歴史
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かつてレッドブルはザウバー、アロウズのスポンサーとしてF1とかかわり、2005年よりプライベーターチームとしてF1フル参戦を果たした。
2000~2004年まで5シーズン戦ったジャガー・レーシングを買収したことによりレッドブルのF1参戦は実現した。さらにルーツを辿ると、ジャガーの前身は1997年~1999年の3季、F1に挑戦した、元F1王者ジャッキー・スチュワートのプライベーターチーム、スチュワート・グランプリとなる。
2005年、初年度のレッドブルは前年までマクラーレンに在籍していたデヴィッド・クルサードをエースドライバーとして招き、第1戦~第3戦までいきなり3レース連続で入賞を果たすなど、参戦初年度から存在感を発揮。結局1年目は34ポイントを獲得し、コンストラクターズランキングを7位で終えている。
2006年にはミナルディを買収し、レッドブルのイタリア語読みとなるスクーデリア・トロ・ロッソという兄弟チームが誕生。レッドブルはレーシングチームの育成プログラムにも力を注ぎ、トロ・ロッソに若手を登用し、実力が認められたらレッドブルチームのドライバーに昇格する、という手法を用いた。
コンストラクターズでは2006年7位、2007年5位、2008年7位と表彰台に上がりながらも中堅チームの一角に留まっていたレッドブル。だが2009年から勢力図が一気に変わる。トロ・ロッソから期待の若手セバスチャン・ベッテルが加わったこのシーズン、開幕3戦目の中国グランプリでベッテルがレッドブルに初優勝をもたらした。
このシーズンはフェラーリ、マクラーレンといった強豪チームがこぞって低迷し、プライベーターとして初参戦のブラウンGPが初年度でダブルタイトルを獲得した年としても知られている。レッドブルはベッテル4勝、マーク・ウェバーが2勝を収め、コンストラクターズ2位と躍進のシーズンとなった。
2010年から4連覇を達成
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2010年はマクラーレンのルイス・ハミルトンとジェンソン・バトン、フェラーリのフェルナンド・アロンソ、そしてレッドブルのベッテルとウェバーによる5人のタイトル争いに。最終戦アブダビGPを前にした段階で、バトンを除く4人にドライバーズチャンピオンの可能性が残るという白熱した展開となったが、最終戦を制したベッテルがアロンソを逆転し、初のワールドチャンピオンに輝いた。ハミルトンが保持していた最年少王者記録23歳300日を23歳134日に更新しての戴冠だった。
2011年以降もレッドブルの強さは変わらず、ベッテル&ウェバー体制で2013年までドライバーズ&コンストラクターズのダブルタイトルを4連覇。
2013年をもってウェバーが去り、2014年からベッテル&ダニエル・リカルドのラインナップとなるも、2014年のシーズンは序盤から強さを見せたメルセデスがポイントをリード。レッドブルは追いかける展開になるが年間順位でリカルド3位、ベッテル5位に終わり、コンストラクターズでも2位でシーズンを終えることに。このシーズン限りでベッテルはレッドブルを去り、フェラーリへと新天地を求めた。
タイトルから遠ざかるも3強の一角として奮闘
レッドブルは2015年、2008年以来の未勝利と不振に終わる。迎えた2016年は第3戦中国GP、第4戦ロシアGPとダニール・クビアトが接触事故を誘発したとして批判の的に。第5戦スペインGPを前に、クビアトはトロ・ロッソに降格。トレードのような形でマックス・フェルスタッペンがレッドブルのシートに収まることとなった。だが直後のスペインGPでフェルスタッペンは予選4位からスタートし、トップに躍り出てそのまま1位でフィニッシュ。レッドブルのデビュー戦で、18歳227日というF1史上最年少優勝記録を打ち立てた。
以降、現在に至るまでレッドブルはメルセデス、フェラーリとともに三つ巴で優勝を争う展開が続いた。また、2019年からは2007年から搭載していたパワーユニットのルノーに別れを告げ、ホンダと契約したことでも大きく注目を集めた。
ホンダにとっては2015年以降のF1参戦は“第4期”と呼ばれているが、マクラーレンにパワーユニットを供給するも苦戦が続く。2018年、トロ・ロッソへエンジンを単独供給した後、2019年からはレッドブル&トロ・ロッソがそろってホンダエンジンを積むことに。
2019年からホンダのパワーユニットに
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2019年、ホンダのパワーユニットに変わったレッドブルだったが、開幕戦オーストラリアGPでフェルスタッペンがいきなり3位入賞を果たし、ルノーエンジンの昨季に見劣りしない存在感を見せつける。そして迎えた第9戦のオーストリアGPでは、フェルスタッペンが2019年初勝利。この優勝は、ホンダにとって2006年のハンガリーGP以来15年ぶり、そして第4期での初優勝となった。
