バスケットボール男子日本代表は、今週末にワールドカップ予選の2試合を戦う。2月26日がチャイニーズ・タイペイ、翌27日がオーストラリアとの2連戦。来年8月の本大会は沖縄が開催地の一つであり、日本代表は開催国枠での出場が決まっている。
それでもコロナ禍が続くなかで国際試合を行うのは難しく、東京オリンピック後にトム・ホーバスを新たなヘッドコーチに迎えて、そのバスケスタイルに適した選手を集めてチームの成熟度を高める日本代表にとっては貴重な実戦の機会だ。
アジア地区の予選とは言え、昨年秋に行われた中国の2試合はいずれも完敗。今回もシーズン中の開催とあってベストメンバーを集められず、NBAでプレーする八村塁と渡邊雄太が参加しないだけでなく、Bリーグでプレーする選手も希望通りに招集できたわけではない。指揮官ホーバスは会見で「合宿のメンバーが半分になった。残念」とフラストレーションを訴えている。
しかし、それは言い訳にならない。心身ともにコンディションが十分でない選手、代表よりBリーグを優先する選手よりも、Bリーグがこれから佳境を迎える時期でも代表招集に馳せ参じる今の代表選手たちをクローズアップしたい。
サイズを重視したフリオ・ラマスから選手選考の基準は一変し、ホーバスが東京オリンピックで銀メダルを勝ち取った女子日本代表のスタイルが男子にも持ち込まれ、運動量と3ポイントシュートが重視されるようになった。
ガード陣もこれまで背が低かったのは富樫勇樹ただ一人で、他はサイズ優先の選手選考が当たり前となっていたが、昨秋の時点で172cmの斎藤拓実と179cmの寺嶋良が招集されて活躍している。
東京オリンピックの女子日本代表では162cmの小さなポイントガード、町田瑠唯がハイテンポなバスケットを演出し、強豪国の大きな選手たちをスピードで振り回してアシストを量産した。ホーバスの下では小さいことは不利とならない。ラマス時代には評価されなかった選手たちが、今は強い意欲を持って代表活動に参加している。
他のポジションでも西田優大やコー・フリッピン、アイザイア・マーフィーが抜擢されている。彼らはここで活躍すれば一気に代表に定着できるチャンスであり、しかも来年には自国開催のワールドカップが控えているとあって、モチベーションには事欠かない。
もっとも、男子は女子よりもさらに個人のアスリート能力とスキルがモノを言う。ホーバスのバスケをそのまま取り入れても苦戦することは、前回の中国戦での惨敗で明らかになった。そこからホーバスがどんな修正を施し、選手たちがどれだけ遂行できるかが今回の2試合の注目ポイントとなる。
2016年のBリーグ創設を皮切りに、国内のレベルは上がり、NBAプレーヤーが同時に2人も誕生して、日本バスケットのレベルは急速に上がった。その勢いが本物であれば、かつてライバルだったチャイニーズ・タイペイには危なげなく勝つ必要があるし、こちらもベストメンバーではないオーストラリアとも善戦に持ち込みたい。
新生日本代表でキャプテンに任命された富樫勇樹は、「中国に連敗と勝てていないので、まずチャイニーズ・タイペイに良い試合をして勝ちたい。日曜のオーストラリア戦は楽しみ。11月、2月と練習してきたことを出したい」と意気込みを語っている。
男子日本代表の右肩上がりでの成長がこのまま続くことを願いたいが、それが実現できるかどうかのヒントをたくさん得られる2試合になりそうだ。
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