経歴
若くしてトロ・ロッソにF1初勝利をもたらす
1987年生まれ、ドイツ出身のセバスチャン・ベッテルはフォーミュラ・BMW、F3ユーロシリーズなどを戦いながらウイリアムズのテストドライバーを務め、2006年はレッドブルの契約ドライバーという立場ながら、貸し出される形でBMWザウバーのリザーブドライバーに。
翌2007年、ロバート・クビサが第6戦カナダGPでクラッシュしたことに伴い、ベッテルは代役として次戦のアメリカGPでF1デビューすることになった。ベッテルは初戦でいきなり8位フィニッシュを果たし、19歳349日で最年少入賞記録(当時)を樹立している。
第8戦からはクビサが復帰したため、ベッテルは再びリザーブに。だがアメリカGPでの活躍が評価され、第11戦ハンガリーGPよりトロ・ロッソからレギュラードライバーとして出走することになった。戦力的に見劣りするトロ・ロッソのマシンを駆りながらも、中国GPでは4位フィニッシュするなどF1参戦初年度から存在感を示している。
翌2008年もトロ・ロッソから参戦し、モナコGP、ベルギーGPで5位入賞を果たすなど、上位勢を脅かした。そして迎えたイタリアGPでは大雨となった予選でキャリア初のポールポジションを獲得すると、同じく雨天の決勝ではそのままポールトゥウィンを果たし、参戦3年目のトロ・ロッソにF1初勝利をもたらした。親チームとも言えるレッドブルよりもトロ・ロッソが先にF1で優勝するという事態に。
また、ベッテルはこのレースで21歳72日でのF1史上最年少ポールポジション(当時)、21歳73日で史上最年少優勝(当時)という歴史的な初優勝でもあった。このシーズン、ベッテルは35ポイントを奪取し8位で終えている。
レッドブルでは4季連続王者に
Getty Images
2009年からレッドブルに昇格となると、この年はフェラーリ、マクラーレン、BMWザウバー、ルノーなどが苦しむ中、ホンダを買収して生まれた新興チーム、ブラウンGPと一騎打ちの様相に。ベッテルはこのシーズン、4勝をマークして追い上げを見せたが、開幕から7戦で6勝したジェンソン・バトンに及ばず、ドライバーズポイント2位でシーズンを終えた。
翌2010年からはレッドブルのマシンRB6のポテンシャルの高さも相まって5勝をマークし、フェルナンド・アロンソとのポイント争いを僅差で制して初のドライバーズチャンピオンに。ハミルトンの持っていた最年少年間王者の記録23歳300日を、23歳134日に塗り替えた。
ベッテルとレッドブルは2011年からも強さを見せ、2011~2013年にかけてドライバーズタイトル、コンストラクターズタイトルも制し、この間に4季連続ダブルタイトルを手にしている。
5連覇の懸かる2014年はパワーユニットの規定が変わったことによりルノーエンジンの競争力を昨季より落としたため、ベッテルは1勝もマークすることができず。3勝をした年下の同僚ダニエル・リカルドにも差を付けられ、ドライバーズランキング5位でシーズンを終えた。そして2014年限りでレッドブルを去り、翌2015年から名門フェラーリへと活躍の場を求めることとなった。
フェラーリでは在籍6季で退団
2015年からフェラーリで出走するも、ライバルチームのメルセデスが圧倒的な力を見せていることもあり、年間王者には手の届かない展開が続いた。
初年度の2015年は3勝をマークするも年間3位。翌2016年はニコ・ロズベルグvsハミルトンのマッチレースとなり、メルセデスが21戦中19勝をマークするという展開に。ベッテルは年間4位となったものの、未勝利に終わっている。
2017年、2018年とベッテルは2年連続でドライバーズポイント2位となるが、ハミルトンの牙城を崩すことができずにいた。すると2019年はフェラーリのラインナップはベッテル、シャルル・ルクレールという体制になり、同僚ルクレールがフェラーリ1年目から非凡な才能を見せる。ベッテルがなかなか優勝に届かない中、ルクレールはポイント争いでベッテルを先行。中盤戦ではベルギーGP、イタリアGPと連勝をマークし、第13戦ベルギーGP~第16戦ロシアGPまで、4戦連続でPPを獲得するなど、予選時から一発勝負での速さを見せつけていた。
