ボクシング界にとって「記憶に残る11月」となった。その結果、パウンド・フォー・パウンド(PFP)のランキングも大きく変動が見られることになった。
ミドル級ではテレンス・クロフォードとショーン・ポーター、ライト級ではテオフィモ・ロペスとジョージ・カンボソスJr、スーパーバンタム級ではステファン・フルトンJrとブランドン・フィゲロアなど注目される選手たちの激闘が続いたたこの1カ月。それらの結果を受けて、階級を超えた最強の座を決めるランキングに影響を及ぼした。
『DAZN』の専門家たちは、これまで以上に長い時間をかけてトップ10を決める会談を行なった。特にいくつかの順位を決める議論は非常に難航した。最終的には、PFPランキングに大きな変化が起こることとなった。
結果を紹介する前に、DAZN選定PFPの選考方法をお示ししよう。
DAZN選定PFP選考方法
通算成績:勝敗数は重要。順位を上げるためには、勝利が必要となる。
対戦相手のレベル:レベルの低い相手に30戦全勝しても意味はない。最大のライバルやチャンピオンを下してこそ勝利の価値が大きくなる。
勝利した試合のクオリティ:格好良く勝つことも印象を高める要因。格上の対戦相手を乗り越えて、大きな勝利をもぎ取るというのも重要な要素だ。
活動量:ランキングに載った選手がしばらく試合を行わなかったからといって、すぐに選手としての価値が落ちるわけではない。一方で直近の大一番で勝利を挙げた選手からの突き上げを受けるリスクがある。
DAZN選定PFP最新ランキング
1. カネロ・アルバレス(変動なし)
アンディスピューテッド(比類なき)王者となった偉業に伴い、現在のカネロの順位は誰もが認めるところとなっている。168ポンド(スーパーミドル級)を完全制覇した今、2022年も他のファイターを抑えてPFP王者に居座れるかどうかは、対戦相手次第となるだろう。なお、次はどうやらクルーザー級への挑戦を狙っているようだ。
2. オレクサンドル・ウシク(変動なし)
元クルーザー級アンディスピューテッド王者のヘビー級挑戦に懐疑的な声があったのは、チャズ・ウィザスプーン戦やデレック・チゾラ戦のパフォーマンスに課題があったからだった。だが、3団体王者でかつてPFPにランクインしていたアンソニー・ジョシュアから王座を奪い、自身の力を見事なまでに証明することができた。
3. テレンス・クロフォード(↑1)
第2位を誰にするかについて、DAZN内で熱い議論が交わされた。クロフォードはポーター戦で実力を示したことでウシクを上回ったと主張する者もいたが、投票の結果わずかな差で3位までの上昇にとどまった。クロフォードとウシクが臨むビッグマッチが実現すれば、この議論はあまり重要ではなくなるかもしれない。それどころかアルバレスの1位の座まで賭けられることになるだろう。
4. 井上尚弥(↓1)
新たなコロナウィルス変異株の影響を受けて冬の活動が制限されてしまい、12月14日に予定されている"ザ・モンスター" vs アラン・ディパエンは開催が危ぶまれている。いずれにせよ井上が2022年に再びトップ3に返り咲くには、たとえばジョンリル・カシメロ戦や、ノニト・ドネアとの再戦など、それ相応のビッグマッチをこなす必要がありそうだ。
5. エロール・スペンスJr (変動なし)
もう一人のウェルター級王者は、8月にレジェンドのマニー・パッキャオに勝利してランキングを上げるつもりでいただろう。しかし、運命のいたずらに遭ってしまった。来年クロフォードとのビッグマッチに合意すれば、どちらか一人はトップへの道を突き進むことになる。もう一方は大きく順位を落とすだろう。
6. ジョシュ・テイラー(変動なし)
140ポンド(スーパーライト級)のアンディスピューテッド王者であるジャック・キャタロールとの指名試合は、2022年2月に延期された。トップ5に入る絶好のチャンスがあるとすれば、クロフォードとのドリームマッチしかないだろう。
7. タイソン・フューリー(↑1)
デオンテイ・ワイルダーとの第3戦までの過程は、必要以上に既視感があった。しかしスリリングな乱打戦となったこの試合は、20カ月のブランクを見事に埋める内容だった。ウシクvsジョシュアの第2戦勝者との統一戦に勝利すれば(もしくは直接ウシクと戦って勝利すれば)、2022年にはトップ3入りに向けて攻勢をかけられるかもしれない。しかし今の所は、ロペスの大下落に伴い順位を一つ上げただけにとどまっている。
8. ジョージ・カンボソスJr (新)
カンボソスJrは無敗行進を続けており強い印象を残してきたが、これまでビッグネームとの対戦がなかったため、トップ10入りは議論されてこなかった。しかし、テオフィモ・ロペスに勝利し、ライト級新統一王者にふさわしいことを証明。王座を失った男に代わって初めてのランクインを果たした。
9. ステファン・フルトンJr (新)
「クール・ボーイ・ステフ」にとっての2021年は、素晴らしい成果を残した最高の1年だった。1月にはアンジェロ・レオを倒してWBOスーパーバンタム級王者となり、初めてのタイトルを獲得。ロペスvsカンボソスと同日にWBC王者ブランドン・フィゲロアに勝利し、王座統一を果たした。
10. ガーボンタ・デービス(変動なし)
12月5日に行われたアイザック・クルスとの王座戦を判定で制した無敗の3階級王者だが、将来トップ5入りを目指すのであれば、いずれかの階級でもっと強い相手と戦う必要がありそうだ。
惜しくも選外となった選手たち
現在のボクシング界のトップ10はこのような様相になっているが、惜しくも選外となった選手や、今回トップ10から落ちてしまった選手の名前も挙げておきたい。
キャリア初めての敗戦を喫したテオフィモ・ロペスは今回選外となった。だがすぐに立ち直るだけの実力を持ったファイターだ。
テオフィモが王座を奪ったワシル・ロマチェンコも、夏に劇的な復活勝利を挙げたことでトップ10の座をこれまで維持してきた。もし12月に予定されているリチャード・カミー戦で昔の実力を見せることができ、2022年にタイトルを賭けたリマッチが行われれば、このウクライナ人の名前が再び議論に挙がることになるだろう。
"タンク"(ガーボンタ・デービスの愛称)の10位をギリギリのところまで脅かしたのがフアン・フランシスコ・エストラーダだ。控えめな選手だが、PFPの常連だったロマン"チョコラティート"ゴンサレスに勝利し王座統一を果たすなど、ここ数年素晴らしい活躍を見せている。このメキシコ人が現在協議中のリマッチに勝利することができれば、もはやランクインに異論の余地はない。
フルトンは無敗記録を続け2つのスーパーバンタム級ベルトを保持。残りの2つを持つのがムラドジャン・アフマダリエフだ。2022年にこの二人によるアンディスピューテッド王者決定戦が行なわれれば、勝者はPFPランクインに向けて大きな存在感を得ることができるだろう。
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