佐藤琢磨氏が後輩角田裕毅への期待を口に「ある程度時間がかかるのは仕方ない」ルーキーが現代F1に順応する難しさを説く｜WEDNESDAY F1 TIME

レーシングドライバー佐藤琢磨氏が、今季7年ぶりの日本人F1ドライバーとなった後輩角田裕毅について言及している。『WEDNESDAY F1 TIME #37』で語った。

佐藤琢磨氏と言えば2002年～2008年にかけてジョーダン、B・A・Rホンダ、スーパーアグリからF1に参戦。2010年以降はインディカー・シリーズを主戦場に、2017年、2020年には世界3大レースの一つとされるインディ500を2度制したことでも知られる。

かつてF1でも奮闘していた日本人ドライバーは「毎戦楽しみにして見ている」と今シーズンのF1について語り、角田の動向を気にかけていたと明かしている。

「もちろん裕毅とはシーズン前に少し話す機会があったんですけど、シーズンが始まったらもう祈ることしかできないので。彼のセンセーショナルなデビュー戦（バーレーンGP9位入賞）もそうだったんだけど、シーズンの成長ぶりを楽しみにして見てきた」

今季F1デビューを飾ったルーキー角田について、現代のF1マシンに順応することがいかに難しいことなのかを説いている。

「自分とは状況が違うんですけど、いくつかの共通点はあるんですよ。開幕前のテストが少なかったということ。僕の時代は無制限にテストはできたんですけど、当時EJ12（2002年ジョーダンチームのマシン）という、とてもユニークなクルマが生まれて。あの前は前年度のクルマでしかテストできなかったんですね。デビューイヤーだったからそんなにいっぱいテストはできない。一方で裕毅は型落ち（2019年型のトロ・ロッソSTR14）のクルマでいくつか走っていたじゃないですか。新車に数日しか乗れず、グランプリへ向かわなければいけなかった境遇でしたよね」

「僕の時はチームの財政難で、5月以降一切テストができなくなってしまった。それは今のルールで言うと、シーズンインまでテストができない。だから（今のF1ルーキーは）ある程度時間がかかるのは仕方がないんです」

「F1というモンスター級のマシンに、下部カテゴリーのフォーミュラからいきなり乗って、F1で100戦、200戦もやってきたドライバーとやり合うなんて到底無理な話なんで。裕毅はもちろん最初からスピードを見せたから本人も期待感があっただろうし、その通りにならなかったときというのは苦しかったと思う。でも、10戦、15戦して見事な結果を残してきたじゃないですか」

「僕も鈴鹿（初めて5位入賞＆ポイントを奪取した2002年第17戦の日本GP）に行くまで時間はかかっちゃったんだけど（角田は）それができる。そういう時間軸の中でここからね、いかに最終戦までの2戦と、来年彼がどんな成長を見せるのかが大事だから」

今季前半戦、エミリア・ロマーニャGP、フランスGPなどで角田は、公式セッション中に不用意なミスからマシンにダメージを負うようなクラッシュを経験した。佐藤琢磨氏は「序盤戦のミス云々というのも本人が一番わかっているので。スピードさえあれば僕は心配いらないと思う」と述べ、F1の世界で奮闘する後輩、角田裕毅にエールを贈っている。

今季は6度の入賞を果たし、第20戦終了時点で20ポイントを手にしている角田。シーズン終盤戦を迎え、第21戦サウジアラビアGP、最終第22戦アブダビGPと、結果を示してルーキーイヤーを終えられるのか注目したい。

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