バスケットボール男子日本代表は昨年、自国開催のワールドカップで大きな飛躍を遂げ、バスケはブームを迎えつつある。2月22日に行われたアジアカップ予選初戦、グアム代表を迎えた有明コロシアムは満員となり、熱狂的な雰囲気となった。ただ、ファンの中には日本代表が試合をすればそれで満足する層がある程度は存在する。試合前から試合後まで観客席は大盛り上がりで、日本代表が77-56で勝利を収めたことで大団円という雰囲気だったが、日本代表のパフォーマンスは事前の期待をはるかに下回るものだった。
グアムは世界ランキング76位で、これはBリーグ創設による日本バスケの急成長がスタートした2016年のランキングよりも下。ホームゲームの利もあり、圧倒的な試合展開を見せるべきだった。ところが実際はスタートこそ良かったものの、その後は相手に押し返されて35-36と逆転されて前半を終えることに。立て直した後半を42-20として結果的に21点差の勝利となったが、収穫よりも課題の方がずっと多かったことは、試合後の選手たちの表情が物語っていた。
今回は新しいメンバーを試す意味もあったし、試合直前に馬場雄大がコンディション不良で欠場となるアクシデントもあったが、それを言い訳にするようでは日本代表の今後の成長はない。前半はどの選手も積極的に3ポイントシュートを狙っていったが成功率が上がらず、シュートが入らない時は別のアプローチを取り、ディフェンスやリバウンドに力を注ぐことで流れを呼び込みたいところだが、前半はそのどちらも見られなかった。単調な外一辺倒の攻めに終始し、相手のインサイドアタックを止める力強さもなかった。
これはチームの実力不足ではなく、マインドセットの問題だろう。格下相手に華麗なプレーで簡単に勝てるとの油断があった。それでも、ハーフタイムに気持ちを切り替えて後半に立て直せたことは、収穫とは言わないまでも最低限のノルマは果たせた。その後半、自分のプレーを変えることでチームを上向かせたのは比江島慎と河村勇輝、ワールドカップで大活躍した2人だった。
比江島も河村も後半はペイントアタックの回数を増やし、外一辺倒のバスケに変化を加えた。比江島はオールラウンドに得点を取れるエースだが、「僕の強みはペイントにアタックできること。そこで強みをアピールしないといけない」との意識で後半に臨んだ。それ以上にリバウンドやルーズボールなど泥臭い仕事を誰よりもこなす姿勢を打ち出すことで、チームのプレー強度を上げるきっかけを作ったことで、国際試合の経験が豊富なところを見せた。
河村もまた、後半はペイントアタックの意識を強め、彼がドライブでインサイドに仕掛けてキックアウトでチームメートに3ポイントシュートの機会を作り出し、単調な攻めに変化を加えた。Bリーグでの所属チームではチームメートに点を取らせてリズムに乗せることを優先しているが、代表ではまず自分で攻める姿勢を打ち出すべきとの学びも得られた。「3ポイントシュートが入らなかったら、後半からではなくすぐに修正しなければいけない。強豪国が相手だと前半に大差を付けられて終わってしまう。そこはポイントガードが気付いて、すぐにアジャストする必要があります」と河村は語った。
比江島も河村も「勝てたことはまず良かった」と言うが、ファンの歓声を浴びながらもそこに笑顔はなかった。ワールドカップでの躍進は過去の出来事で、今一度気を引き締めなければすぐに転落することを痛感していた。
多くの課題が浮き彫りとなったグアム戦では、少ないながら収穫もあった。今回の代表メンバーで最年少となる川島悠翔が代表デビューを果たし、14分のプレーで6得点3リバウンド2アシスト1ブロックを記録。代表のすべての選手が初めて一緒にプレーするチームメートで、連携は全く出来上がっていない状況ながら、臆することなく200cmの高さに俊敏さという自分の武器で勝負に行っていた。このまま良い経験を積むことで、次世代の代表を担うエースへと成長してほしい逸材だ。
2月25日に対戦するのは『アジアの雄』である中国代表。22日に行われたモンゴルとの初戦では、4つのクォーターすべて上回っての80-49と快勝を収めている。中国を相手に中途半端なマインドセットで試合に入ったら、河村が言うように「前半に大差を付けられて終わってしまう」ことになるだろう。ただ、どんな試合でも簡単には勝てないが、気を引き締めて臨めば挽回できることは分かった。中国相手に気の抜いたプレーは一つもできない。その緊張感が日本代表のバスケを劇的に改善させ、アジアカップ予選のWindow1を良い形で締めくくることを期待したい。
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