8月度のベストヒーロー賞には同月リーグ戦5試合3得点をあげ、今季通算9得点を積み上げている鹿島アントラーズが誇る19歳の新鋭MF、荒木遼太郎選手に話を聞いた。
「自分が先制点をとってチームに勢いをもたらしたい」
――8月はリーグ戦で5戦4勝。東京五輪で中断する前に比べるとチームの調子も良いですが、全体の戦いぶりはいかがですか?
(第23節の)湘南ベルマーレ戦から始まり、徳島ヴォルティスとのホーム戦、そして天皇杯(V・ファーレン長崎戦)に加えて、最後はアウェイの3連戦と大変な過密日程でしたが、そういう時こそチーム一丸となって、どう乗り越えるかが次の勢いにつながってきます。チーム全体でも常に話していましたし、試合へ入る前も互いに高め合って臨めていたので、この時期はうまく乗り越えられました。やるべき事がチーム全体で上手くまとまってきたので、結構良い状態だったかなと思っています。
――その中でも、8月のリーグ戦では5試合で3得点。徳島戦は先制点を含む2得点、そして横浜F・マリノス戦ではヘディングでの先制点で勝利に貢献しました。
やはり先制点は大事です。徳島戦の(FKでの)一点目はラッキーではありましたが、練習していた部分だったので、それがゴールという形になって良かったです。
マリノス戦は固い試合になるだろうなと予想していました。チャンスも1~2本あるかないかという中で、前半最初の方にそのチャンスが来て、しっかり仕留められたのは本当に大きかった。マリノス戦での得点はヘディングでしたが、MF(土居)聖真くんのボールが良かった。あれは決めて当然というか、決めなければいけないゴールでした。
――荒木選手が得点を取ることでチームが勢いづいているのかなと思います。
ゴールが決まったらチームの勢いもつきます。試合の流れもこっちに来てイケイケになる。そういう雰囲気になるように、自分が先制点をとってチームに勢いをもたらしたいなと、常に考えながらプレーしています。もちろん自分の得点だけではないですが、自分の得点でそういうムードにしたいなと思います。
――得点はサポーターにとっても喜ばしいところだと思います。観客の前で得点を取る意味をどう感じていますか?
カシマスタジアムで試合をするのは、本当にモチベーションやテンションが上がりますね。サポーターの皆さんの前で試合ができる喜びがあります。その中でゴールを決められたらさらに嬉しいし、その喜びも特別なものだと自分の中では思っていて。ゴールを決めたときに皆が立ち上がって一緒に喜んでもらえる光景は、本当に特別です。やはりホームでのゴールはアウェイのゴールとは全然違うような意味がありますね。
――コロナ禍でサポーターの方々も本来の応援ができない中、いろいろ感じられるということですよね。
そうですね。拍手だったり、手を叩いての応援だったり、本当に力強い応援があると感じています。
「10ゴール10アシストは目指したい」
――今季はトップ下でプレーしています。ポジションが変わったことが良い影響をもたらしたのでしょうか?
前からやっていたポジションということもあって、サイドハーフの時よりトップ下の方がやりやすいし合っています。狭いエリアでボールを受けることは得意ですし、トップ下では自由にやれて、さらにイキイキとプレーできるようになりました。
――すでに9得点で2桁得点も間近です。
やはり早く達成したいと常に思っています。次の試合で1点を決めて早く達成したいと考えています。アシストもどんどん増やしていきたいです。
――アシストを狙う際に意識していることはありますか?
中央突破が一番得点に直結する最短距離だと思っているので、真ん中のラインでボールを受けたら常に綺世くん(FW上田綺世)を見るようにしています。綺世くんは良いタイミングで動き出してくれます。FWとの関係性を大事にしながら、ゴールに繋がるようなパスを常に意識しています。
――アシストも含め、目指している具体的な目標はありますか?
10ゴール10アシストは、結構間近な数字にもなってきているので、そこは目指したいなと思っています。
――今後得点王も狙えるかもしれませんが、得点ランキングは気になりますか?
