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ラ・リーガ

【コラム】ジローナのラ・リーガ優勝はあり得ない。だが、そう誇張したくなるほど彼らのプレーは人を釘付けにする

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【コラム】ジローナのラ・リーガ優勝はあり得ない。だが、そう誇張したくなるほど彼らのプレーは人を釘付けにするDAZN
【欧州・海外サッカー コラム】ジローナはなぜ今季、躍進を果たしたのか。戦術的観点から理由を探る。

まず大前提としてこれだけは記しておく必要がある。

ジローナが、リーガ優勝を果たすことはない。

たとえ、ここまでの彼らの勢いがレスター・シティのような偉業を予感させるものでも、リーガの現実は厳しい。そのことを知るのはこのリーグ戦を長年見続けてきたファンたちにほかならないだろう。ミチェル率いるチームが、パフォーマンスの良し悪しはあれども結果を残し続けるレアル・マドリー、バルセロナ、アトレティコ・デ・マドリー(彼らは浮き沈みこそ2部に落ちるほど激しかったが、シメオネが監督となる前から優勝を争える規模のクラブだ)とのタイトルレースに最後まで耐え切ることなど、実質的に不可能だ。

だが、それでもだ。今季序盤にジローナが成し遂げていることは、絶対的に称賛されなくてはならない。「彼らは完全な優勝候補」や「リーガは四強時代に突入」といった、ありとあらゆる誇張表現が使われているのは、ピッチ上にそうも伝えたくなる、確かな質が存在しているからだ。

■道程を重視した先にある結果

michel-girona-liga-20230930ジローナは順位表の位置だけでなく、その順位にたどり着いた方法でも衝撃を与えている。彼らが重視するのは目標ではない。重きを置くのは、目標達成のための道程。つまりは「どうプレーをして前へ進むのか?」だ。Getty Images

監督のミチェルはリーガ2部で苦闘していたジローナの手綱を握ると、解任すら考えられる危機的状況に何度も陥りながら、そうした経験を自分とチームの血肉と化してきた。そしてシティ・グループからは、彼のプレー哲学にはまる選手たちが提供されている。そう、ミチェル率いるジローナが、フットボール的観点でジョゼップ・グアルディオラ率いるマンチェスター・シティの背中を追いかけているのは明らかだ。

ジローナはシティのように勇敢で攻撃的なフットボールを実践している。そのためにシティの支社や支店とも呼ばれたりもするが、クラブの規模も資金力もかけ離れているために、歳の離れた弟くらいの立ち位置が適当だろう。言えるのは、ミチェルのプレー志向がグアルディオラのものとほぼ同じ、ということである。

■中立なフットボールファンほど夢中になるチーム

ジローナのフットボールは彼らの指揮官抜きで語ることができない。ビルドアップやフィニッシュフェーズのプレーメカニズム、ボールを失った際に発動するプレッシング……チームのアイデンティティーとなった一連のアイデアは、間違いなくミチェルが形づくったものだ。その攻撃的スタイルは見る者を釘付けにし、その心をしっかり捉える。中立なフットボールファンであればあるほど、彼らの試合の視聴/録画予約をしてしまうだろう。

ジローナの良質なプレーはフェーズごとに変わるフォーメーションと、選手たちの柔軟な解釈によって成立している。基本フォーメーションは1-4-2-3-1(スペインはGKから表記)だが、ビルドアップ(3バックとなって左サイドバックがインサイドハーフの役割を務める)やプレッシング(2ボランチがスペースやインサイドハーフのレーンを塞ぐ)など、フェーズごとに大きく変化させていき、それが彼らを補完的なチームたらしめている。

■チームとして意思が統一されたパフォーマンス

前述の通り、ジローナはビルドアップでは3バックへと変化する。DFラインに位置するエリック・ガルシア、ダビド・ロペス、ブリントは全員が優れたパス能力を有しており、彼らとMFのアレイクス・ガルシア、ヤンヘル・エレーラ、イバン・マルティンが中央で段階的なポジショ二ングを取っている。

