経歴・人物像
世界的に最もエキサイティングな階級の一つであり、歴史上で数多くのスターが誕生してきたミドル級。そんな花形階級にあってレジェンドの1人に加わろうとしているボクサーがゲンナジー・ゴロフキンだ。
ゴロフキンがロシア人の父親と朝鮮系の血を引く母親のもとに生を享けたのは1982年のこと。のちの世界王者は10歳でボクシングをはじめ、アマチュアで輝かしい実績を残した。21歳で出場した世界選手権で金メダルを獲得。翌2004年のアテネ五輪は銀メダルに終わったものの、アマチュアで350戦という膨大な試合をこなして06年にプロに転向した。
ドイツのプロモーターと契約してプロデビューした当初、ゴロフキンは決してスター候補扱いされていたわけではなかった。アマチュアで強国のカザフスタンとはいえ、一歩外に出てしまえば“外国人”という扱い。たとえ実力があっても外国人選手が人気面でハンディを背負う現実は洋の東西を問わない。
ならばエキサイティングな試合でノックアウトを重ね、実力で人気を獲得するしかない──。笑顔の裏に闘志を秘めたゴロフキンは持ち前の強打でノックアウト勝利をこれでもかと積み上げた。20戦目の2010年8月、パナマでWBAミドル級暫定王座決定戦を制して最初のベルトを手に入れると、12年には念願のアメリカ進出を果たす。ここからいよいよスターへの階段を上っていくことになった。
アメリカでも持ち前の強打で挑戦者をバッタバッタとなぎ倒し、ニックネームのGGG(トリプルG)はジワジワとファンの間に浸透した。得意ではなかった英語も積極的に使い、試合前の「ビッグ・ドラマ・ショーをお見せする」というセリフは代名詞として定着した。可能な限りファンと接し、気さくにサインや写真撮影に応じる姿も好感を持たれた。
ファンから愛される王者となった“GGG”は15年にWBC王座、続いてIBF王座を吸収して3団体統一に成功。“ミドル級の帝王”としてのポジションを不動のものとしたのである。
そして17年9月、宿敵となるサウル“カネロ”アルバレスとの試合が実現した。ゴロフキン有利と見られていた試合は終わってみれば三者三様のドロー。「ゴロフキンのほうが優勢だった」という意見が多かったものの、キャリア初のドローはゴロフキンのプライドを大いに傷つけたことだろう。
そして1年後の18年9月に再戦が組まれたのだが、ゴロフキンは若きカネロに判定負けを喫してしまう。このときゴロフキンは36歳。引退を予想する声もある中、誇り高き帝王は現役続行を決意した。19年にIBF王座を取り戻し、現在もカネロと決着をつけるべく第3戦を待ち望んでいる。
一方で今年39歳を迎えながらいまだトップを走るゴロフキンとの対戦を望んでいる選手も多い。ロンドン五輪金メダリストでWBAミドル級スーパー王者の村田諒太(帝拳)がその一人であり、対戦交渉を行っている事実はぜひ頭に入れておきたいところだ。
ボクシング・スタイル
持ち前の馬力と精度の高いジャブを生かしてグイグイと相手を追い込み、左右のフック、アッパー、ストレートを容赦なく打ち込んでいくアグレッシブなスタイル。世界タイトルマッチにおける17連続KO防衛は、伝説のスーパー・バンタム級王者、ウィルフレド・ゴメスと並ぶ世界タイ記録だ。豪快というイメージがぴったりのボクシングでありながら技術の裏打ちもあり、日本からチャレンジした淵上誠(2012年)と石田順裕(13年)はともに3ラウンドでKOされている。
基本情報・戦績
国籍 | カザフスタン |
出身地 | カラガンダ |
生年月日 | 1982年4月4日 |
身長 | 179cm |
階級 | ミドル級 |
リーチ | 178cm |
試合数 | 43 |
レコード | 41勝1分1敗、36KO |
プロフィール
2004年8月 | アテネ五輪ミドル級銀メダル獲得 |
2006年5月 | プロデビュー |
2010年8月 | ミルトン・ヌネスとの王座決定戦を制してWBAミドル級暫定王座獲得 ※のちに正規王者昇格 |
2014年10月 | マルコ・アントニオ・ルビオを下してWBCミドル級王座獲得 WBA防衛12 |
2015年10月 | デビッド・レミューを下してIBFミドル級王座獲得 WBA防衛15、WBC防衛3 |
2016年9月 | 世界タイトル17連続KO防衛の歴代タイ記録達成 |
2018年5月 | WBA王座19度目の防衛成功 WBC防衛8、IBF防衛4 |
2018年9月 | サウル“カネロ”アルバレスに敗れて王座陥落 |
2019年10月 | セルゲイ・デレフヤンチェンコとの王座決定戦に勝利してIBFミドル級王者に返り咲き |
2020年12月 | IBF王座の初防衛に成功 |
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