ベッテルは第15戦シンガポールGPでようやく2019年の初勝利をマークする。だが迎えた第20戦ブラジルGPでは66周目のバックストレートでベッテルが同僚ルクレールを追い抜こうとして接触。ルクレールはマシンの右フロントが大破し、ベッテルは左リヤのタイヤバーストにより、まさかの同士討ちでダブルリタイアとなった(レースの90%以上を走行していたため完走扱いとなった)。
結局2019年はシーズン2勝のルクレールが4位、1勝のベッテルは5位でシーズンを終えることに。レッドブル時代に過去4度王者となったベッテルだったが、2019年はフェラーリ1年目の後輩ルクレールに成績及び内容で水を開けられる形となった。また、チームの戦略ミスやブラジルGPでの“同士討ち”もあり、ベッテルとルクレールの間には一時的に確執のうわさも浮上した(※後に2020年のアブダビGPにおいて、ルクレールはベッテルのヘルメットをオマージュしたデザインのものを使用。お互いをリスペクトし合い、良好な関係であることを示した)。
そして迎えた2020年は開幕戦オーストラリアGP直前になり、新型コロナウイルスの感染拡大が深刻化したことからレースのキャンセルが決定。その後、開幕戦が7月上旬のオーストリアGPとなることが発表された。この間の5月12日、フェラーリはベッテルとの契約延長交渉が折り合わず、2020年をもってベッテルがチームを去ることを公表。その2日後、フェラーリはマクラーレンのカルロス・サインツを来季から加えることを明らかにしている。そしてマクラーレンはルノーのリカルドが加入することを発表した。
そして7月よりシーズンインとなるも、フェラーリ最終シーズンとなった2020年のベッテルはなかなか上位争いに加わることができず、結果的に未勝利。表彰台はトルコGPの1度のみで年間13位という不振の内容に終わった。
去就が注目されていたベッテルだったが、2021年より、レーシング・ポイントよりアストンマーティンに名称の変わる新チームのシートを獲得したと、2020年9月10日に発表された。4度の元王者ベッテルは契約満了に伴いフェラーリを去り、セルジオ・ペレスの穴を埋める形でアストンマーティンへと加わることになった。
アストンマーティンで中位を争うも存在感
迎えた2021年シーズン、前年はレーシング・ポイントとしてメルセデス、レッドブルに次ぐ速さを見せていた同チームだったが、アストンマーティン初年度はなかなか上位争いに食い込めない展開が続いた。ベッテルも開幕戦より15位、15位、13位、13位となかなか入賞圏内でフィニッシュできず。Getty Images
それでも第5戦モナコGPでは5位に入ると、荒れた第6戦アゼルバイジャンGPでは終盤に2位に浮上し、そのまま2位表彰台に上がった。後にハンガリーGPでは燃料規定で失格になったものの、エステバン・オコンに次ぐ2位に入り、マシンの戦闘力に劣る中でも決勝で抜群のレースペースを示し、実質シーズンを通じて2度表彰台に上がるという成果を見せた。
ベッテルはアストンマーティン初年度で43ポイントを獲得し、総合12位というポジションに終わった。それでも年間132度のオーバーテイク回数は全ドライバー中最多。34歳となったベテランが熟練のドライビングセンスを見せたシーズンとも言えるだろう。
プロフィール
セバスチャン・ベッテル
Getty Images
1987年7月3日生まれ|ドイツ国籍|BMWザウバー(2007)、トロ・ロッソ(2007~2008)、レッドブル(2009~2014)、フェラーリ(2015~2020)、アストンマーティン(2021~)
通算成績(2021年終了時点)
- 出走/280回
- 優勝/53回
- PP/57回
- FL/38回
- ドライバーズタイトル/4回(2010、2011、2012、2013)
年 | チーム名 | 勝利数 | 年間成績 |
---|---|---|---|
2007年 | BMWザウバー/トロ・ロッソ | 0勝 | 14位 |
2008年 | トロ・ロッソ | 1勝 | 8位 |
2009年 | レッドブル | 4勝 | 2位 |
2010年 | レッドブル | 5勝 | 1位 |
2011年 | レッドブル | 11勝 | 1位 |
2012年 | レッドブル | 5勝 | 1位 |
2013年 | レッドブル | 13勝 | 1位 |
2014年 | レッドブル | 0勝 | 5位 |
2015年 | フェラーリ | 3勝 | 3位 |
