2021シーズンのF1は新型コロナウイルスの影響もあり、日本やシンガポール、カナダ、オーストラリアなどでの開催が断念する運びに。それでも全世界を転戦し、全22レースを消化した。
迎えた2022年は全23戦で実施される予定だったが、2月24日にロシアがウクライナに軍事侵攻を行ったことから、ロシアGPが開催中止に。その後代替開催を断念し、昨季と同様に全22戦で行われることが確定した。
第12戦フランスGP 概要
レッドブルホームのーストリアGPでは、フェラーリ勢が2連勝を達成。首位を独走するレッドブルに対して僅かながら差を詰め、待ったをかける格好となった。
サマーブレイクまであと2戦。第12戦フランスGPでフェラーリの攻勢はさらに強まるのか、それともレッドブルがそれを退けるのか。
スプリントフォーマットで行われた前戦のオーストリアGP。スプリントレースでは、ポールポジションからスタートのマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が危なげなく勝利し、後を追うシャルル・ルクレール(フェラーリ)は2番手。
しかし、続く決勝では立場が逆転した。タイヤのデグラデーションに苦しめられたフェルスタッペンに対し、フェラーリ勢はタイヤマネージメントが奏功。ワンツー・フィニッシュも目前かと思われたが、カルロス・サインツがマシントラブルに見舞われ無念のリタイアを喫した。
これで命拾いをしたフェルスタッペンは、ルクレールに続いて2番手でチェッカーを受け、何とか被害を最小限に食い止めることができた。
この結果、フェラーリ勢はイギリスGPに続いて2連勝となり、ルクレールとしてはオーストラリアGP以来、約3カ月ぶりの勝利を手にした。
今季ここまではレッドブルが6連勝を達成するなど強さを見せ、フェラーリに対し優位を保っていた。しかし、オーストリアGPでのパフォーマンスを見る限りでは、このアドバンテージは失われたか、あるいはとても小さいものになっているのかもしれない。フェラーリが再びシーズン序盤のような競争力を手にできれば、まだまだ挽回は可能だろう。
ただ、気になるのはマシンの信頼性。オーストリアGPではサインツのトラブルだけでなく、ルクレールにも終盤にスロットルの問題が起きていた。また、これまでフェラーリがトラブルにより失ったポイントは数知れない。フェラーリがタイトル争いをリードするには、信頼性というアキレス腱を克服できるかにかかっているだろう。
今週末、首位を走るレッドブルにとって脅威となりうるのはフェラーリだけではない。メルセデスが序盤に苦しんだ問題から脱却し、上位勢に接近しつつあることは明白だ。
ルイス・ハミルトンはカナダGPから3レース連続で表彰台を獲得しており、復調を印象付けた。ジョージ・ラッセルはイギリスGPでのリタイアを除いて、全戦で5位以内フィニッシュと安定した走りを見せている。メルセデスが完全復活を果たしたならば、タイトルレースは三つ巴の様相を呈することになるだろう。
次戦フランスGPの舞台は、ポール・リカール・サーキット。各カテゴリーのテストコースに使用されるサーキットは、ロングストレートに加え低速から高速まであらゆるコーナーがあり、総合力が試される。
ランオフエリアも広いため、セーフティカー導入などのトラブルが発生する可能性も低く、それぞれの実力が浮き彫りとなる真っ向勝負が期待できそうだ。
ここまでタイトルレースの一番手を走ってきたレッドブルだが、着実にフェラーリ、メルセデスによる包囲網が敷かれつつある。フェラーリやメルセデスの逆襲が始まるのか、レッドブルが力を見せつけるのか。今後のシーズンの行方を左右する重要な一戦は見逃せない。
コースの成り立ち
南仏のマルセイユ近郊に位置するポール・リカール・サーキット。1970年に地中海からもほど近い小高い丘の上に、サーキット名の由来でもあるポール・リカール氏によって建設された。
1.8kmにおよぶミストラル・ストレートが特徴的で、1971年にF1初開催。以降20年間で14回、フランスGPの舞台として使用されている。
1991年からはフランスGPの開催地がマニクールに移ったことで、しばらくF1から離れる時期が続くが、その期間にヘルマン・ティルケによる改修工事を実施。レーシングカーのみならず、市販車などの開発にも使えるよう、167通りのレイアウト設定が可能で、人工的にウエットコンディションを作り出すことも可能なハイテク・テスト・トラックとして生まれ変わった。