トロ・ロッソから昇格したピエール・ガスリーが精細を欠いていたこともあり、チームはハンガリーGP終了後にトロ・ロッソのアレクサンダー・アルボンとシートをスイッチしている。
終盤戦のブラジルGPではフェルスタッペンがシーズン3勝目を挙げ、2位にトロ・ロッソにのガスリーが入ったことから、このレースではホンダエンジンによる、異なるチームでのワンツー・フィニッシュとなった。フェルスタッペンは2019年シーズン3勝をマークし、ドライバーズランキング3位と大きく躍進した。
競争力を高めるも2020年はメルセデスに及ばず
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そして2020年はレッドブルのマシンはプレシーズンから速さを見せていたこともあり、コンストラクターズタイトル奪還を期待する声も多かった。
だが新型コロナウイルスの影響により開幕が7月にずれ込み、いざフタを開けるとメルセデスのアドバンテージが目立つ状況に。フェルスタッペンはシーズンを通してルイス・ハミルトン、バルテリ・ボッタスと三つ巴の戦いを続けたが、結果としてシーズン2勝に留まった。
そして2021シーズンは前年にレーシング・ポイントで初勝利を経験し、契約満了により離脱したセルジオ・ペレスと新契約を締結。セカンドドライバーのアルボンはリザーブ&テストドライバー降格となった。新たなシーズンはフェルスタッペン&ペレスの実力派コンビで打倒メルセデスを目指すこととなった。
また、2020年10月2日には2021シーズンをもってホンダがF1活動を終了すると公表済み。2021年2月15日には、2022年よりF1のパワーユニットが3年間開発凍結されることに伴い、ホンダのパワーユニットがレッドブルへと引き継がれ、レッドブルの自社製パワーユニットとして継続使用される見通しとなった。ホンダF1活動終了のシーズンということもあり、レッドブルはタイトル奪還を照準に2021年シーズンへと挑むことになった。
2021年は8年ぶりのドライバーズタイトル獲得
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迎えた2021年は開幕前からメルセデスとレッドブルの2強になるとの見方が強く、開幕から5戦までルイス・ハミルトンが3勝、マックス・フェルスタッペンが2勝と一騎打ちの様相を呈した。
新加入のセルジオ・ペレスは新たなマシンRB16Bに順応するまで時間を要した一方で、第6戦アゼルバイジャンGPではフェルスタッペンのタイヤバースト、ハミルトンの再スタートオーバーランなどもあり、トップに浮上するとそのままチェッカーを受け、レッドブル加入6戦目でキャリア2勝目となるポディウム頂点を経験した。
このシーズン、フェルスタッペンとハミルトンのデットヒートはし烈を極め、イタリアGPでは1コーナーのシケインで接触により両者リタイアという場面もあった。それでもフェルスタッペンはトラブルに見舞われたレース以外はすべて1位か2位で終える安定感と強さを示し、第18戦メキシコGP終了時点で、ドライバーズポイントではハミルトンに19点差離し、初戴冠に大きく近づいた。
だがそこからハミルトンはサンパウロGP、カタールGP、サウジアラビアGPと3連勝をマークし、両者369.5ポイントで最終戦アブダビGPを迎える。ここではポールスタートのフェルスタッペンがターン1でハミルトンに抜かれ、そのままライバルのハミルトンがラップリーダーとして周回を重ねる。
20~21周目にはソフトタイヤの第1スティントでロングランしていたペレスが、ハミルトンと激しいバトルを展開し、2番手ハミルトンと3番手フェルスタッペンの差は、8秒から1.5秒まで狭まった。ハミルトンを抑え続けたペレスについてフェルスタッペンはチーム無線で「チェコはレジェンドだよ」と賛辞を贈っている。ベテランとなったメキシコ人ドライバーの手腕が、まさに大きく生きた戦いとなった。
その後ハミルトンはラップリーダーとして周回を重ね、追うフェルスタッペンとしては完全に手詰まりの状況となった。だが終盤の53周目にニコラス・ラティフィがクラッシュし、セーフティーカーが入ると状況が一変する。
ハミルトンはトラックポジションを失うおそれがあることからそのままステイアウト。一方でフェルスタッペンは迷わずソフトタイヤにスイッチし、2番手でトラックに戻る。そして最終58周目の1周を残してレース再開となり、フェルスタッペンはターン5でハミルトンをオーバーテイク。そのまま逆転でフェルスタッペンがアブダビGPを制し、同シーズン10勝目をマークして初のドライバーズタイトルを手にした。
