歴史
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ハースF1チームのオーナーである実業家、ジーン・ハースは、アメリカのレースカテゴリー「NASCAR」でもチームの共同オーナーとして活動している。
チーム代表を務めるギュンター・シュタイナーが、モータースポーツをよく知るジーン・ハースにF1参入を提案したことで、このアメリカ籍チームは誕生した。F1には2016年からフル参戦を果たしている。
アメリカに籍を置くF1コンストラクターは、1977年にF1を離れたペンスキーや、1980年に撤退したシャドウ・カーズ以来であり、ヨーロッパを中心に世界を転戦するF1においては、少々異色のチームとも言える。
2020年はグロージャンが大事故に遭う
参戦2年目からコンビを組むロマン・グロージャンとケビン・マグヌッセンのラインナップで4シーズン目を迎えたハースF1チーム。
新型コロナウイルスにより7月上旬に開幕がずれ込むという未曾有のシーズンになった2020年だったが、ハースはテールエンダーの位置をウィリアムズと競う状況に。予選でもQ1からQ2へとなかなか進出できず。
決勝でも中位争いに加わることさえ厳しく、マグヌッセンは第3戦ハンガリーGPの10位、グロージャンは第11戦アイフェルGPの9位フィニッシュがそれぞれこのシーズン唯一の入賞となった。
だがハースにおいてこのシーズン最大のハイライトとなったのは、第15戦バーレーンGP決勝のアクシデントだったと言えるだろう。
オープニングラップのターン3からターン4の間、グロージャンは右へとラインを変えた際にダニール・クビアトのマシンに接触。そのままの勢いでコース右にあるガードフェンスを突き抜け、炎上する大事故が発生。
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車体が前後真っ二つになる中、グロージャンは炎に包まれたコクピットからなんとか脱出。自力で歩行できる状況ながら救急車で病院へと緊急搬送された。レースはすぐさま赤旗中断となり、フェンスの復旧により1時間近い中断となった。
グロージャンは手や足に火傷を負ったうえに、衝突時に激しいGを経験したことから、ドクターストップがかかり、残りグランプリでの参戦はかなわず、チームから離脱することになった。
第16戦サクヒールGP、第17戦アブダビGPは元王者エマーソン・フィッティパルディの孫であるピエトロ・フィッティパルディがハースから出走することとなり、17位、19位で完走を果たしている。
それでもシーズンを通してハースは入賞2回による合計3ポイント。コンストラクターズは総合9位となり、獲得ポイント数という面でも、ハース創設以来最も不振の1年に終わった。
2021シーズンはルーキーの2人が大苦戦
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2020年10月下旬には、同シーズン限りでグロージャン、マグヌッセンがそろって離脱することが公表された。そして12月1日にニキータ・マゼピンが2021年のシートに収まることを公表。その翌日にはミック・シューマッハがハースの新レギュラードライバーになることが明かされた。
2020年F2での王者と5位のコンビとなったハースだったが、2021年シーズンは序盤から大苦戦。ハースのマシンは開発面で現シーズンではなく、レギュレーションの変わる2022年に向けて注力する以降を表明。ルーキーの2人にとっては実戦経験を積む場となったが、ほとんどのレースでテールエンダー走る状況に。
そんな中でもミック・シューマッハは時折予選Q2に進出するなど、父ミハエル譲りの才能を示す。一方でマゼピンはほとんどのレースで同条件の僚友シューマッハに遅れを取る展開が目立ち、両者の予選平均タイム差は0.915秒差に及んだ。
結局ハースはシーズンを通じてノーポイントに終わり、2021年はコンストラクターズ10チーム中最下位という結果に。
2022年は中団争いを演じ、マグヌッセンが初PPを奪取
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2022年もシューマッハ&マゼピンのドライバーセットで挑むはずだったが、ロシアのウクライナ軍事侵攻に伴い、ハースはウラルカリ社とのスポンサーシップ即時終了、及びマゼピンとの契約解除を発表した。そして同年3月9日にはマグヌッセンが2020年以来、2季ぶりにレギュラーシートに収まることが公表された。デンマーク人ドライバーは複数年契約を結んでいることも明かされている。
