日本時間14日、米テキサス州ダラスのアメリカンエアラインズ・センターで行われるWBA世界ライト・フライ級スーパー王者、京口紘人の防衛戦が目前に迫った。挑戦者アクセル・アラゴン・ベガ(メキシコ)との試合の行方、そして京口の今後を占ってみよう。
京口は大阪商業大学で国体優勝などの実績を作り、2016年4月にプロデビュー。わずか1年3ヶ月後にミニマム級世界王者となり、その1年5カ月後にはライト・フライ級にクラスを上げて2階級制覇を達成した。デビューから4年足らずで現在のポジションまで駆け上がったチャンピオンは今、ボクシング人生の新たなステージを迎えようとしている。
その第一歩が今回初めてアメリカのリングで防衛戦に臨むということだ。海外への道を切り開くきっかけは、今年に入ってイギリスの大手プロモーション、マッチルームボクシングと契約したこと。軽量級離れした強打の持ち主である京口にマッチルームが興味を示し、オファーを受けた王者にとってもこれは大歓迎の話だった。
「ボクシングを始めたときは世界チャンピオンになることが夢でした。世界チャンピオンになってからはアメリカで試合をすることが夢、いや、目標になりました」
目標としていた舞台に立つのだからモチベーションが高まるのは当然だ。とはいっても、もちろん憧れの舞台に立てばそれで満足というわけではない。この試合を足がかりに海外で評価を高め、広く世界で認められる軽量級のチャンピオンになる。それが京口の野望なのだ。
世界的に軽量級は重量級に比べてポジションが低いと見られがちだが、軽量級でも世界のファンを大いに引きつけ、重量級チャンピオン顔負けのファイトマネーを稼ぎ出すボクサーはいる。14日、同じリングのメインでスーパー・フライ級の2団体統一戦を行うローマン・ゴンサレス(ニカラグア)とフアン・フランシスコ・エストラーダ(メキシコ)はその代表格と言えるだろう。バンタム級で2本のベルトを保持する井上尚弥(大橋)も間違いなくその一人である。
そんなスターたちの仲間入りを果たすための第一歩と言える試合で、京口は弱冠20歳の若きメキシカン、ベガを挑戦者に迎える。ベガは19年10月にWBOミニマム級王座に挑戦して7回TKO負けを喫したものの、4回にチャンピオンからダウンを奪って気を吐いた。武器は思い切り振り下ろすボラードと呼ばれる右フック。京口も「あれには気をつけたい」と警戒している。
挑戦者に一発の破壊力があるとはいえ、実績では2階級制覇王者の京口が大きく上回っており、戦前の予想はチャンピオンに大きく傾く。京口自身も「横綱相撲じゃないけど圧倒したい」と力強く宣言しており、自らの立ち位置を十分に理解した上で周囲の期待にこたえようと意気込んでいるのだ。
試合は総合力で上回る京口が背の低いベガをいかに崩していくかが見どころになるだろう。得意とするアッパーや左ボディなど下からの攻撃から組み立てるパターンがセオリーと言えそうだが、京口は「相手と対峙して感じることがあるはず。いろいろは引き出しを使っていきたい」と話しており、勝負を急ぐつもりはない。状況に応じてさまざまな攻撃を繰り出し、最終的にノックアウトに結びつけようという考えだ。
京口が試合をするのは19年10月以来およそ1年4カ月ぶり。ブランクの影響、初のアメリカのプレッシャーからリングで硬くならないか心配だが、そこはキャリアを積んできた京口のこと。相手の力量を分析しながらきっちりゲームメイクし、勝利への最短コースを探っていくに違いない。理想の勝利はもちろんアメリカのファンの心をわしづかみにするような豪快なノックアウト。京口のアメリカ・デビュー戦に注目が集まる。
文・渋谷淳(しぶや・じゅん)
1971年生まれ、東京都出身。慶應義塾大卒。新聞社勤務をへて独立し、現在はボクシングを中心にスポーツ総合誌「Number」などに執筆。著書「慶応ラグビー 魂の復活」(講談社)。ボクシング・ビート誌のウェブサイト「ボクシングニュース」、会員制有料スポーツサイト「SPOAL(スポール)」の編集にも力を注いでいる。
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日時(日本時間) | カード | 詳細 |
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3月13日(土) 11:30 | ソールンビサイ vs.シスモーゼン | スーパーフライ級10回戦 |
3月14日(日) 11:30 | 京口紘人 vs.ベガ | WBA世界Lフライ級タイトルマッチ |
3月14日(日) 13:00 | エストラーダ vs.ゴンサレス | WBA/WBC世界Sフライ級王座統一戦 |
3月21日(日) 3:00 | オコリー vs.グロワスキ | WBO世界クルーザー級王座決定戦 |
3月21日(日) 10:00 | オルティス・ジュニア vs.フッカー | WBO世界ウェルター級王座決定戦 |
※配信予定、及び出場選手は変更になる場合あり
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