開幕戦から3試合ぐらいは結構上位にいたので「今年、頑張ろうかな」と思いましたが、FW前田大然選手や点を取る選手が結構上にいるので、得点ランキングは全然意識していなかったです。(そこを目指して)頑張ります!
「自分からしたらヒーローですね、綺世くんは」
――このインタビューはベストヒーロー賞ということですが、荒木選手自身が想い描くヒーロー像はありますか?
やはり自分は攻撃の選手なので、どんな苦しい試合展開でも関係なく点を取って勝たせられる選手が、ヒーローかな。負けている状況でもラスト10分で点を取って、勝利に結びつけられる…。自分の得点でチームを勝たせられる選手がヒーローだと思っています。一番間近で言ったら綺世くん(上田綺世)です。自分からしたらヒーローですね、綺世くんは。いるかいないかで全然違いますし、苦しい時に点を取ったりしてくれるので、すごいなと感じています。
――鹿島にはヒーローになりそうな先輩方もたくさんいますが、他の方でイメージする選手はいますか?
MF柴崎岳選手ですね。岳さんもレアル(マドリー)戦で2点取ったし、どんな相手でも活躍できる。本当にヒーローだと思います。
――この夏には東京五輪がありました。そういった大会を見て、鹿島だけではなく日本のヒーローになりたい、といった気持ちは湧き上がっていますか?
活躍してそういうヒーローになるのは皆が憧れているものだと思います。誰もがなれるわけではないですし、本当にチームに1人いるかいないかの存在ですが、その1人になりたいです。そうなるには過程が大事だと思っているので、“日本のヒーロー”は自分にとってまだまだ遠い存在です。ただ、パリ五輪まではまだ時間があります。そこに限らず日本のヒーローになるためには、鹿島アントラーズでの目の前のトレーニング、そして試合でも結果を残していきたいなと思っています。
――ちなみにサッカー以外で思い描くヒーローは何かあったりしますか?
いやぁー(悩)。難しいなぁ。でも、子どもの頃からサッカー選手を見て育ってきたので、サッカー選手は本当にヒーローだなと思っていましたね。日本代表のような一流の選手はやはりヒーローです。DF吉田麻也選手もずっと代表でプレーしていて、今はキャプテンもやって日本の頼れるセンターバック。本当に存在自体がすごい選手です。
――シーズンも終盤戦に入ります。鹿島がさらに上位に居続けるためには荒木選手のヒーロー的な活躍も不可欠だと思いますが、改めてサポーターへメッセージをお願いします。
まだまだ試合はありますが、一戦一戦が大切で、一つでも上を目指しています。3位になるか4位になるかで来年のACLにもつながってきますし、本当に厳しい大事な戦いになってくると思います。自分たちも目の前の試合を全力で、必死に食らいついて戦っていきます。選手だけじゃ“勝ち取れない勝利”も、サポーターの皆さんの力があれば“勝ち取れる勝利”になると思うので、皆さんと一丸になって戦っていきたいです。
プロフィール
荒木 遼太郎(2002年1月29日生まれ)/鹿島アントラーズ
高校卒業後、2020年より鹿島アントラーズに加入。同年の明治安田生命J1リーグ開幕戦のサンフレッチェ広島戦でリーグ戦デビュー。同年8月にはヴィッセル神戸戦でリーグ戦初得点をあげると、初年度からリーグ戦26試合2ゴールと活躍した。2021年からは鹿島アントラーズ伝統の背番号「13」を任されると、その期待に応え同年3月に10代選手では城彰二以来27年ぶりとなる3試合連続得点を決めた。
文・インタビュー 大川佑
現『DAZN News』日本語版編集長。10代を英国で過ごした影響からサッカーの仕事を志す。2009年からサッカー媒体で様々な企画に携わったのち、『Goal.com』日本語版編集長(2016~2020年)を経て現職。DAZNではソーシャルメディアの責任者も経験。1981年生まれ、兵庫県出身。
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