2016年 | フェラーリ | 0勝 | 4位 |
2017年 | フェラーリ | 5勝 | 2位 |
2018年 | フェラーリ | 5勝 | 2位 |
2019年 | フェラーリ | 1勝 | 5位 |
2020年 | フェラーリ | 0勝 | 13位 |
2021年の成績
- 年間:43ポイント/12位
- 優勝/0回
- PP/0回
- FL/0回
レース名 | 決勝順位 |
---|---|
第1戦バーレーンGP | 15位 |
第2戦エミリア・ロマーニャGP | 15位 |
第3戦ポルトガルGP | 13位 |
第4戦スペインGP | 13位 |
第5戦モナコGP | 5位 |
第6戦アゼルバイジャンGP | 2位 |
第7戦フランスGP | 9位 |
第8戦シュタイアーマルクGP | 12位 |
第9戦オーストリアGP | 17位 |
第10戦イギリスGP | Ret. |
第11戦ハンガリーGP | DQ |
第12戦ベルギーGP | 5位 |
第13戦オランダGP | 13位 |
第14戦イタリアGP | 12位 |
第15戦ロシアGP | 12位 |
第16戦トルコGP | 18位 |
第17戦アメリカGP | 10位 |
第18戦メキシコGP | 7位 |
第19戦サンパウロGP | 11位 |
第20戦カタールGP | 10位 |
第21戦サウジアラビアGP | Ret. |
第22戦アブダビGP | 11位 |
関連記事
直近のDAZN番組表(F1)DAZNについて
DAZNなら好きなスポーツをいつでも、どこでもライブ中継&見逃し配信!今すぐ下の記事をチェックしよう。
● 【番組表】直近の注目コンテンツは?
● 【お得】DAZNの料金・割引プランは?
チーム・ドライバー
日程・番組表
レース | フリー走行・予選 | 決勝 | |
---|---|---|---|
第1戦 | バーレーンGP | 3月18日(金) ~19日(土) | 3月20日(日) |
第2戦 | サウジアラビアGP | 3月25日(金) ~26日(土) | 3月27日(日) |
第3戦 | オーストラリアGP | 4月8日(金) ~4月9日(土) | 4月10日(日) |
第4戦 | エミリア・ロマーニャGP | 4月22日(金) ~ 23日(土) | 4月24日(日) |
第5戦 | マイアミGP | 5月6日(木) ~7日(土) | 5月8日(日) |
第6戦 | スペインGP | 5月20日(金) ~21日(土) | 5月22日(日) |
第7戦 | モナコGP | 5月27日(金) ~ 28日(土) | 5月29日(日) |
第8戦 | アゼルバイジャンGP | 6月10日(金) ~11日(土) | 6月12日(日) |
第9戦 | カナダGP | 6月17日(金) ~ 18日(土) | 6月19日(日) |
第10戦 | イギリスGP | 7月1日(金) ~ 2日(土) | 7月3日(日) |
第11戦 | オーストリアGP | 7月8日(金) ~9日(土) | 7月10日(日) |
第12戦 | フランスGP | 7月22日(金) ~23日(土) | 7月24日(日) |
第13戦 | ハンガリーGP | 7月29日(金) ~ 30日(土) | 7月31日(日) |
第14戦 | ベルギーGP | 8月26日(金) ~ 27日(土) | 8月28日(日) |
第15戦 | オランダGP | 9月2日(金) ~3日(土) | 9月4日(日) |
第16戦 | イタリアGP | 9月9日(金) ~ 10日(土) | 9月11日(日) |
第17戦 | シンガポールGP | 9月30日(金) ~10月 1日(土) | 10月2日(日) |
第18戦 | 日本GP | 10月7日(金) ~ 8日(土) | 10月9日(日) |
第19戦 | アメリカGP | 10月21日(金) ~ 22日(土) | 10月23日(日) |
第20戦 | メキシコGP | 10月28日(金) ~ 29日(土) | 10月30日(日) |
第21戦 | サンパウロGP | 11月11日(金) ~ 12日(土) | 11月13日(日) |
第22戦 | アブダビGP | 11月18日(金) ~ 19日(土) | 11月20日(日) |