらなかったのだろう。おそらく今日のローマは今シーズン最強だった。ラニエリ自身が一番に理解しているはずであり、だからメンバーをいじらなかった」
イタリア人解説者は、パルマについても言及。攻撃面を評価する一方で、ファビオ・ペッキアのチームの問題点を指摘した。
「パルマは前半、何かをしようと努力していたが、ローマはギアや闘志、攻撃面が違った。5失点という結果を見れば、守備やバランスに取り組まなければならないこと明らかだ。パルマはボールを保持している時、チームは何をすべきかを理解していて、持ち味が発揮できる。だがボールを失った時の守備面を改善していかなければならない」
(C)Getty images
他の選手とは異なるディバラ
最後にマルコリン氏は、この試合でPKを含む2得点1アシストを記録して躍動したローマのディバラに言及して賛辞を贈った。
「ディバラは、今シーズンで3つ目となるチームプロジェクトに溶け込んだように見える。しかしディバラは攻撃面において重要過ぎる選手だね。彼はラスト20メートルでクオリティを示すべき選手だが、今日はPKだけでなく、別のプレーにおいても機能してドフビクにアシストするなどクオリティを発揮していた。彼は他の選手とは違うことが分かる」
ディバラを巡っては、『ダゾーン・イタリア』の番組「Dazn Serie A Show」でも議論が行われた。元ローマ下部組織指揮官のアンドレア・ストラマッチョーニ氏が、ラニエリの「ディバラのいるローマとディバラのいないローマがある」との発言を受け、ディバラの立ち位置について自身の見解を示した。
「現在に目を向けてみよう。もしディバラが夏の移籍市場で退団していれば、彼と同等に重要な選手がチームに加入したはずだった。だが現状として、このローマは、チーム内におけるディバラの価値を踏まえると、彼なしでは考えられない」
「一方、ローマの未来について考えると、次期監督もまた、ディバラのクオリティを考慮する必要がある。彼は戦術的に特殊な選手だ。サイドでプレーできず、1トップも務められない。彼はセリエA最強のセカンドトップと言える。今シーズンのローマは彼なしで乗り切ることは不可能だが、来シーズン以降は次期監督次第と言えるかもしれない」
放送・配信予定
- パルマ vs モンツァ
- 配信:DAZN
- キックオフ:2024年12月28日(土)日本時間23:00
- 実況:福田浩大
- 会場:スタディオ・エンニオ・タルディーニ
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