2023シーズンのF1は当初24戦で行われる見通しだったが、新型コロナウイルスの影響で中国GPが見送りとなり、エミリア・ロマーニャGPは豪雨災害により中止に。これで22戦での開催となった。
そして2024年は全24戦で実施される予定。これは過去最多のグランプリ数となる。
第16戦イタリアGP 概要
サマーブレイクを終えたF1は第15戦オランダGPを経て、2週連続でイタリアGPを開催する。
欧州2連戦の舞台は超高速のモンツァ・サーキット。ロングストレートをシケインやコーナーでつなぐレイアウトは、1周の全開率が70%を超える。平均時速260km/h、最高時速は350km/hに及ぶ“スピードの殿堂”だ。
タイトルレースが激しさを増す後半戦、誰にとっても負けられない戦いが続くが、人一倍闘志を燃やすのはイタリアがお膝元であるフェラーリだろう。モンツァでの最多優勝記録を持つこのイタリアのチームは、シーズン序盤こそ打倒レッドブルの最右翼だったが、中断前に目覚ましい活躍を見せたマクラーレンとメルセデスの台頭により、一歩後退した印象だ。
前戦のオランダGPではチャールズ・ルクレールが3位入賞と意地を見せたが、マクラーレンのランド・ノリスは2位のマックス・フェルスタッペンに22秒以上もの差をつけ圧勝。中断明けの一戦で、ライバルは勢力図を塗り替えるかのような眩い輝きを放った。フェラーリはイタリアGPで同じことができるのだろうか。再びタイトル争いの最前列に戻るため、そして何よりモンツァに押し寄せる熱狂的な“ティフォーシ”のために、フェラーリは負ける訳にはいかない。F1の舞台として長い歴史を持つ伝統のサーキットで勝利を掴むのは誰か。
レース開催日程・DAZN配信予定
第16戦:イタリアGP
日時(日本時間) | 配信内容 | 解説・実況 |
---|---|---|
8月30日(金)20:30~ | フリー走行1回目 | 解説:田中健一 コメンテーター:浅木泰昭 |
8月31日(土)0:00~ | フリー走行2回目 | 解説:小倉茂徳 実況:笹川裕昭 |
8月31日(土)19:30~ | フリー走行3回目 | 解説:柴田久仁夫 実況:笹川裕昭 |
8月31日(土)23:00~ | 予選 | 解説:中野信治 実況:笹川裕昭 |
9月1日(日)22:00~ | 決勝 | 解説:中野信治 実況:サッシャ |
F2ラウンド11:イタリア・モンツァ
日時(日本時間) | 配信内容 | 解説・実況 |
---|---|---|
8月30日(金)18:00~ | フリー走行 | 実況:笹川裕昭 |
8月30日(金)23:00~ | 予選 | 実況:笹川裕昭 |
8月31日(土)21:15~ | レース1 | 解説:中野信治 実況:笹川裕昭 |
9月1日(日)17:05~ | レース2 | 解説:中野信治 実況:笹川裕昭 |
サーキット(モンツァ・サーキット)のレイアウト
Getty Images
正式名称はアウトドローモ・ナツィオナーレ・ディ・モンツァといい、4本のロングストレートを繋いだレイアウトのモンツァ・サーキット。これまでに複数回のレイアウト変更を行いながら、イタリアGPの舞台として、1950年から使用されている。
一番の見どころは、「クルヴァ・アルボレート(パラボリカ)」と呼ばれる最終コーナーから1コーナーまでのロングストレート。F1グランプリの中で最も速度が出るストレートで、2005年の予選ではファン・パブロ・モントーヤが時速372.6kmを記録した。
ストレートエンドのターン1に向かって時速350kmから時速65km近くまで急減速してシケインに侵入するため、ドライバーはブレーキを遅らせる度胸と、タイヤをロックさせない繊細なブレーキングスキルが求められる。
この1コーナーへの侵入が最大のオーバーテイクポイントとなるが、このターン1のシケインは2024年に改修工事が入り、コース幅が少し広くなった一方で、90度のターンよりもやや角度が厳しくなった。また、コース外がグラベルに変わった部分もあり、オーバースピードからそのままエスケープゾーンに退避することも得策ではなくなった。1台だけならターン1&2のエイペックスに付けた最短ラインでの走行は問題ないが、複数台もつれてターン1に飛び込み、どちらも引かなかったために接触する、というシチュエーションも想定できる。
かつてタイトル争いがし烈を極めていた2021年、このターン1への飛び込みでマックス・フェルスタッペンとルイス・ハミルトンのどちらも譲らず、フェルスタッペンがハミルトンのマシンに乗り上げるという場面もあったが、コース幅が広くなったこともあり、このシケインでの接近戦は今まで以上に増えるかもしれない。複数台がサイド・バイ・サイドでターン1~2飛び込んでいくシーンも多く見られることになりそうだ。