レッドブルとしては2013年以来となるドライバーズタイトル獲得。そしてホンダのパワーユニットとしては第2期となるマクラーレン・ホンダ時代、アイルトン・セナの1991年戴冠以来、30年ぶりの年間王者輩出となった。
2022年は2013年以来となるダブルタイトルを奪還
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大きく車両規定の変わった2022年、初戦のバーレーンGPでレッドブル勢はそろってマシントラブルとなり、ノーポイントで初戦を終えた。一方でフェラーリが1-2フィニッシュを果たしたことから、同シーズンはフェラーリの躍進を思わせる展開に。
レッドブルvsフェラーリの対立構造が際立った同シーズンは予選でフェラーリが明確な速さを示し、決勝では安定したレースペースを見せるレッドブルが巻き返すという展開が目立った。第4戦エミリア・ロマーニャGPからはレッドブル勢が6連勝を飾るなど、中盤戦にかけてのRB18が見せた巻き返しぶり、強さは圧巻なものだったと言える。
終盤にはメルセデスが盛り返したこともあり、レッドブルvsフェラーリvsメルセデスと3強の構図となる。それでもレッドブルはポイントで大きく先行していたこともあり、2022年のタイトルレースでは主役を演じ続けた。フェルスタッペンは15勝という年間単独最多勝をマークして2連覇を達成。そしてペレスは2勝ながら、モナコGP、シンガポールGPと市街地コースで結果を示した。ペレスは総合3位に終わり、ドライバーズ1-2こそ逃す結果となったが、レッドブル時代の突入を予感させるほどの圧倒的な強さを示した一年となった。
22戦21勝…2023年は完璧な独走状態で歴史的なシーズンに
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2023年に入り、同年のRB19は前年以上にライバルとの差が開く。
開幕戦からレッドブルとして連勝を続け、4戦終了時点でフェルスタッペン2勝、ペレス2勝となり、2023年もレッドブルがチャンピオンシップで独走状態に。だがここからフェルスタッペンが連戦連勝。予選でポールポジションからスタートしたときはもちろんのこと、後方のグリッドからスタートしても、決勝の後半にはきっちり優勝争いまで絡んでくる盤石のレース運びを見せる。
結局第5戦からの残り18戦で落としたのは、コース特性がRB19と相性の良くなかったシンガポールGPのみ。それ以外の全レースで、フェルスタッペンがポディウムの真ん中に立つという歴史的なシーズンとなった。レッドブルとしては22戦21勝をマークし、勝率は驚異の95.4%に達する。これは16戦15勝だった1988年のマクラーレン・ホンダ、勝率93.7%を超える数字となった。
チームとして開幕から14連勝、フェルスタッペンは第5戦から個人10連勝を飾り、こちらも前人未到の連勝記録となっている。
フェルスタッペンは22戦中19勝を記録して表彰台を逃したのは5位のシンガポールGPのみという内容。一方のペレスは序盤4戦終了時点にマークした2勝のままシーズン終了となったが、チャンピオンシップでは2位に入り、レッドブルの総合1-2に貢献した。
2024年は前年とのレギュレーション変更がそれほどないため、レッドブルの強さは継続になるとの声も多い。ここからレッドブルは黄金時代を築くことができるのか、新シーズンもトップの地力を有しているのかどうか要注目となる。
ドライバー
マックス・フェルスタッペン
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1997年9月30日生まれ|オランダ国籍(出生地はベルギー)|トロ・ロッソ(2015~2016)、レッドブル(2016~)
通算成績(2024年開幕時点)
- 出走/185回
- 優勝/54回
- PP/32回
- FL/30回
- ドライバーズタイトル/3回(2021年、2022年、2023年)
2023年の成績
- 年間:575ポイント/1位
- 優勝/19回
- PP/12回
- FL/9回
レース名 | 決勝順位 |
---|---|
第1戦バーレーンGP | 優勝 |
第2戦サウジアラビアGP | 2位 |
第3戦オーストラリアGP | 優勝 |
第4戦アゼルバイジャンGP | 2位 |
第5戦マイアミGP | 優勝 |
第6戦エミリア・ロマーニャGP【中止】 | |
第7戦モナコGP | 優勝 |
第8戦スペインGP | 優勝 |
第9戦カナダGP | 優勝 |
第10戦オーストリアGP | 優勝 |
第11戦イギリスGP | 優勝 |
第12戦ハンガリーGP | 優勝 |
第13戦ベルギーGP | 優勝 |
第14戦オランダGP | 優勝 |
第15戦イタリアGP | 優勝 |
第16戦シンガポールGP | 5位 |
