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選手として最後の表彰──遠藤保仁が積み上げた“特別”な数字と未来のビジョン

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選手として最後の表彰──遠藤保仁が積み上げた“特別”な数字と未来のビジョン(C)J.LEAGUE
【国内サッカー・Jリーグニュース】Jリーグの年間表彰式「2024 Jリーグアウォーズ」が12月10日に横浜アリーナで開催され、ガンバ大阪コーチの遠藤保仁氏が功労選手賞を受賞した。

12月10日に神奈川県内で行われた2024 Jリーグアウォーズで、ガンバ大阪コーチの遠藤保仁氏が功労選手賞を受賞。壇上でプレゼンターの内田篤人さんから記念のトロフィーを受け取り、「うれしいです。とてもうれしいです」と笑顔で答えた。J1リーグ通算の出場試合数はもちろん、日本代表としての出場数も史上最多。プロサッカー選手として26年間の現役生活で実に1,100試合を超える公式戦でピッチに立ってきた。そんな遠藤氏が振り返る自らの数字、そしてこれからとは。

「歴代のJリーグで一番出てますし、できれば“特別”とかつけてほしかったですね(笑)」

そう言って式典後の取材対応でメディアを笑わせた遠藤保仁氏。今回のJリーグアウォーズ、そして功労選手賞の受賞は、おそらく「プレーヤー・遠藤保仁」として表彰される最後の場になるはず。すでに古巣ガンバ大阪でコーチとしてセカンドキャリアを歩み始めている彼に、「あらためて自ら積み上げてきたキャリアを振り返る機会になったのでは?」と質問を投げかけると、現役時代同様に自然体でウィットに富んだ答えが返ってきた。

彼自身が半分冗談で口にしていた”特別”という単語だが、まさに加えて然るべきものだろう。

J1通算672試合、日本代表通算152試合という出場数はいずれも歴代最多。これにカップ戦などを加えると、26年間の現役生活で実に公式戦1,136試合でピッチに立ってきた。この数字は世界的に見ても歴代トップクラス。彼の実績がいかに“特別”なのかが分かる。

「自分が26年間、選手として、Jリーガーとしてやれてきたことを誇りに思います。僕は横浜フリューゲルス、京都サンガ、ガンバ大阪、ジュビロ磐田の4チームだけでしたけど、どのクラブでも本当にチームのために戦うことを第一に考えながらやってました。本当に素晴らしいプロサッカー人生だったと思いますし、胸を張れる数字も残せたんじゃないかなと思うので、非常に満足してます」

昨シーズン限りで現役を退いた遠藤氏は現在、古巣のガンバ大阪でトップチームのコーチを務める。将来の監督就任に向け、今年はJFA公認B級ライセンスを取得中。チームではアウェイに帯同せず、試合日は基本的に居残り組のトレーニングを担当している。

彼自身は「教えることに関しては全くの素人でしたし、どういうところからやっていけばいいのか、手探りの中で徐々に慣れてきたところもあります」と指導者としての現状を口にするが、一方で現役時代から分析力と言語化能力に長ける一面も見せていたのも事実だ。

ジュビロ磐田でチームメートだった山田大記は「ヤットさんは普段から多くを語るタイプじゃないですけど、ピッチ内での問題について聞くと、ズバッと解決方法を提示してくれた。すごく周りのことを見てくれている人」と話していた。日本代表のミックスゾーンでも淡々とした口調ながら、冷静かつ的確な分析をしてくれることで、メディアとしては助けられる部分もあった。抜群の空間把握能力を持ち、類稀なるパスセンスで攻撃を司ってきた選手だけに、その感覚を的確に言語化できるならば、指導者としての将来も楽しみでしかない。

「(サッカーは)一瞬でプレーが流れていくので、僕自身も声を掛けるタイミングだったり、そういうところでの良いアドバイスはまだまだ足りない部分だと思います。一年を通じて徐々に良くなってきているとは思いますけど、まだまだ勉強中というところですね。ただ楽しくやれているので、それは続けていければいいかな。スタッフ部屋では一番盛り上げたと思いますよ(笑)。一番笑いは取ったはず。そういう見えないところからいい雰囲気を作ることができたのかな、と個人的には思っています」

日本代表として世界の頂点を目指すような実績を備えつつ、J2で試合に出られない経験も持ち合わせる彼が、選手に寄り添い、的確な声掛けを心がけながら指導者としての道を歩み始めた。順調にライセンスを取得できれば、最短で2年後には監督就任が可能になるS級ライセンスを手にすることができる。

「最短で計算すると、2年後の今ごろには(S級ライセンス取得の)合否が出ているはず。そこは僕の成績次第なので、取得できていなかったら自分の成績が悪かったと思っておいてください(笑)」

選手としての評価されるのは最後。ここからは“指導者・遠藤保仁”としての歩みが評価されていくことになる。プレーヤーとして偉大な実績を残した彼は、立場を変えていかなるキャリアを積み上げていくのか。Jリーグアウォーズの壇上に監督として上がる日が来ることを楽しみに待ちたい。

取材・文=青山知雄

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