ハースは結局2022年、ケビン・マグヌッセンとミック・シューマッハのセットで挑むことに。前年はテールエンダーとして戦いつつも、翌年に向けての開発に尽力したこともあり、2022年は開幕早々から中団争いで戦えるほどの力を有していると証明した。
開幕戦バーレーンGPでは、2年ぶり復帰のマグヌッセンがいきなり予選7番グリッドを獲得し、決勝では5位フィニッシュを果たす。デンマーク人ドライバーはベテランならではの堅実さと安定感を見せた一方で、2年目のミックはマグヌッセンにかなわない構図が際立ってくる。若さと粗さが目立つミックは、不用意な形でマシンを壊してしまうこともしばしば。モナコGPではマシンが真っ二つになる大クラッシュ。そして日本GPではアタックラップではなく、ピットに戻る途中の周回でマシンを壊してしまう。結果としてこれらの積み重ねがハースの財政事情を大きく圧迫する要因ともなってしまった。
マグヌッセンは路面状況の変化を利して、サンパウロGPでキャリア初(ハースとしてもチーム初)のポールポジションを獲得するなど存在感を示したレースも。6度の入賞で25ポイントを手にした一方、ミックはシーズン中盤のイギリスGPとオーストリアGPで2戦連続入賞を果たすも、結果的に同年のポイント獲得はこの2戦のみで12ポイントという結果だった。
2023年はコンストラクターズ最下位…2024年からは小松礼雄氏が新代表に
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2023年、ハースはミック・シューマッハとの契約を延長せず、新たにベテランのニコ・ヒュルケンベルグを迎え入れることになった。2021年にハースはミック&マゼピンと若手主体のドライバーセットとなったものの、それから2年で堅実なベテランセットへと方針転換することに。
マシンを壊さないベテランの安定感に期待を寄せた形になった2023年のハース。コース特性がマシン特性に合致するサーキットでは時折予選Q3に進出するなど、マシンに一発の速さを感じさせる。だが決勝ではレースペース不足やタイヤのデグラデーションの大きさが目立ち、レースで一気に失速するパターンが続いた。
シーズン中に度々アップデートを入れるも大幅改善とはいかず、結局シーズン通じて13ポイントしか奪取できずにコンストラクターズ最下位でシーズンを終えることになった。
そして2024年1月10日、ギュンター・シュタイナー代表が即時退任となり、幹部の小松礼雄氏が新たに昇格で代表になると正式発表した。
2024年もマグヌッセン&ヒュルケンベルグのベテランセットでシーズンインとなる。小松新代表は下位のハースを復活へと導くことができるのかが要注目ポイントと言えそうだ。
ドライバー
ケビン・マグヌッセン
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1992年10月5日生まれ|デンマーク国籍|マクラーレン(2014~2015)、ルノー(2016)、ハース(2017~2020、2022~)
通算成績(2024年開幕時点)
- 出走/164回
- 優勝/0回
- PP/1回
- FL/2回
2023年の成績
- 年間:3ポイント/19位
- 優勝/0回
- PP/0回
- FL/0回
レース名 | 決勝順位 |
---|---|
第1戦バーレーンGP | 13位 |
第2戦サウジアラビアGP | 10位 |
第3戦オーストラリアGP | 17位 |
第4戦アゼルバイジャンGP | 13位 |
第5戦マイアミGP | 10位 |
第6戦エミリア・ロマーニャGP【中止】 | |
第7戦モナコGP | 19位 |
第8戦スペインGP | 18位 |
第9戦カナダGP | 17位 |
第10戦オーストリアGP | 17位 |
第11戦イギリスGP | Ret. |
第12戦ハンガリーGP | 17位 |
第13戦ベルギーGP | 15位 |
第14戦オランダGP | 16位 |
第15戦イタリアGP | 18位 |
第16戦シンガポールGP | 10位 |
第17戦日本GP | 15位 |
第18戦カタールGP | 14位 |
第19戦アメリカGP | 14位 |
第20戦メキシコGP | Ret. |
第21戦サンパウロGP | Ret. |
第22戦ラスベガスGP | 13位 |
第23戦アブダビGP | 20位 |
ニコ・ヒュルケンベルグ
