文・小倉茂徳(おぐら・しげのり)
モータースポーツジャーナリスト・解説者。鈴鹿サーキットと同じ1962年生まれ。1987-88年ホンダのF1チームの広報スタッフとしてF1を転戦。以後、現職に。子供向けにレーシングカーの仕組みと面白さを伝えながらSTEM教育への入り口となるレクチャーも行っている。2016年からは、スポーツのネット配信DAZNのF1解説を担当。
F1への最後のステップ
F1のヨーロッパと中東でのレースの際には、ほぼ大部分で同時開催として、F2とF3のレースが行われます。このF2とF3は、レーシングドライバーにとってF1に上がるための最後のステップで、F2はF1直前、F3はF1のふたつ下のクラスとなります。
F1に乗るためにはスーパーライセンスという資格が必要で、それを取得するのに最も近道となるのが、F2とF3で年間上位になることです。そこで世界中からF1を目指す優秀なドライバーたちが、このF2とF3に集まってくるのです。
しかもF2とF3はF1と同日開催ですから、多くのF1関係者の目前でレースをすることになります。そこで良い走りや戦いで自分をアピールすることはとても重要です。なので、とても激しい戦いとなり、観ている側にはとてもエキサイティングで楽しい展開となります。
F1に向けた実力勝負
F2とF3はそれぞれの専用車両で戦われます。そこではクラスごとに車体、エンジン、ギアボックス、タイヤなどが同一とされています。マシンが同一なら、勝敗のカギを握るのは、ドライバーの速さと技と戦略的な賢さが第一となります。同時にチームのマシンを仕立てる技術力も大事になりますが、ここはドライバーがどれだけチームを動かせるかという要素もやや関わってきます。
エリートたちの戦い
現在のF1では、多くのチームや参戦メーカーが独自に若手の選手の育成をしています。フェラーリ、レッドブル、ルノー、ホンダ、ハース、ウィリアムス、ザウバー(アルファロメオ)などです。それはサッカーのジュニアユースや野球のリトルリーグのように、少年時代のレーシングカートから始まります。F3とF2はこうしたステップの最終段階です。日本の野球でいえば甲子園か大学野球や社会人野球といったところでしょうか。F2とF3には幾度も関門を通過した選び抜かれた選手が多数集まっています。
今年のF1で見ると、大部分のF1ドライバーがF2とその前身のGP2や、F3とその前身のGP3の出身者です。現チャンピオンのルイス・ハミルトンも2006年のGP2王者でした。
人生が交錯するレース
F2やF3には、F1チームの育成枠から外されてしまったか、育成には入らなかったという選手もいて、良い走りと戦いとで、F1への未来を切り拓こうとする選手たちもいます。
たとえば、DAZNが配信を始めた2016年にはアントニオ・ジョヴィナッツィがイタリアのレース1でほぼ最後尾からスタートしながら大逆転の優勝をしました。これが決め手となり、フェラーリの育成枠に迎えられ、現在はアルファロメオのF1ドライバーです。
F2とF3は、F1への夢と未来に懸けるドライバーの人生が交錯する戦いでもあるのです。
日本人ドライバーたちへの期待
この激しい戦いのなか、今年のF2には松下信治、角田裕毅、佐藤万璃音の三人の日本人選手が参戦しています。松下は今季5シーズン目、角田と佐藤は初のF2フルシーズン参戦。それぞれが頂点を目指します。
またF2にはジュリアーノ・アレジという選手もいます。お父さんはフランスの元F1ドライバーで、お母さんは日本人ということもあり、日本とはとてもつながりの深い選手です。
一方、今季のF3は、角田、佐藤がF2に進級したため、日本人ドライバーはいなくなりました。エマーソン・フィッティパルディの実孫、ラルフ・シューマッハー、アレッサンドロ・ナニーニ、マイケル・ドゥーハンの愛息子など、元F1ドライバーや二輪のチャンピオンの血を引くサラブレッドがしのぎを削っています。
前年からの実力派も多い今季のF3ですが、イゴール・フラガという有望な新人選手もいます。このフラガは名前も国籍もブラジルなのですが、石川県生まれの日本育ちで日本語も得意。好きな食べ物も和食全般と答えるドライバーです。
こうした日本人選手や日本とゆかりの深い選手たちが、いつかまたF1のトップ3会見で日本語のコメントをしてくれるのを期待しながら、レースを観て、応援するのも良いと思います。
未来への希望、期待と夢がいっぱいな熱く激しいレース。これがF2とF3の魅力です。
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チーム・ドライバー
日程・番組表
レース | フリー走行・予選 | 決勝 | |
---|---|---|---|
第1戦 | オーストリアGP | 7月3日(金) ~ 4日(土) | 7月5日(日) |
第2戦 | シュタイアーマルクGP | 7月10日(金) ~11日(土) | 7月12日(日) |
第3戦 | ハンガリーGP | 7月17日(金) ~18日(土) | 7月19日(日) |
第4戦 | イギリスGP | 7月31日(金) ~ 8月1日(土) | 8月2日(日) |
第5戦 | 70周年記念GP | 8月7日(金) ~ 8日(土) | 8月9日(日) |
第6戦 | スペインGP | 8月14日(金) ~15日(土) | 8月16日(日) |
第7戦 | ベルギーGP | 8月28日(金) ~29日(土) | 8月30日(日) |
第8戦 | イタリアGP | 9月4日(金) ~ 5日(土) | 9月6日(日) |
第9戦 | トスカーナ・フェラーリ1000GP | 9月11日(金) ~12日(土) | 9月13日(日) |
第10戦 | ロシアGP | 9月25日(金) ~ 26日(土) | 9月27日(日) |
第11戦 | アイフェルGP | 10月9日(金) ~ 10日(土) | 10月11日(日) |
第12戦 | ポルトガルGP | 10月23日(金) ~24日(土) | 10月25日(日) |
第13戦 | エミリア・ロマーニャGP | 10月31日(土) | 11月1日(日) |
第14戦 | トルコGP | 11月13日(金) ~ 14日(土) | 11月15日(日) |
第15戦 | バーレーンGP | 11月27日(金) ~ 28日(土) | 11月29日(日) |
第16戦 | サクヒールGP | 12月4日(金) ~5日(土) | 12月6日(日) |
第17戦 | アブダビGP | 12月11日(金) ~ 12日(土) | 12月13日(日) |