相手の攻め手を潰す、日本のディフェンスが光る勝利
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女子ワールドカップが開幕した。恩塚亨ヘッドコーチ率いる日本代表は初戦でマリ代表と対戦し、4つのクォーターすべてで上回る89-56の快勝スタートを切った。
日本の先発は山本麻衣、東藤なな子、赤穂ひまわり、オコエ桃仁花、髙田真希だったが、開始3分で4人が交代し、その4分半後にも3人を交代させて、試合開始から7分半で12人の登録メンバー全員をコートに立たせた。それぞれの選手をワールドカップの舞台に慣れさせ、攻守に様々な組み合わせを試す中で、序盤こそ競った展開となったが、次第に力の差がスコアに現れた。
トム・ホーバスが率いた東京オリンピックのチームとの違いは、特に試合序盤に明確に現れた。3ポイントシュートが常に最初の選択肢だった1年前とは違い、赤穂、山本、馬瓜ステファニーが個人で強引にインサイドに仕掛け、ターンオーバーがいくつか出たものの、宮崎早織と渡嘉敷来夢によるピック&ロール、ステファニーのターンアラウンドジャンパーが飛び出すなど、多彩な攻めでマリ代表に的を絞らせなかった。
そして日本代表の『メインの武器』である3ポイントシュートでは、ルーキーの平下愛佳がインパクトを見せた。ゴール下にドライブで仕掛けた山本のキックアウトをコーナーで待っていたオコエがチーム最初の3ポイントシュートを決めた後、平下は第1クォーターだけで3本を沈めてオフェンスを勢い付けた。
マリ代表はフィジカルを生かしたドライブを仕掛け、強引でありながらフィニッシュのスキルの高さを見せて、髙田や渡嘉敷の守るゴール下をこじ開けていく。それでも試合序盤に何本か出たトランジションは日本がディフェンスを修正したことで出なくなり、コンタクトを受けながら強引にねじ込むバスケット・カウントは何本かあったものの、ビッグプレーではないイージーなシュートチャンスが作れずに得点が伸びない。
こうしてマリは失速し、第2クォーター後半に一気に点差が開く。前半を終えて47-29、3ポイントシュートは日本が19本中10本と50%超えで決めたのに対し、マリは11本中成功わずか1本と、ここで明暗が分かれた。
「シュートは水物」と言われるように、3ポイントシュートは決まる時と決まらない時がある。それでも試合の中でディフェンスをアジャストして相手の攻め手を封じれば、確実に優位に立てる。マリ代表は力強さもスキルも高いレベルで備えているが、試合の中で相手の出方、自分たちの調子で戦い方を変えていくプレーの幅広さは持ち合わせていない。後半も日本優位の流れは変わらず、点差が開いていった。
終わってみれば89-56の完勝。マリのフィールドゴールを78本中20本成功(25.6%)と抑え込んだ、日本のディフェンスが光る勝利だった。
「シュートを打ち切る、どんどん走る」
日本は序盤からタイムシェアを徹底したが、その中で最年少の平下が両チームを通じて最多となる17得点を記録。16分25秒のプレータイムで3ポイントシュート6本中5本を決める最高のスタートを切った。
試合後の平下は「とにかく自分のタイミングでボールが来たら絶対に打とうと決めていて、そのタイミングでノーマークを作ってもらって気持ち良く打てました」と語る。「最近は練習ゲームも含めてすごくシュートタッチが良くて、自分的にも調子が良い」と、自信を持って大会に臨むことができている。
平下は自分の仕事を「シューターとしてしっかりシュートを打ち切ること。シックスマンで出ることが多いのでチームに良い流れを作れるようどんどん走ること」と明確に理解して、思い切ったプレーでチームに勢いを与えようとしている。歴戦の代表選手に経験ではかなわないが、フレッシュな力が大会初戦から良い形でチームに良い影響を与えた。
その平下は、今後の試合でも活躍を誓う。「金メダルが取れるように、これからの試合でも自分の仕事をやり遂げられるよう頑張ります」
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