また、フランス国旗を彷彿とさせるコースに沿いの青と赤のラインは、グラベルの代わりとなる摩擦係数の高い路面となっており、コースアウトした車がクラッシュすることなく減速できるよう、安全性に関する様々な研究に基づいて作られている点も特徴だ。
2009年以降は、世界耐久選手権やユーロF3、2輪のレースなど、様々なカテゴリーのレースも開催できるように再整備を行い、2018年からフランスGPの舞台として、F1カレンダーに名を連ねている。
レース開催日程・DAZN配信予定
第12戦フランスGP/ポール・リカール・サーキット
日時 | 内容 | 解説・実況 |
---|---|---|
7月22日(金) 21:00 | フリー走行 1回目 | 解:柴田久仁夫 実:笹川裕昭 |
7月23日(土) 0:00 | フリー走行 2回目 | 解:田中健一 実:笹川裕昭 |
7月23日(土) 20:00 | フリー走行 3回目 | 解:小倉茂徳 実:サッシャ |
7月23日(土) 23:00 | 予選 | 解:小倉茂徳 実:サッシャ |
7月24日(日) 22:00 | 決勝 | 解:中野信治 解:田中健一 |
サーキット(ポール・リカール・サーキット)
DAZN/Getty Images
様々なレイアウトが可能なサーキットだが、2018年のフランスGP復活以降は1周5842メートルで、15のコーナーをつなぐコースが使用されている。
1コーナーに向かうメインストレートと、シケインで区切られたミストラル・ストレートの手前がDRS区間となっており、前車の後ろにつけば、オーバーテイクは比較的可能なサーキットだ。またコースサイドが広いため、ドライバーたちはコース幅を限界まで使って攻める姿が見られるだろう。ただし、コース外の赤ストライプのラインは摩擦係数が高いため、この上を走行したマシンはその時点でタイヤの寿命が一気になくなる。そこは留意が必要だ。
ロングストレートだけでなく、セクター1とセクター3には低速から高速までバリエーション豊富なコーナーが並んでおり、53周のレースを手にするには、マシンの総合力がカギを握る。
ターン3から6にかけての複合コーナーはトラックリミット違反が取られやすいので、注意が必要だ。ターン7~8にかけてのDRS区間でスリップストリームを使い、ターン8の飛び込みで抜くというポジションアップが正攻法となりそうだが、このターン8ではブレーキが遅れたことによりそのままオーバーランしてしまうケースも散見される。
2020年は新型コロナウイルス感染拡大により開催がキャンセルされたが、それ以前は2018年、2019年とルイス・ハミルトンが2年連続でポール・トゥ・ウィンを飾った。直近の2021年第7戦は、終盤の追い上げで大逆転となったマックス・フェルスタッペンが勝利している。
2021年 第7戦フランスGP 順位・結果
Getty Images
決勝のスタート直後、トップスタートのマックス・フェルスタッペンが1コーナーの後にオーバーランして、順位を2番手に落とす。これでルイス・ハミルトンがトップに浮上。ハミルトン、フェルスタッペン、バルテリ・ボッタス、セルジオ・ペレスの順番でオープニングラップを終える。
ギアボックス交換によりピットレーンスタートとなった角田裕毅はハースの2台、ウィリアムズの2台を抜いて、4周目を終える段階で16番手まで浮上した。
各マシンともにタイヤの消耗に苦労する中、14周目の終わりにシャルル・ルクレールが全ドライバーで最初のピットイン。その翌周には角田もピットに入り、ハードタイヤに履き替え、他のドライバーも次々にピットへ入る流れに。
フェルスタッペンは18周目の終わりに入り、そこからプッシュを仕掛ける。トップのハミルトンは次の19周目でピットインするも、ピットアウトの時点でフェルスタッペンがわずかに前。トップはピットイン未消化のセルジオ・ペレスで、フェルスタッペンが事実上のトップに躍り出た。そこからはフェルスタッペン、ハミルトン、ボッタスの順番でけん制しながらのラップ周回となる。
32周目の終わりにフェルスタッペンが2度目のピットイン。ミディアムに戻して4番手でコース復帰となり、20周を残してトップとは約19秒差となる。そこからフェルスタッペンはファステストラップを連発しながらメルセデス勢との差を詰めていく。
44周目のセクター3でフェルスタッペンがボッタスをパス。2番手に浮上する。49周目にはセルジオ・ペレスがボッタスを抜いて3番手に躍り出た。 フェルスタッペンは残り3周でハミルトンとの差を1秒ほどまで詰めた。そして残りラップ2の52周目、ターン8でフェルスタッペンがインを付き、トップの座を取り戻した。
