「うるさく、しつこく」ディフェンス
オーストラリアで開催されている女子アジアカップ。グループフェイズを1位で突破した日本代表は準決勝でニュージーランドに88-52の快勝を収め、ファイナル進出を果たした。
アジアカップは4チームで争うグループフェイズで1位になるとストレートで準決勝へ進出するが、グループ2位と3位は準決勝進出を巡ってプレーオフを戦う。日本は1位通過を果たしたため試合間隔が2日間空いたが、グループ2位と3位は昨日に試合を行っている。ニュージーランドは日本とは別のグループAの2位で、グループBで3位となったフィリピンを破って準決勝に駒を進めていた。
日本が休養十分なのに対し、ニュージーランドは6日で5試合目という厳しいスケジュール。ただし日本も試合勘という意味ではマイナスで、4強進出チームに与えられるパリオリンピック世界最終予選への出場権も確保したとあって、集中を保つのが難しい状況にあった。
さらに試合序盤から簡単な接触でもファウルを立て続けに取られ、試合開始から1分半でファウルが3つに。プレーのリズムをつかむのが難しい立ち上がりとなった。
それでも、ファウルが出るのはアグレッシブに、強度の高いプレーができている証拠ととらえ、日本は集中を切らすことなくディフェンスからリズムをつかんでいく。ニュージーランドに良いボールムーブをされてもフィニッシュに対してはきっちりプレッシャーを掛けてシュートを決めさせない。ニュージーランドが最初のフィールドゴールを決めたのは試合開始から4分半後。その時点で9-3とリードしており、シックスマンの星杏璃が思い切りの良いドライブからのレイアップ、そして3ポイントシュートを立て続けに決めて14-3としたところで、ニュージーランドはたまらず最初のタイムアウトを取った。
リズムが悪い中でも「うるさく、しつこく」をモットーとするディフェンスに注力し、そこから良いオフェンスへと繋ぐことで日本は波に乗った。それだけの運動量を可能にしたのは矢継ぎ早に選手交代をし続けるタイムシェアで、この試合では第1クォーターから12選手全員を起用。連戦のニュージーランドのスタミナ面の課題を容赦なく突き、前半で47-25と大差を付けた。
アジアカップ6連覇に向けて「やり抜く強さを持ってファイナルに」
(C)FIBA
ニュージーランドのエース、シャルルス・レガ・ウォーカーはアメリカの大学でプレーするスコアリングガードで、今大会では18.4得点を記録。前日のフィリピン戦では34得点6アシストと抜群のパフォーマンスを見せた。
日本は前半で大量リードを奪っていたが、レガ・ウォーカーの多彩なスキルを生かしたアタックは止められず、前半だけで14得点を奪われていた。この相手のエースを止めるべく、後半開始から山本麻衣がオールコートで常に密着マークし、自陣でも簡単にはボールを持たせない。
ボールを運び、パスワークの中心となり、ドライブを仕掛けて得点を奪うレガ・ウォーカーを相手のチームオフェンスから切り離すことで、ニュージーランドのオフェンスは手詰まりに陥り、簡単なパスをミスしたり、シュートに持ち込めないまま24秒バイオレーションで攻撃が終わったりと、完全にリズムを崩した。余裕のある展開でも手を緩めず、むしろ相手の唯一の長所を潰しに行く徹底した対策により、後半のレガ・ウォーカーは無得点に終わっている。
ニュージーランドはエースが中心のバスケだったのに対し、日本はその真逆となるチームバスケを遂行した。リズムに乗れなかった試合序盤の数分間は馬瓜ステファニーによる個人技での打開が目立ったが、それ以外はプレータイムも役割もシェア。ポイントガードの山本ではなく星と平下愛佳でボールを運び、山本が外で構えてキャッチ&シュートを狙ったり、大黒柱の髙田真希がシンプルにボールをさばくパスとスクリーンでチャンスメークに徹したり。代表での実績が浅い星でも良いカッティングをすればボールを持つ選手が見逃さずにパスを合わせてイージーレイアップに持っていったりと、変幻自在かつ効果的なチームバスケを展開した。
こうなるとニュージーランドには成す術がない。40分間攻守に手を抜かない日本は4つのクォーターすべてで上回り、88-52の完勝を収めた。馬瓜ステファニーがゲームハイの17得点、オコエ桃仁花が16得点、本橋菜子と平下愛佳が10得点を記録している。
ファイナルは明日の日本時間14時ティップオフ。相手は準決勝のもう1試合、中国vsオーストラリアの勝者となる。アジアカップ6連覇まであと1勝。恩塚ヘッドコーチは「このエネルギーとクリエイティビティ、あとはやり抜く強さを持ってファイナルに臨みたい」と語った。
【日本×ニュージーランド|ハイライト】大会史上初の6連覇に王手!日本が準決勝でニュージーランドに快勝
FIBA女子アジアカップ2023|日本代表メンバー
- 3 馬瓜ステファニー(PF/182センチ)
- 8 髙田真希(PF/185センチ/デンソー アイリス)
- 12 朝比奈あずさ(C/185センチ/筑波大学)
- 15 本橋菜子(PG/164センチ/東京羽田ヴィッキーズ)
- 23 山本麻衣(PG/163センチ/トヨタ自動車 アンテロープス)
- 27 林咲希(SG/173センチ/富士通 レッドウェーブ)
- 31 平下愛佳(SG/177センチ/トヨタ自動車 アンテロープス)
- 32 宮崎早織(PG/167センチ/ENEOS サンフラワーズ)
- 59 星杏璃(SG/170センチ/ENEOS サンフラワーズ)
- 75 東藤なな子(SF/175センチ/トヨタ紡織 サンシャインラビッツ)
- 88 赤穂ひまわり(SF/184センチ/デンソー アイリス)
- 99 オコエ桃仁花(PF/182センチ/ジーロング・スーパーキャッツ/オーストラリア)
FIBA女子アジアカップ2023|日本代表 試合日程
試合日 | カード |
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6/26(月) 16:00 | 日本 vs チャイニーズ・タイペイ |
6/26(月) 18:30 | オーストラリア vs フィリピン |
6/27(火) 12:30 | フィリピン vs 日本 |
6/27(火) 18:30 | チャイニーズ・タイペイ vs オーストラリア |
6/28(水) 12:30 | チャイニーズ・タイペイ vs フィリピン |
6/28(水) 18:30 | オーストラリア vs 日本 |
【準決勝進出決定戦】
試合日 | カード |
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6/30(金) 未定 | 【QS1】B組2位 vs A組3位 |
6/30(金) 未定 | 【QS2】A組2位 vs B組3位 |
【準決勝】
試合日 | カード |
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7/1(土) 未定 | 【SF1】A組1位 vs QS1の勝者 |
7/1(土) 未定 | 【SF2】B組1位 vs QS2の勝者 |
【3位決定戦】
試合日 | カード |
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7/2(日) 11:30 | SF1の敗者 vs SF2の敗者 |
【決勝】
試合日 | カード |
---|---|
7/2(日) 14:00 | SF1の勝者 vs SF2の勝者 |
FIBA女子アジアカップ2023|放送・配信予定
FIBA女子アジアカップ2023は、『 DAZN 』が日本戦を全試合ライブ配信する。地上波やBSなどでの中継は予定されていない。
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