また、2024年は路面が全面舗装し直しとなっているため、フリー走行の時点で路面状況とタイヤのグリップ感、各コンパウンドのデグラデーションをデータとして収集しておきたいところ。
モンツァは1周の全開率が70%を超えるため、ダウンフォースを削って最高速を重視するマシンセッティングが主流であり、F1マシンのスピードが画面越しでも伝わってくる名物サーキットだ。直線優先のセッティングである”モンツァスペシャル”も、晩夏の風物詩となっている。
コースの成り立ち
イギリスのブルックランズ、アメリカのインディアナポリスに次ぐ、世界で3番目の専用レーストラックとして、1920年に開業。当時はロードコースとオーバルコースを組み合わせた全長10kmのコースだったが、安全性などを考慮して改修を繰り返し、現在のレイアウトに至った。また、使用されなくなったオーバルコースだが、今もサーキットに残されており、当時の雰囲気を残している。
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2023年イタリアGP結果
Getty Images
2023年のF1第15戦イタリアGP決勝は2023年9月3日に行われた。
現地モンツァは晴天のドライで決勝開始時刻を迎え、17名のドライバーは第1スティントにミディアムを選択した。ルイス・ハミルトン、バルテリ・ボッタス、ケビン・マグヌッセンのベテラン勢3人がハードを装着している。
フォーメーションラップ中、11番グリッドからスタート予定の角田裕毅がマシントラブルによりアルボレートの前でストップとなる。角田は同年初のリタイアとなった。
レース開始はこれでディレイとなり、十数分の中断を経て、再度フォーメーションラップを行ってからスタンディングスタートでブラックアウトとなった。ターン1への飛び込みは、ポールスタートのカルロス・サインツがトップで入っていく。マックス・フェルスタッペン、チャールズ・ルクレールと、トップ3の並びはそのままとなった。ここからモンツァは縦一列に長い隊列となり、戦局が進んでいく。
6/51周目のターン1で2番手フェルスタッペンがサインツに並びかけるも、シケインで抜けず。10連勝の懸かるフェルスタッペンも無理はできず、引く形になった。
10周目に入ったあたりから、ピエール・ガスリー、チョウ・グァンユなどタイヤチェンジを行うドライバーが出てくる。
15周目のターン1でトップのサインツがブレーキミス。シケインの立ち上がりでフェルスタッペンが並びかけ、ターン4の飛び込みでサインツを完全に抜き、フェルスタッペンがトップに浮上した。
翌16周目には5番手セルジオ・ペレスがジョージ・ラッセルを抜き、P4に浮上。ペレスはここから3秒前のルクレールを追う展開となる。
20周目、サインツがピットに入ってミディアムからハードへとつなぐ。フェルスタッペンとルクレールも次の周に入って同様に第2スティントへと入る。さらにその1周後にはペレスもピットへと入り、ペレスはフェラーリ勢の後ろでトラック復帰となった。これでトップ4は全員タイヤ交換を終え、ピットイン組でのトップはフェルスタッペン。4秒後方にサインツ、そこからほぼ差がなくルクレール、ペレスと続く展開になっている。
32/51周目のホームストレート上で、ペレスがルクレールをパスし、P3に浮上した。
41周目のターン4では、ハミルトンとオスカー・ピアストリが接触。ピアストリはフロントウイングにダメージを負い、ピットインを余儀なくされる。
ペレスは何度もサインツに仕掛けていたが、46周目のターン1でようやくオーバーテイクに成功し、これでレッドブル1-2、フェラーリ3-4となった。ここからフェラーリの2台はティフォージの前での表彰台を懸け、ガチガチの僚友対決を続ける展開に。
レースは終盤に入り、フェルスタッペンがトップを独走したままでフィニッシュチェッカーを受けた。これでセバスチャン・ベッテルの記録を抜き、前人未到の個人10連勝(当時)を達成。チームとしては開幕から14連勝となった。
2位は6秒差で僚友ペレス。レッドブルの1-2フィニッシュとなった。なお、前シーズンのアブダビGPから、シーズンをまたいでのチーム連勝記録15はF1史上最長(当時)となった。
3位にはサインツが入り、最後まで迫ったルクレールが0.1秒差で4位だった。
5位ラッセル、6位ハミルトンとなり、メルセデス勢が5-6だった。7位アレクサンダー・アルボン、8位ノリス、9位フェルナンド・アロンソ、10位ボッタスまでがポイントを手にしている。
12番グリッドからのレース開始となったアルファタウリのリアム・ローソンは、2度のピットストップでミディアムからハード、ミディアムとつないで入賞まであと一歩の11位フィニッシュとなっている。