そしてミゲル・グティエレスが内に絞ることで中央での数的・質的な優位性を獲得し、サイドから逆サイドへの展開はより容易に。両ウィングのツィガンコフ、サビーニョおよび彼らとコンビを組むサイドバックは、相手の対応が遅れて手薄となったサイドを突くことができる。彼らが仕掛ける攻撃において何よりも重要なのは、選手全員に「今、チームのために何をすべきか?」というプレーの優先順位が叩き込まれており、全体での意思決定と動き出しが迅速であることだ。パスの出し手と受け手がいるほか、第三の選手はしっかりと走り出している。

■鍵を握る選手たち

ジローナをピッチ上で指揮するのは、26歳にしてスペイン代表に初選出されたアレイクス・ガルシアだ。彼のスイス時計のように正確な長短のパス、サイドチェンジを生かしたゲームメイクは、ジローナがフィニッシュフェーズまで到達するための原動力となっている。

savinho-liga-20231201そして左ウィングのサヴィーニョは、今季リーガで旋風を巻き起こしているドリブラーだ。彼がその尋常ならざる突破力でもってゴールライン際まで突き進めば、ジローナはシュートを打つ選手たちを中央に集中させることができる。この19歳のブラジル人FWは、同じくシティ・グループのトロワからジローナにレンタルで加入。まるで芝生の上でスケートをしているかのようなドリブルを見せる、まさに手をつけられない選手の類である。Getty Images

1トップを務めるドフビクも、ジローナの鍵を握る一人。このウクライナ人FWはただ点取り屋であるわけではなく、ポストプレーやマークを外したり相手DF陣を引きつけたりする動きで、ジローナの攻撃をより豊かにしている。加えて、左ウィングのサヴィーニョ、右ウィングのツィガンコフが幅と深みを取ることで、ドフビク自身も中央でシュートを打つスペースを獲得している。

■躍進の理由はハイプレスから仕掛ける波状攻撃に

ミチェルのジローナが迫力ある攻撃を実現していることは、別に目新しいわけでもない。今季、彼らが飛躍を果たした理由は、本当に結束した一枚岩としてのプレーにある。彼らは2ボランチ(アレイクス&ヤンヘル)を中心にプレーのリスタート時、ピッチ中央での守備ブロック形成時にハイプレスを仕掛ける。そのプレスは前から仕掛けるためにリスクがありながらも補完性が高く、それが強靭な守り、ボール奪取、波状攻撃につながる。

ジローナの両ウィングが両サイドバックのカバーに入る光景は決して珍しくない。またエリック・ガルシア、ダビド・ロペス、ブリントの3バックは警戒を怠らずチームがボールを失うときに備えている。彼らはスピードがあまり速くなく、そのために相手のアタッカーたちと近い距離を保ち、攻守が入れ替わると一気に圧をかける。

■人々の記憶に残るチーム

ジローナは以上の戦術によって、約6000万ユーロという予算規模からすれば、並外れた成績を収めるチームとなった(ちなみにレアル・マドリーの今季予算が9億4000万ユーロ、バルセロナが8億5900万ユーロ、アトレティコが4億ユーロ以下)。マンチェスター・シティのような香りを漂わせている彼らのプレーへの確信はぶれず、それが今日の結果につながっている。

ミチェルをキャプテンとするジローナという船は、これからどんな荒波が待ち受けていようとも、間違いなく良い港にたどり着くことができるだろう。EL出場でも成功と言えるのに、彼らの勝ち点獲得ペースでは、統計的にCL出場率が100%となるのだから。

ジローナがラ・リーガ優勝を果たすことはない(ああ、本音を言えば私はそれが間違いになることを望んでいる

文=ハビ・シジェス(Javi Silles)/スペイン紙『as』副編集長
翻訳=江間慎一郎

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