2つの波紋を呼んだ場面だ。
鹿島が1点リードの状況で迎えた25分。MFディエゴ・ピトゥカのスルーパスに抜け出したMFアルトゥール・カイキがペナルティエリアのギリギリの位置でGK菅野孝憲と衝突。主審は鹿島にPKを与えた上で菅野にイエローカードを提示する。しかしリプレイ映像を見ると、アルトゥール・カイキがボール方向ではなく、自ら体を当てにいったような動作にも確認できる。そしてそのPKを一度は菅野が足でストップするも、VARが介入してPKキッカーのFW鈴木優磨が蹴る前に札幌の複数の選手がペナルティエリア内に入っていたためやり直しに。最終的には、鈴木が2度目のPKを成功させて鹿島が2点差にリードを広げる大きなゴールとなった。この一連のシーンについて議論を繰り広げた。
まず議論の焦点となったのは、”PKというジャッジの妥当性”だ。平畠氏は、主審の判定を支持するが、「カメラの位置によってペナルティエリアの中か、外か微妙だった」と主張。またイエローカードという判断は、「菅野選手はボールにいっていたので、DOGSOでイエローカードになったと思う」と見解を示す。山本氏もこの意見に賛同した上で、アルトゥール・カイキの動作について言及。「(ペナルティエリアの)ギリギリ中のところでGKも前に出てくるので、当たる方としては怖いから身構えた感じで自分の体を守ろうとしてブロックしたようにも見える」と意見を述べる。
元国際審判員の深野氏も主審の判断を尊重した上でイエローカードという判断は、「DOGSOだと思う。エンプティーゴールなので少し右にトラップしてもシュートは打てると思う。ただ菅野選手はボールにプレーしたので一段下がってイエローカードという判断だったと思う」と解説。PKが与えられた判断は正しかったという意見でまとまっている。
次に議論の焦点となったのは”PKやり直しの妥当性”だ。平畠氏は、「菅野選手は片足がライン上に残っていたので問題なかったと思う。フィールドプレイヤーがPKを蹴る前にペナルティエリア内に入ったことでのやり直しだと理解している」と意見を述べるが、「厳密に取り出したらキリがないのではないか」と問題提起。さらに今回のPKの場面に限らず、「(ペナルティエリア内に選手が)入っていることは多々ありますよね。今回取ったことでPKになる度にそこばかり気にして一歩入ってた、半歩入ってた、体が入ってたとかになるとPKの流れが変わってしまうのではないか」と主張する。
山本氏も主審の判定を支持した上で、指導者目線での意見をこう続けている。
「このシーンをきっかけに気をつけるようになれば、全体が修正されていくと思うので、これを基準に修正していけば良いと思う」。
深野氏は、山本氏のこの意見を絶賛。「ディフェンスもオフェンスも必ず蹴った後に入ることが重要になる。何一つとして良いことがないので蹴るまでしっかりと待ってから入ることを推奨したい」と改めて強調し、選手への理解を求めた。
またVARが介入された場合にビデオ・アシスタント・レフェリーがチェックしているポイントをこう説明している。
「GKが先に前に出ていないか、キッカーがフェイントをしていないかどうか、あとは外側から入ろうとしているオフェンスとディフェンスの両方の選手を見ますけど、ボールに関与した選手が入ったかどうかだけを見ている」。
今回のケースは、菅野がPKを止めたボールを最初にクリアしたDF福森晃斗の足が入っていたかどうかがVARでのチェックの対象となる。この場面では、福森がペナルティーアーク内に足を踏み入れていたことでVARによってPKがやり直しとなり、仮に足を踏み入れていない札幌の選手がクリアしていた場合には、PKやり直しの対象にはならないという真相も明らかになっている。
今後はどんな事象を題材として扱っていくのか。今後のJリーグジャッジリプレイにも注目したい。
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