出だしでつまづくも、フレッシュな選手の投入で踏みとどまる
アジアカップのグループフェイズ最終戦は、FIBAランキング3位にして今大会のホスト国でもあるオーストラリアが相手。勝てばグループ1位での準決勝進出が決まるとともに、来年のパリオリンピックに向けた世界最終予選への出場権を獲得できる。
そんな大一番で、日本は出だしからつまずいた。最初のオフェンスで山本麻衣の不用意なパスを奪われて、そのまま速攻を浴びて失点すると、3ポイントシュート2本を立て続けに決められ、0-8からのスタートに。試合開始からリズムに乗れない4分が経過したところで、恩塚亨ヘッドコーチは選手を入れ替えていく。
出だしで勢いに乗れなかった選手に固執せず、気持ちがフレッシュな選手を投入する一連の交代が効き、日本は何とか踏み留まる。星杏璃が前から激しくしつこく当たるディフェンスで相手のプレーの選択肢を減らし、平下愛佳はファーストタッチで3ポイントシュートを決める。続いて入ったオコエ桃仁花もインサイドで相手のフィジカルに押し負けずに踏ん張った。
そこから次第に攻勢に転じ、第1クォーターを15-21でまとめた。立ち上がりでリズムに乗れず、相手の3ポイントシュートが当たっていたことを考えれば、6点差はよく耐えたと言える。
第2クォーターに入ると、今度は日本の3ポイントシュートに当たりが出始める。山本と林咲希は先発したものの早々にベンチに下げられていたが、再びコートに入った時にはアグレッシブな気持ちを取り戻しており、この2人の3ポイントシュートで追い上げを開始。山本はさらに3ポイントラインより手前からのディープスリーを沈め、さらに速攻での3ポイントシュートも決めて、33-32と逆転に成功する。
第1クォーターに続いて前では星が激しいプレッシャーを掛け続けて相手に攻撃を組み立てさせず、ゴール下ではオコエが相手の長身選手をマークして自由を与えなかった。そして、オコエが好調だったためにベンチにいる時間が長かった髙田真希は、この間に相手のオフェンスをよく見極めて、自分のディフェンスを調整する。コートに戻った後はダブルチームを仕掛けるタイミングが修正されており、高さを生かした相手のゴール下の攻めを許さない。オーストラリアは序盤の良いイメージを忘れられずゴール下に固執し、ここでミスが続いたことでリズムを崩し、逆に日本は良いディフェンスから良いオフェンスへと繋ぎ、攻守に勢いが出た。
好調のオコエは両チーム最多の20得点「絶対に貢献したいと…」
(C)FIBA
44-33と2桁のリードを奪って前半終了。後半、山本がボールを持つと相手はディープスリーまで警戒して前に出て来るのだが、山本はこれをスピードで抜き去ってレイアップに持ち込み、相手がドライブを警戒すると3ポイントシュートを射抜き、今度はまたドライブレイアップと、相手のディフェンスに対して有効な武器を巧みに使い分けて得点を重ねていく。また試合序盤の悪い流れを激しいディフェンスで断ち切った星が、オフェンスでも積極性を出し始めると、オーストラリアのディフェンスは2ガードに抑えどころを見い出せず混乱に陥った。
日本のタイムシェアは後半になってその効果をさらに増す。主力にプレータイムの偏るオーストラリアは、日本のスピーディーな展開に振り回され続けたことで疲弊が進んでいく。もともと試合終盤には運動量で相手を圧倒するのが日本のゲームプランだが、オーストラリアは第3クォーター半ばには足が止まり、リバウンドも取れなくなった。第3クォーター残り2分で20点差と、この時点でほぼ勝敗は決した。
第4クォーターにオーストラリアは主力を下げて、これまでプレータイムの少なかったベンチメンバーを投入したことで運動量とインテンシティを上げたが、日本は今度は落ち着いた対応で相手の勢いを受け流し、リードを守り続ける。3ポイントシュート攻勢は最後まで止まらず、星、オコエ、再び星と決めてリードを30点へと広げた。最後に投入された朝比奈あずさのコーナースリーが決まり、これで全員得点。攻守ともに見事なパフォーマンスで、91-66と快勝を収めた。
