ハースF1チームのチーフエンジニア、小松礼雄氏が新型コロナの中断期間を回顧｜F1LAB

現在、ハースF1チームの要職に1人の日本人がいる。これまでにB.A.R、ルノー、ロータス、ハースを渡り歩いた日本人エンジニア・小松礼雄氏だ。2019年からはハースのチーフレースエンジニアとして、現場の技術責任者を務め、手腕を振るっている。

今回、『DAZN』の番組「F1LAB」内で小松氏がインタビューに答えてくれた。新型コロナウイルス感染拡大に伴い、開幕グランプリが7月上旬にずれ込むという未曾有のシーズンとなったが、待望の開幕戦に向けてハースの小松氏は拠点のイギリスでどのような生活をしていたのか語っている。インタビュアーはモータースポーツジャーナリストの田中健一氏が務めた。

イギリスでのロックダウン

――お住まいの環境は大丈夫ですか？

僕はシルバーストン（イギリス）近く、すごく田舎に住んでいるので。近くには緑が多いし、人もそんなに多くないので、その点は助かりました。子どもたちと自転車で出かけたりしてもソーシャルディスタンスの距離は意識していました。

――（新型コロナウイルスの影響で）生活は不便だったりしませんでしたか？

買い物は週に1回か2回しかしませんでした。店では人が並んでいますし、店の外で待っているのも大変でしたね。3月～4月は本当に物がなかったですけど、最近はようやく物も並ぶようになってきました。ただ、みんなパンを作るのか、小麦粉だけはいつスーパーに行っても売っていないですけど（笑）。

――チームとのコミュニケーションはどうでしょうか？ハースの（ギュンター）シュタイナー代表とはどのぐらいの頻度でお話されているんですか？

ギュンターとは週に2回ぐらいですね。彼はいつもアメリカにいるんですけど予定は把握しているので。向こうでボードミーティングがあったり、ギュンターはチームプリンシパルの会議もあるので、進展があったタイミングで連絡を取っています。

――ドライバーとの連絡頻度はどうでしょう。

普段からすごく連絡を取り合っているわけではないんですけど、状況のアップデートはたまに話しています。ロマン（グロージャン）なんかとは家族や子供の話もしますよ。とくに彼は子供が3人いて。うちは2人ですけど、ロマンのほうが大変だと思います。ケビン（マグヌッセン）なんかはeスポーツをしないかわりにゴーカートを乗りまくっているみたいですね。叔父さんが持っているカート場でやっているみたいですよ。

レース再開を渇望

――再開に向けた動きはどうですか？

今は7月5日のオーストリアGPに向けて照準を合わせています。（第1戦、第2戦の舞台は）レッドブルが持っているサーキットですし。家にいる人たちの大半はみんな仕事がしたくて。サーキットに戻りたくて仕方ない状況ですね。大体これまでのミーティングでは各チームが言いたいことを言って、全体のことまでは考えていなかった。だけどそれがなくなって、コスト削減にしても、来年のバジェットキャップ（F1チームの予算に上限値を設ける動き）にしても、オーストリアで（グランプリを）始めるためにはどうしたらいいかとか、みんなが（チームの垣根を超えて）一緒に考えるようになった。それは良いことだと思いますね。

――みんなが団結するきっかけになったということですね？

そうですね。きっかけは（感染症拡大が理由で）残念でしたけど、こういうことがあって、みんなが生き残っていくために、再開するためにはどうしたら良いのか、自分たちの成績とかを置いといて、やっと考えるようになりましたね。

――ハースは今季、どんな戦いを見せてくれますか？

特殊な状況ではあるんですけど、チーム6年目なのでまだまだレッドブルやメルセデスに比べてそこまでいっていないものもありますし、逆にコンセプトはF1の中でも一番いいんじゃないというのがあっても、それを使えるところまで来てなかったりするので。そういうものを今作ってますよね。作って開幕戦オーストリアまでにできるだけ進める。去年のミスから学んでそれを今年はちゃんと正しいやり方でやって次に進むことですね。

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