第17戦日本GP | 優勝 |
第18戦カタールGP | 優勝 |
第19戦アメリカGP | 優勝 |
第20戦メキシコGP | 優勝 |
第21戦サンパウロGP | 優勝 |
第22戦ラスベガスGP | 優勝 |
第23戦アブダビGP | 優勝 |
セルジオ・ペレス
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1990年1月26日生まれ|メキシコ国籍|ザウバー(2011~12)、マクラーレン(2013)、フォース・インディア(2014~2018)、レーシング・ポイント(2018~2020)、レッドブル(2021~)
通算成績(2024年開幕時点)
- 出走/261回
- 優勝/6回
- PP/3回
- FL/11回
2023年の成績
年間:285ポイント/2位
優勝/2回
PP/2回
FL/2回
レース名 | 決勝順位 |
---|---|
第1戦バーレーンGP | 2位 |
第2戦サウジアラビアGP | 優勝 |
第3戦オーストラリアGP | 5位 |
第4戦アゼルバイジャンGP | 優勝 |
第5戦マイアミGP | 2位 |
第6戦エミリア・ロマーニャGP【中止】 | |
第7戦モナコGP | 16位 |
第8戦スペインGP | 4位 |
第9戦カナダGP | 6位 |
第10戦オーストリアGP | 3位 |
第11戦イギリスGP | 6位 |
第12戦ハンガリーGP | 3位 |
第13戦ベルギーGP | 2位 |
第14戦オランダGP | 4位 |
第15戦イタリアGP | 2位 |
第16戦シンガポールGP | 8位 |
第17戦日本GP | Ret. |
第18戦カタールGP | 10位 |
第19戦アメリカGP | 4位 |
第20戦メキシコGP | Ret. |
第21戦サンパウロGP | 4位 |
第22戦ラスベガスGP | 3位 |
第23戦アブダビGP | 4位 |
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チーム・ドライバー
日程・番組表
レース | フリー走行・予選 | 決勝 | |
---|---|---|---|
第1戦 | バーレーンGP | 2月29日(木) ~3月1日(金) | 3月2日(土) |
第2戦 | サウジアラビアGP | 3月7日(木) ~8日(金) | 3月9日(土) |
第3戦 | オーストラリアGP | 3月22日(金) ~ 3月23日(土) | 3月24日(日) |
第4戦 | 日本GP | 4月5日(金) ~ 6日(土) | 4月7日(日) |
第5戦 | 中国GP | 4月19日(金) ~ 20日(土) | 4月21日(日) |
第6戦 | マイアミGP | 5月3日(金) ~ 4日(土) | 5月5日(日) |
第7戦 | エミリア・ロマーニャGP | 5月17日(金) ~ 18日(土) | 5月19日(日) |
第8戦 | モナコGP | 5月24日(金) ~ 25日(土) | 5月26日(日) |
第9戦 | カナダGP | 6月7日(金) ~ 8日(土) | 6月9日(日) |
第10戦 | スペインGP | 6月21日(金) ~ 22日(土) | 6月23日(日) |
第11戦 | オーストリアGP | 6月28日(金) ~ 29日(土) | 6月30日(日) |
第12戦 | イギリスGP | 7月5日(金) ~ 6日(土) | 7月7日(日) |
第13戦 | ハンガリーGP | 7月19日(金) ~ 20日(土) | 7月21日(日) |
第14戦 | ベルギーGP | 7月26日(金) ~ 27日(土) | 7月28日(日) |
第15戦 | オランダGP | 8月23日(金) ~ 24日(土) | 8月25日(日) |
第16戦 | イタリアGP | 8月30日(金) ~ 31日(土) | 9月1日(日) |
第17戦 | アゼルバイジャンGP | 9月13日(金) ~ 14日(土) | 9月15日(日) |
第18戦 | シンガポールGP | 9月20日(金) ~ 21日(土) | 9月22日(日) |
第19戦 | アメリカGP | 10月18日(金) ~ 19日(土) | 10月20日(日) |
第20戦 | メキシコGP | 10月25日(金) ~ 26日(土) | 10月27日(日) |
第21戦 | サンパウロGP | 11月1日(金) ~ 2日(土) | 11月3日(日) |
第22戦 | ラスベガスGP | 11月21日(木) ~ 22日(金) | 11月23日(土) |
第23戦 | カタールGP | 11月29日(金) ~ 30日(土) | 12月1日(日) |
第24戦 | アブダビGP | 12月6日(金) ~ 7日(土) | 12月8日(日) |