イラン遠征には指揮官ホーバスが不参加、佐々宜央が指揮
バスケットボール男子日本代表にとって、2022年夏の活動を締めくくるのがワールドカップ予選のWindow4、25日深夜に行われるアウェーのイラン戦、そして30日にホームの沖縄アリーナで行われるウズベキスタン戦の2試合だ。
イラン戦については、ヘッドコーチのトム・ホーバスとアソシエイトヘッドコーチのコーリー・ゲインズがチームに帯同しない。アメリカ政府がイランへの渡航を禁止しているための措置で、この試合に限ってはアシスタントコーチの佐々宜央がヘッドコーチ代行を務める。
指揮官抜きという意味で、テスト的要素の多い試合になりそうだが、ベンチにホーバスがいなくても、彼のスタイルは日本代表選手たちの頭と身体に染み付いているはず。イラン戦はホーバス不在だからこそ、今の日本代表のバスケをどれだけ表現できるかが問われる試合となる。
イランとは8月13日と14日にゼビオアリーナ仙台でテストマッチを2試合戦ったばかり。そこでは馬場雄大が久々の代表でキレのある動きと3ポイントシュートへの適応を見せて連勝を収めている。ただ、Window4は公式戦であり、イランも攻守にプレーの強度が変わってくるはず。だからこそ代表からしばらく離れていた馬場にとっては、ホーバスのバスケを吸収し、新たな代表フリオ・ラマス体制からは顔ぶれがかなり変わったチームメートとの連携向上を示す機会となる。
河村勇輝、須田侑太郎、富永啓生、井上宗一郎が台頭
7月最初のWindow3からアジアカップ、8月の国際強化試合を経て、ホーバスのバスケの浸透は着々と進んでいる。昨年11月のWindow1、今年2月のWindow2ではBリーグのシーズン中とあって十分な練習ができず、選手たちの中にも新しいバスケへの迷いが見て取れたが、この夏は多くの選手を代表合宿に呼び、試合で試してふるいにかける中で、選手のセレクションの精度も上がってきた。
ポイントガードでは富樫勇樹に加えて河村勇輝と、サイズのない2人を併用。これはホーバスのバスケの軸となる、ボールプッシュを重視して速い流れを作り出す能力を強調したもの。それでいて富樫は自らの得点力、河村は国際試合の大きな相手にもひるまず飛び込んでいくドライブと当たり負けしないプレスディフェンスと、異なる個性を見せながら代表に定着している。
この夏に大ブレイクを果たしたのは須田侑太郎で、粘り強いディフェンスと思い切りの良い3ポイントシュートの『3&D』として評価を確立。遠いレンジからでも打ちまくり、決めまくる富永啓生と合わせ、3ポイントシュートを生命線とするホーバスの日本代表にとっては強力な武器の出現となった。
井上宗一郎は外からもシュートの打てるストレッチ4として台頭しており、シェーファー・アヴィ幸樹ほぼ一択だった若手ビッグマンに新たな競争を持ち込んでいる。吉井裕鷹も国際試合で通用するフィジカルとハードワークを武器に、今夏一気に代表での評価を確立した。
ニック・ファジーカス、ホーバスの秘密兵器!?
ホーバス体制になってから八村塁の代表参加は実現していないが、渡邊雄太はどんなスタイルにもフィットし、チームリーダーを務められることを証明。比江島慎も頼りになるベテランとして代表での存在感を示している。
イラン戦のメンバーには入っていないが、今回の予備登録メンバー19人にはニック・ファジーカスの名前がある。2019年のワールドカップ前回大会に向けた予選、崖っぷちに追い詰められた日本代表を浮上させたのは、日本国籍を取得してチームに加わったファジーカスだった。もともとスピードがあるタイプではなく、37歳の大ベテランとあってホーバスの『走るバスケ』には向かないように見えるが、アウトサイドのシュート精度は他の帰化選手とは一線を画しており、セットプレーになった際の打ち手の少なさも改善できる。
様々なテストを経て強化が進んでいるホーバスの日本代表にとって、唯一の泣きどころは帰化選手の部分。ここにファジーカスが、エースではなくとも戦い方の一つのオプションとして機能するだけでもフィットしてくれれば、チームにとっては大きな力となりそうだ。
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