レースはそのままフィニッシュチェッカーとなり、フェルスタッペンが大逆転で2021年の3勝目をマーク。2位ハミルトン、3位ペレスが表彰台に上がった。
4位ボッタス、5位ランド・ノリス、6位ダニエル・リカルド、7位ピエール・ガスリー、8位フェルナンド・アロンソ、9位セバスチャン・ベッテル、10位ランス・ストロールまでが入賞となった。 ピットレーンスタートの角田はハードタイヤ交換後のロングランで終盤ペースを落とし、13番手フィニッシュとなっている。
■第7戦フランスGP決勝結果
1/マックス・フェルスタッペン/レッドブル/1:27:25.770
2/ルイス・ハミルトン/メルセデス/+2.904
3/セルジオ・ペレス/レッドブル/+8.811
4/バルテリ・ボッタス/メルセデス/+14.618
5/ランド・ノリス/マクラーレン/+64.032
6/ダニエル・リカルド/マクラーレン/+75.857
7/ピエール・ガスリー/アルファタウリ/+76.596
8/フェルナンド・アロンソ/アルピーヌ/+77.695
9/セバスチャン・ベッテル/アストンマーティン/+79.666
10/ランス・ストロール/アストンマーティン/+91.946
11/カルロス・サインツ/フェラーリ/+99.337
12/ジョージ・ラッセル/ウィリアムズ/+1 LAP
13/角田裕毅/アルファタウリ/+1 LAP
14/エステバン・オコン/アルピーヌ/+1 LAP
15/アントニオ・ジョビナッツィ/アルファロメオ/+1 LAP
16/シャルル・ルクレール/フェラーリ/+1 LAP
17/キミ・ライコネン/アルファロメオ/+1 LAP
18/ニコラス・ラティフィ/ウィリアムズ/+1 LAP
19/ミック・シューマッハ/ハース/+1 LAP
20/ニキータ・マゼピン/ハース/+1 LAP
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チーム・ドライバー
日程・番組表
レース | フリー走行・予選 | 決勝 | |
---|---|---|---|
第1戦 | バーレーンGP | 3月18日(金) ~19日(土) | 3月20日(日) |
第2戦 | サウジアラビアGP | 3月25日(金) ~26日(土) | 3月27日(日) |
第3戦 | オーストラリアGP | 4月8日(金) ~4月9日(土) | 4月10日(日) |
第4戦 | エミリア・ロマーニャGP | 4月22日(金) ~ 23日(土) | 4月24日(日) |
第5戦 | マイアミGP | 5月6日(木) ~7日(土) | 5月8日(日) |
第6戦 | スペインGP | 5月20日(金) ~21日(土) | 5月22日(日) |
第7戦 | モナコGP | 5月27日(金) ~ 28日(土) | 5月29日(日) |
第8戦 | アゼルバイジャンGP | 6月10日(金) ~11日(土) | 6月12日(日) |
第9戦 | カナダGP | 6月17日(金) ~ 18日(土) | 6月19日(日) |
第10戦 | イギリスGP | 7月1日(金) ~ 2日(土) | 7月3日(日) |
第11戦 | オーストリアGP | 7月8日(金) ~9日(土) | 7月10日(日) |
第12戦 | フランスGP | 7月22日(金) ~23日(土) | 7月24日(日) |
第13戦 | ハンガリーGP | 7月29日(金) ~ 30日(土) | 7月31日(日) |
第14戦 | ベルギーGP | 8月26日(金) ~ 27日(土) | 8月28日(日) |
第15戦 | オランダGP | 9月2日(金) ~3日(土) | 9月4日(日) |
第16戦 | イタリアGP | 9月9日(金) ~ 10日(土) | 9月11日(日) |
第17戦 | シンガポールGP | 9月30日(金) ~10月 1日(土) | 10月2日(日) |
第18戦 | 日本GP | 10月7日(金) ~ 8日(土) | 10月9日(日) |
第19戦 | アメリカGP | 10月21日(金) ~ 22日(土) | 10月23日(日) |
第20戦 | メキシコGP | 10月28日(金) ~ 29日(土) | 10月30日(日) |
第21戦 | サンパウロGP | 11月11日(金) ~ 12日(土) | 11月13日(日) |
第22戦 | アブダビGP | 11月18日(金) ~ 19日(土) | 11月20日(日) |