オコエは両チーム最多の20得点を記録。ディフェンスでも相手のビッグマンを抑え、攻守にアグレッシブな姿勢を貫いた。オコエは初戦で5得点、2戦目では3ポイントシュート8本放って成功なしの4得点と格下相手に不発に終わっていたが、この大一番で見事な活躍を見せた。
オコエは言う。「この試合では絶対に貢献したいと思っていた。ベンチから出て行くので流れを変えられるように。フィリピン戦の後に恩塚コーチやチームメートに、シューターとしてどんどん打っていけと言われてモチベーションを上げてもらった」
山本はハイライトプレー連発の19得点、そして猛烈なディフェンスで日本に流れを呼び込んだ星が後半にオフェンスでも爆発して15得点を記録。日本は3ポイントシュート17本成功と最大の武器を上手く生かしただけでなく、サイズで劣るにもかかわらずリバウンドで33-31と上回り、相手の2点シュートを37本中14本成功(37.8%)と止めたことで完勝へと繋げた。
これで日本は準決勝進出。7月1日に、ニュージーランドとフィリピンの勝者と対戦する。
【オーストラリア×日本|ハイライト】日本が開催国オーストラリアに快勝! 3連勝でベスト4以上確定
FIBA女子アジアカップ2023|日本代表メンバー
- 3 馬瓜ステファニー(PF/182センチ)
- 8 髙田真希(PF/185センチ/デンソー アイリス)
- 12 朝比奈あずさ(C/185センチ/筑波大学)
- 15 本橋菜子(PG/164センチ/東京羽田ヴィッキーズ)
- 23 山本麻衣(PG/163センチ/トヨタ自動車 アンテロープス)
- 27 林咲希(SG/173センチ/富士通 レッドウェーブ)
- 31 平下愛佳(SG/177センチ/トヨタ自動車 アンテロープス)
- 32 宮崎早織(PG/167センチ/ENEOS サンフラワーズ)
- 59 星杏璃(SG/170センチ/ENEOS サンフラワーズ)
- 75 東藤なな子(SF/175センチ/トヨタ紡織 サンシャインラビッツ)
- 88 赤穂ひまわり(SF/184センチ/デンソー アイリス)
- 99 オコエ桃仁花(PF/182センチ/ジーロング・スーパーキャッツ/オーストラリア)
FIBA女子アジアカップ2023|日本代表 試合日程
試合日 | カード |
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6/26(月) 16:00 | 日本 vs チャイニーズ・タイペイ |
6/26(月) 18:30 | オーストラリア vs フィリピン |
6/27(火) 12:30 | フィリピン vs 日本 |
6/27(火) 18:30 | チャイニーズ・タイペイ vs オーストラリア |
6/28(水) 12:30 | チャイニーズ・タイペイ vs フィリピン |
6/28(水) 18:30 | オーストラリア vs 日本 |
【準決勝進出決定戦】
試合日 | カード |
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6/30(金) 未定 | 【QS1】B組2位 vs A組3位 |
6/30(金) 未定 | 【QS2】A組2位 vs B組3位 |
【準決勝】
試合日 | カード |
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7/1(土) 未定 | 【SF1】A組1位 vs QS1の勝者 |
7/1(土) 未定 | 【SF2】B組1位 vs QS2の勝者 |
【3位決定戦】
試合日 | カード |
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7/2(日) 11:30 | SF1の敗者 vs SF2の敗者 |
【決勝】
試合日 | カード |
---|---|
7/2(日) 14:00 | SF1の勝者 vs SF2の勝者 |
FIBA女子アジアカップ2023|放送・配信予定
FIBA女子アジアカップ2023は、『 DAZN 』が日本戦を全試合ライブ配信する。地上波やBSなどでの中継は予定されていない。
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