アルファタウリ代表、理解を示しつつも角田裕毅の無線をたしなめる「チームを傷つける…本人のためにも良くないことだった」｜F1

アルファタウリのフランツ・トスト代表は、2021年のシーズン途中に角田裕毅に対して、レース中のチーム無線で激しい口調でやり取りしないようたしなめたと語った。オランダ『Racingnews365』がその言葉を報じている。

2021年、7年ぶりの日本人F1ドライバーとなった角田裕毅は、開幕戦バーレーンGPでいきなりデビュー戦9位入賞を果たす。だがその後、なかなか結果を残せない展開が続いた。

セッション中に角田はチーム無線を通じて「どうなっているんだ。トラフィックパラダイスだよ！」と語った。新たな造語「トラフィックパラダイス」は後にバルテリ・ボッタスも使用するなど、角田の言葉は世界的に注目される状況に。だが日本人ドライバーはチーム無線で感情をあらわにするシーンも少なくなかった。

トスト代表は角田について「もちろん気持ちはわかるが、無線での攻撃的な言葉はチームを傷つけてしまうことにもなりかねない」と語っている。

「マシンを駆る以上、気持ちをセーブして冷静さを保つことが重要だと伝えたよ。これはチームだけでなく、印象の悪化を招いてしまうから本人のためにも大切なことだった。そのようなことをしないように、とユウキには伝えたんだ」

一方でトスト代表は「ただ、ドライバーはアグレッシブであることも重要だ。レース中はアドレナリンが出ていなければならないし、積極的なスタイルでなければ、パフォーマンスを出すことだってできないだろうからね」と発言。F1ドライバーの資質としてアグレッシブさは必要な要素であると語りつつ、エネルギーの使い方次第で諸刃の剣にもなると説いている。

また、同メディアではレッドブル幹部ヘルムート・マルコ氏の見解「彼の言葉は日本人らしいかどうかと言ったらそうではないかもね。ただ、それによって日本の評判が悪くなってしまうことだってある。本人がそれを自覚しているかどうかわからないがね」という言葉も紹介。レッドブル、アルファタウリそれぞれの中心人物から、角田は無線でのやり取りについて釘を刺されていた模様だ。

シーズン後半戦に入ると、レッドブルは角田のサポート役としてリザーブドライバーのアレクサンダー・アルボンを据えた。トロ・ロッソ、レッドブルで走ってきた先輩ドライバーは角田にとって良き理解者に。

角田本人も『DAZN』に対し「（アルボンは）メチャメチャいい人ですね。自分の相談役というか、いろんなことを尋ねることができるし、僕が考えつかなかった違ったアイデアを（アルボンから）提案してくれることもある。新しいコースのことも教えてくれたり、自分の心構えにもなるので、とても助かっています」と語っていた。

2021年のシーズン終盤戦に入ると、角田はチーム無線で攻撃的な言葉を用いるケースがほとんど見られなくなり、予選でも高確率でQ3に進出するなど、目に見えてパフォーマンスを上げていった。そして最終戦のアブダビGPでキャリア最高位の4位フィニッシュを果たし、年間32ポイントでルーキーシーズンを終えている。

迎えた2022年、F1で2シーズン目を迎える角田。アルボンはジョージ・ラッセルの穴埋め役としてウィリアムズのシートを獲得したため“頼れる先輩”とは、今度はトラック上で戦う状況となる。

そんな中でもしっかりと成長を示すことができるのか、トスト代表、重鎮マルコ博士、先輩アルボンに恩返しをするためにも、2022年の角田は積極性を保ちながらも、着実に結果を残していきたいところだ。

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