バルセロナのジョアン・ラポルタ会長が、チャビ・エルナンデス監督の記者会見での発言に激怒したという。『マルカ』、『アス』『カデナ・コペ』、『カデナ・セール』といったバルセロナ系メディアを除いたスペインメディアが報じている。
問題となったチャビ監督の発言は16日のラ・リーガ第36節、アウェーでのアルメリア戦(2-0勝利)の前日会見で述べられたものだった。同指揮官はバルセロナの財政難や今夏の補強について、次のような見解を示していた。
「私たちは戦っていきたいと思っている。しかしクレ(バルセロナサポーターの愛称)はファンとして、クラブの状況が25年前とまったく違うことを理解しなければならない。状況は難しく、困難なものなんだ。以前は監督が『この選手と、この選手と、それとこの選手もほしい』と言えたが、今はそうではないんだよ」
「私たちは財政的に健全なほかのクラブと同じような状況にはない。ファイナンシャルフェアプレーなどが、レアル・マドリードやそのほかの欧州のビッグクラブと同じようなコンディションではないんだ。バルセロナのファンはそうしたことを理解する必要がある。とはいえ、それが私たちがタイトル争いを望んでいないことを意味しているわけではない。ただし時間は必要だ。戦っていく上で前向きな要素も私たちには揃っている」
この発言は、バルセロナ関係者が初めてクラブの実情を話したものと称賛される向きもあった。が、ラポルタ会長率いるクラブ首脳陣やデコSD(スポーツディレクター)にとっては、到底受け入れられるものではなかったのだという。『マルカ』曰く、常に自信にあふれ、成功とタイトルを約束する言葉を発するよう心がけてきたラポルタ会長にとって、チャビ監督の発言は“定められたシナリオ”を逸脱するものだったようだ。
加えてラジオメディアは、ラポルタ会長の慰留によって今季限りでの退任を撤回したチャビ監督が、今回の発言を機に解任される可能性を指摘している。『カデナ・セール』は「バルセロナ理事会の権力者たちがラポルタ会長にチャビを解任するよう圧力をかけている」と報じ、『カデナ・コペ』は「ラポルタはチャビに対して怒りというよりも完全な失望を感じている」「チャビは現状クラブの中ではなく外にいる」と状況を説いている。ただし、その一方で『マルカ』は、解任のようなドラスティックな決断はラポルタ会長もデコSDも考えていないと主張。「彼らは監督の発言を嫌悪したが、そこ(解任する)までではない」と記している。
なおアルメリア戦では、ラポルタ会長とデコSDのどちらも試合観戦を見送っている。ラポルタ会長は予定の問題、デコSDはポルトガルでの個人的事情と説明されているが、試合観戦を怠ったことなどほぼない両者が同時に不在になるというのは極めて稀なことだ。ちなみに試合後会見で、両者の不在が自身の発言に関連した動きなのかを問われたチャビ監督は、次のように語っていた。
「個人的に彼らからは何も言われていない。私は今回、スポーツ部門副会長と一緒にここまでやって来た」
「私の発言については、自分が考えていること、現実を言ったまでだ。私たちは野心をもって戦っていくが、状況は難しい。私たちの現実が変わることはないんだ」
「喧騒があるのは理解できる。しかし私は大きな期待と意欲を抱えているよ。デコ、会長と来季のプランをつくりながらね」
なお『ムンド・デポルティボ』や『スポルト』といった“バルセロナ機関紙”と呼ばれるスポーツ新聞は、この一連の報道についてほぼ触れることがなかった。ただし『スポルト』のダビド・ベルナベウ記者は、自身の意見を発信する動画コンテンツで「チャビは昨日、現実を話した。真実を語ったことで追い出されるのだろうか」と話している。
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