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1987年8月19日生まれ|ドイツ国籍|ウィリアムズ(2010)、フォース・インディア(2011~2012)、ザウバー(2013)、フォース・インディア(2014~2016)、ルノー(2017~2019)、レーシング・ポイント(2020)、アストンマーティン(2022)、ハース(2023)
通算成績(2024年開幕時点)
- 出走/206回
- 優勝/0回
- PP/1回
- FL/2回
2023年の成績
- 年間:9ポイント16位
- 優勝/0回
- PP/0回
- FL/0回
レース名 | 決勝順位 |
---|---|
第1戦バーレーンGP | 15位 |
第2戦サウジアラビアGP | 13位 |
第3戦オーストラリアGP | 7位 |
第4戦アゼルバイジャンGP | 17位 |
第5戦マイアミGP | 15位 |
第6戦エミリア・ロマーニャGP【中止】 | |
第7戦モナコGP | 17位 |
第8戦スペインGP | 15位 |
第9戦カナダGP | 15位 |
第10戦オーストリアGP | Ret. |
第11戦イギリスGP | 13位 |
第12戦ハンガリーGP | 14位 |
第13戦ベルギーGP | 18位 |
第14戦オランダGP | 12位 |
第15戦イタリアGP | 17位 |
第16戦シンガポールGP | 13位 |
第17戦日本GP | 14位 |
第18戦カタールGP | 16位 |
第19戦アメリカGP | 11位 |
第20戦メキシコGP | 13位 |
第21戦サンパウロGP | 12位 |
第22戦ラスベガスGP | 19位 |
第23戦アブダビGP | 15位 |
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チーム・ドライバー
日程・番組表
レース | フリー走行・予選 | 決勝 | |
---|---|---|---|
第1戦 | バーレーンGP | 2月29日(木) ~3月1日(金) | 3月2日(土) |
第2戦 | サウジアラビアGP | 3月7日(木) ~8日(金) | 3月9日(土) |
第3戦 | オーストラリアGP | 3月22日(金) ~ 3月23日(土) | 3月24日(日) |
第4戦 | 日本GP | 4月5日(金) ~ 6日(土) | 4月7日(日) |
第5戦 | 中国GP | 4月19日(金) ~ 20日(土) | 4月21日(日) |
第6戦 | マイアミGP | 5月3日(金) ~ 4日(土) | 5月5日(日) |
第7戦 | エミリア・ロマーニャGP | 5月17日(金) ~ 18日(土) | 5月19日(日) |
第8戦 | モナコGP | 5月24日(金) ~ 25日(土) | 5月26日(日) |
第9戦 | カナダGP | 6月7日(金) ~ 8日(土) | 6月9日(日) |
第10戦 | スペインGP | 6月21日(金) ~ 22日(土) | 6月23日(日) |
第11戦 | オーストリアGP | 6月28日(金) ~ 29日(土) | 6月30日(日) |
第12戦 | イギリスGP | 7月5日(金) ~ 6日(土) | 7月7日(日) |
第13戦 | ハンガリーGP | 7月19日(金) ~ 20日(土) | 7月21日(日) |
第14戦 | ベルギーGP | 7月26日(金) ~ 27日(土) | 7月28日(日) |
第15戦 | オランダGP | 8月23日(金) ~ 24日(土) | 8月25日(日) |
第16戦 | イタリアGP | 8月30日(金) ~ 31日(土) | 9月1日(日) |
第17戦 | アゼルバイジャンGP | 9月13日(金) ~ 14日(土) | 9月15日(日) |
第18戦 | シンガポールGP | 9月20日(金) ~ 21日(土) | 9月22日(日) |
第19戦 | アメリカGP | 10月18日(金) ~ 19日(土) | 10月20日(日) |
第20戦 | メキシコGP | 10月25日(金) ~ 26日(土) | 10月27日(日) |
第21戦 | サンパウロGP | 11月1日(金) ~ 2日(土) | 11月3日(日) |
第22戦 | ラスベガスGP | 11月21日(木) ~ 22日(金) | 11月23日(土) |
第23戦 | カタールGP | 11月29日(金) ~ 30日(土) | 12月1日(日) |
第24戦 | アブダビGP | 12月6日(金) ~ 7日(土) | 12月8日(日) |